裏同心ルンゼ

日程:2023/12/10

概要:冬山シーズンインの足慣らしとして、美濃戸から赤岳鉱泉を経由して裏同心ルンゼを登り、大同心稜を下って下山。

山頂:---

同行:KS氏

山行寸描

▲F1を越えてF2へ向かう。冬山らしくちゃんと雪がついていた。(2023/12/10撮影)
▲F5。階段状でまったく易しい。(2023/12/10撮影)

アイスクライミングシーズン到来。足慣らしに向かったのは、毎度おなじみの裏同心ルンゼです。長期予報ではこの冬は暖冬になるはずなのですが、このタイミングでの裏同心ルンゼに限ってみれば昨年よりも凍るのが早かったようで、そうした情報がSNS上に飛び交ったために裏同心ルンゼにはこの1週間ほど次々に人が入っていたようでした。

2023/12/10

△06:15 美濃戸 → △08:00-15 赤岳鉱泉 → △08:40-09:30 裏同心ルンゼF1 → △11:10 裏同心ルンゼF5の上 → △11:55-12:05 大同心基部 → △13:00-10 赤岳鉱泉 → △14:20 美濃戸

今回のパートナーは、なぜか冬になると連絡を取り合う間柄のKS氏。前夜八王子を出発して途中の某所で仮眠をとり、夜が明けようとする頃に美濃戸の赤岳山荘の駐車場に滑り込みました。

美濃戸から赤岳鉱泉までの道は何度も通った道。途中で赤い祠が真新しい山の神にこの日の守護を祈ってから歩き続けると、堰堤広場を過ぎたあたりから雪が目立つようになりました。足に履いているNEPAL EVOは6月29日以来の出動です。

懐かしの大同心の姿が見えてきました。毎冬の初めにこの眺めに接すると、八ヶ岳に帰ってきたという感慨を覚えます。

赤岳鉱泉では人工氷瀑を鋭意製作中。この冬は岩根山荘に行く予定がないので、ここでみっちり修行しようかな。

さて、裏同心ルンゼは懸念していたほど混んではおらず、F1に着いたときは先行パーティーが2組とその場でトップロープで練習するらしい3人組がいるだけでした。ここでギアを身につけて、まずはKS氏のリードで登攀開始です。

F2は緩いスロープ状になっており、最上部の氷が若干薄いものの中央に安心して登れる凹角ができていて容易です。ここは私がリード。

F2のすぐ上にあるF3は、F2の下からだと50mロープでは届かないことを忘れていて少々あたふたしました。KS氏がリードしたF3は中央から右側の氷が未発達ですが、左端は登るのに問題ない程度の厚みあり。これを越えてある程度ロープを伸ばしたところでピッチを切り、そこからF5の手前までは傾斜の緩い雪の斜面のところどころに氷が見えている程度なので、ビレイなしで私がロープを引っ張りました。

F5は志願して私がリード。階段状でまったく易しく、今までの何度かの経験の中でも最もフレンドリーな状態だったかもしれません。

F5の上で短くピッチを切って、最後に大同心基部へと上がるおまけのルンゼはKS氏のリード。この日は完全な無風快晴で、穏やかな気候の中で久しぶりのアイスクライミングの手順や技法を再確認することができました。

大同心稜上に着いて小休止しながら見回すと、大同心の雲稜ルートにも北西稜にも、さらには向こうの小同心クラックにもクライマーの姿が見えています。そうした八ヶ岳アルパインの賑わいを嬉しく思いながら、自分がそれぞれのルートを登ったときのことを懐かしく思い返しました。実際には、それらのルートを登ったのはほんの数年前のことなのですが、コロナ前の事柄は何もかも遠い昔のことのように思えてしまいます。

ともあれ、この日のトレーニングはこれで終了です。この冬はどこを登れるだろうかという高揚感と年齢相応に癒し系の山登りを求めようとする弱気とが入り混じった複雑な気持ちを抱えつつ、美濃戸へと下山しました。