塾長の山行記録
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塾長の山行記録

層雲峡の氷瀑

日程:2022/03/26

概要:層雲峡の氷瀑「銀河の滝」を登るも氷の状態が悪く、2ピッチを登ったところで終了し下降。残りの時間でトップロープで練習して終了。

山頂:---

同行:ルーリー / ノダ氏

山行寸描

▲銀河の滝全景。高さはあるが傾斜は極めて緩やか。(2022/03/26撮影)
▲2ピッチ目終了点から上を見上げる。氷は薄く、また下降ラインに穴が開いていて危険なのでここまでにした。(2022/03/26撮影)

まん防の長いトンネルを抜けると雪国であった。峡谷の底は白かった。そこにいたのは駒子ではなくルーリーたちだった……。

北海道在住のノダ氏に誘ってもらって層雲峡でのアイスクライミングを企画し始めたのは昨年の11月下旬からのこと。しかしその後に新型コロナウイルス感染症に対応するためのまん延防止措置が始まり、東京都では都民に対し「不要不急の都道府県間の移動は、自粛する」、北海道では来道を検討している者に対して「北海道への不要不急の移動は、極力控える」ことがそれぞれ要請されました。この措置が延長を重ねたことに伴い我々の計画もスリップを重ね、この間にノダ氏の相方のルーリーも北海道に移住。よって、まん防明けこの週末はノダ氏・ルーリー・私の3人での層雲峡詣でとなりました。あいにくこの週末は前線の通過に伴い好天は期待できない状況ですが、もはやシーズン最終盤のラストチャンスなので、せめて滝に触るだけでも、あるいは眺めるだけでもと思いながら機上の人になって北を目指しました。

2022/03/26

△11:00-16:00 層雲峡の氷瀑

旭川空港へと高度を下げる飛行機の窓から白い山脈を見るともなしに見ていたところ、その中の特徴的な形の山に目が釘付け。あれはオプタテシケでは!そこから目線を右に転じれば美瑛岳・十勝岳・富良野岳、左を見ればもちろんトムラウシ。32年前にテントを担いで一人で縦走した山々を見下ろして感無量です。

今回ご一緒する二人のうちルーリーとは昨年の和名倉沢以来ですが、ノダ氏とは2019年のガンガラシバナ以来2年半ぶり。旭川空港でノダ氏とルーリーの出迎えを受けたら、再会の喜びもそこそこに層雲峡へ向かいます。

層雲峡の谷間に入り、高梨沙羅さんの実家が経営しているというコンビニで若干の補給を行ってから銀河の滝の前の駐車場に駐車して、まずは滝を見上げます。やはり時期が遅かったらしく下部の左岸側は水流が出ていますし、落ち口の直下も岩が部分的に露出している状態ですが、支点が設置されている右岸寄りをつないで登れば少なくとも途中までは登れそう。気温の高さを感じながら薄手のバラクラバをかぶりヘルメットやハーネスを身に付け、ノダ氏が用意した長靴を履いて目の前の石狩川の渡渉にかかりましたが、水圧はさほど強くないものの水深が微妙に深く、わずかに長靴の中への浸水を許すことになりました。

F1の少し手前に荷物を置いてまずはソックスを履き替えたところで、ノダ氏がクランポンを車に忘れてきたことに気付きUターン……。戻ってくるまでの間にルーリーとロープを結び合い、私のリードで1ピッチ目を登り始めます。傾斜は緩くてまったく簡単ですが、氷壁の中央下部から左上に向かって顕著なクラックが入っており、さらに雪崩とまではいかないものの雪の塊が時折まとまって落ちてきている状態なので、少々緊張しながらスピーディーに、かつ慎重にスクリューを使いながら登りました。

出だしの60度ほどの斜面を30m登ると傾斜がぐっと緩み、雪の斜面になって歩けるようになり、そこからしばしの登りで右岸の岩壁に設置された2か所の支点に到達します。上の支点の方が残置スリングが太くしっかりしていたのでそこまでロープを伸ばしたところで、50mロープがほぼ一杯でした。

この間にクランポンを持って取付に戻ってきたノダ氏とルーリーにコールを送り、さて次は誰が登るかというところで若干の混乱あり。ビレイしている私からルーリーに「どうぞ〜!」と叫ぶと何か返事が返ってはくるものの直接見通せない地形になっていることもあって何を言われているのかわからず、やがて諦めたようにルーリーが上がってくる気配がしましたが、後から聞くとスクリュー回収の役割を引き受けようとしたノダ氏が先に登りますと言っていたのだそうです。登り始める前にしっかり決めておけばよかったなぁ。

1ピッチ目を登り終えた時点で見上げるとやはり上部の氷の状態は不安定、そして本流筋のラインには大穴が空いている状態で、仮に落ち口まで上がったとすると懸垂下降時にその穴に吸い込まれるリスクを抱えることになりそうです。ここは潔く完登を諦めることとし、雪壁登りに終始する2ピッチ目をルーリーがリードして40mほど登ったところにある灌木に設置された支点まで上がりました。ルーリーに続いて私が登り、次にノダ氏というところで右岸の岩壁の上からはみ出していた雪が落下しノダ氏の後頭部を直撃!幸い身体的なダメージは大きくなかったものの、ノダ氏は眼鏡を失うことになってしまいました。

これはさっさと下れということなのだろう……と思いながらもとりあえずノダ氏に2ピッチ目終了点まで上がってもらってから、懸垂下降開始です。

よく整備されて不安のない下降支点を二つ繋いで取付まで戻り、軽く腹ごしらえ。

この時点で既に14時近いので他の滝への転進は無理。そこでラインを変えてトップロープを張り、練習を重ねることにしました。

私のリードでF1の途中に支点を設置した後にルーリー、ノダ氏と登ってから、私が登って支点からさらに先にロープを伸ばし、F1終了点の支点まで上がって二人を迎えて再び懸垂下降で取付へ降りて、これでこの日の登攀は終了です。

てっぺんまで登ることはできなかったものの、それでも自由にアックスを振れることが楽しく、満ち足りた時間でした。これで渡渉時の浸水さえなければ最高なのですが、残念ながら帰路もまたまたソックスを濡らすことに。行きはそれほどでもなかったのに、帰りは足先から脳天に突き上げるほどの冷たさを感じ、必死の思いで車に戻ってソックスを脱ぎました。

再び沙羅さんのセブンに立ち寄ってビールやつまみを調達し、マウントビューホテルに投宿したら部屋で軽く一杯。その後、風呂に入ってさっぱりしてからビュッフェスタイルの夕食にもビールをつけて、もうこの時点で翌日のクライミングのことはすっかり忘れている状態です。ホテル内には無雪期の銀河の滝と流星の滝の写真が飾られており、あらためて銀河の滝の途中で何度も変わる斜度を記憶に刻みつけました。

2022/03/27

がんがんに暖房が利いて暑いくらいの部屋の中でおもむろに起床し、窓から外を見ると予報通りに黒雲が垂れ込め、みぞれ混じりの雪が降っています。昨日ノダ氏が眼鏡を失っていることもあり、やはりこの日の登攀は諦めることにしました。

そうと決まれば好きなだけ朝食をいただくばかりですが、食べ終わって部屋を引き払おうとしたときに青空が広がり始めました。あれれ、午前中は雨だったんじゃないのか?

まずは銀河の滝をもう一度見に行ってみましたが、昨日にも増して雪が落ち、流水の露出が広がっているようです。落ち口近くの黒い部分も明らかに大きくなっており、昨日のうちに登れたことを幸運だったと思うことにしました。

北上を始めたところすぐにしっかりした雨が降ってきたことで溜飲を下げ、しばしのドライブで旭山動物園に到着。旭川でクライミング以外のアクティビティを求めるならここを外すわけにはいきません。

すいすい泳ぐペンギンやアザラシのラブラブやヒグマのもぐもぐタイム(野菜ばっかり!)を楽しく眺めて時間のたつのを忘れそうになりましたが、実は伝えるのは、命というキャッチフレーズ通り園内各所に展示されている動物園からのメッセージは格調の高いもの。安定した生態系を脅かしてきた人間の責任の重さに気付かせてくれます。

その後、旭川市内の「よし乃」でヒグマのランチよりもハイカロリーそうな味噌ラーメン(ピリッと味が際立ち美味)を食し、旭川空港に送っていただいてノダ氏・ルーリーとはお別れ。スマホ片手にのんびり時間を過ごし、夕食にジンギスカンを食べ、ROYCEのお土産を買い、そしてポケモンのキャラクターを使った「ロコンジェット北海道」に乗って北海道を離れました。

こんな具合に来シーズンに向けた偵察程度に終わった今回の層雲峡でしたが、それでも友との再会や旭川観光が加わって実り多く楽しい2日間でした。ノダさん・ルーリー、ありがとうございました!次の渡道の際にもよろしくお願いします。

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