戸倉三山

日程:2022/03/13

概要:武蔵五日市駅からスタートし、今熊山から入って戸倉三山を巡り、戸倉城山まで達して武蔵五日市駅まで戻る22km。花粉のためにメタメタに。

⏿ PCやタブレットなど、より広角の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。

山頂:今熊山 505m / 刈寄山 687m / 市道山 795m / 臼杵山 842m / 戸倉城山 434m

同行:---

山行寸描

▲臼杵神社。ここにいるカバのような石猫にはぜひとも再会したかった。(2022/03/13撮影)
▲戸倉城山。眼下に武蔵五日市の市街が広がる。(2022/03/13撮影)

しばらく山歩きをしていなかったので、どこか軽めのトレーニングにふさわしいコースはないかと地図上を物色していたとき、1985年に歩いた戸倉三山が頭に浮かびました。戸倉三山とは刈寄山・市道山・臼杵山の三山を指しますが、出だしに今熊山、終わりに戸倉城山を加えて五山を通すコースにするとかなり充実しそうです。そうは言っても、まだ山歩きを始めて間がない頃に(城山以外を)歩き通せているのだから楽勝だろう、と半ばなめてかかったのですが……。

2022/03/13

△08:00 武蔵五日市駅 → △08:55-09:10 金剛滝 → △09:35-45 今熊山 → △10:50 刈寄山 → △12:50-13:00 市道山 → △14:15-25 臼杵山 → △14:35-40 臼杵神社 → △15:25 茱萸御前 → △15:45 荷田子峠 → △16:35-40 戸倉城山 → △17:40 武蔵五日市駅

2月の八王子八峰のときは始発電車で武蔵五日市駅に降り立ちましたが、今回はそこまで気張らなくてもいいだろうと新宿駅6時46分発のホリデー快速あきがわ1号で8時前に武蔵五日市駅に到着しました。

廣徳寺に向かう道すがらには大きな梅の木が生えており、既に満開でした。ここ2日ほど一気に気温が上がっていたために咲き急いでいるのだろうと思いますが、気温が上がれば活性化するのは杉花粉も同様です。これはヤバいことになるかも。

今熊山に登る道は3ルートありますが、今回は金剛滝に立ち寄ることにしました。標識に従って金剛滝方向を目指すと道は砂利に覆われた涸れ沢を上流へと向かい、やがて前衛滝の左岸に穿たれたトンネルをくぐります。

これが金剛滝、なかなか立派です。向かって左の中腹には不動明王らしき石像もあり、もしかするとここは修行場として使われていたのかもしれません。それにしても不思議なのは、先ほどの前衛滝の写真にあるようにこれだけの量の水がすべて伏流になってしまうことです。どういうカラクリなのか?

金剛滝から少し戻って再び標識に従って道を登ると先日歩いた十二曲がりの道に合流し、そこから一登りで今熊山の山頂に達しました。静かな境内で行動食をとり、上衣を脱いで長袖Tシャツ1枚の格好になってから縦走路に踏み出しました。

刈寄山の山頂は縦走路から少し離れたところにあるためピストンしなければなりません。ここで縦走路から北へ分岐する道に入ってしばらく行ったところで大部隊とすれ違うことになりました。先方が道を譲ってくれたのでお礼を言いながらどんどん進んでいったところ、その部隊の最後尾の女性が「あれ?」と声を掛けてくれて、見ればエベレスト街道以来の知り合いのひろみさん。まったく意外なところでの再会でしたが、彼女はガイドの一員としてこの大所帯を引率していて、そのコースは私の計画と同じ城山まででした。軽く握手を交わしていったんその場は別れ、私は素早く刈寄山のピークを踏んでからとって返して鳥屋切場のピークで追いついて記念のツーショット。後から写真を見ると私の方は目がしょぼしょぼしていて冴えない表情ですが、このときには既に花粉の洗礼を受けて絶不調になっていたのでした。

また会いましょう!とひろみさんと別れて先を急ぎ、市道山から北に向かいました。この区間を歩くのは冒頭に記した通り1985年(ただし逆コース)以来ですが、市道山からぐっと大きく下って臼杵山まで緩やかに登り返すこの道の大変さはまったく記憶に残っていませんでした。

地図に書かれたコースタイム通りの時間を使ってどうにか臼杵山に到着すると、近くに洒落た背もたれ付きの椅子(切り株)あり。ここでも手早く行動食をとり、先を急ぎました。この辺になると、どうやらこのコースは「軽めのトレーニング」ではすみそうにないことがわかってきています。

それでもちょっと寄り道したのは、どうしてもこの臼杵神社を再訪問したかったから。かつて登ったときに祠の左右にかしずく「カバのよう」な石猫が印象に残っていたのですが、あれから37年がたっても彼らは(多少苔むしてはいるものの)健在でした。なお、これは本当は猫ではなく狼だという話もある模様です。

猫にせよ狼にせよ彼らの達者な姿を確認したら、踵を返して戸倉城山を目指します。途中の開けたところからははるか彼方の低いところ(上の写真のほぼ中央)に戸倉城山が見えましたが、その遠さには少々へこたれそうになりました。

茱萸御前から荷田子峠までは昨年の棡葉窪遡行のときに歩いており、一方、荷田子峠から先は未体験区間です。

小さいアップダウンが続く道の途中には山の神らしき祠あり。そして送電鉄塔が立つあたりで十里木へ下る道を分けたら戸倉城山への登りにかかります。しかしこの登りは傾斜が緩やかで歩きやすく、フィナーレに向けて心穏やかに高さを上げていくことができました。

戸倉城山山頂の手前には公衆便所があり、一帯はよく整備されている印象です。そして野面積みの石垣を見たときに初めて、ここが本当に城跡だったことに気付きました。

山頂からは武蔵五日市市街が一望の下に見下ろせて、確かにここは物見の場所として絶好であることが実感できました。そしてこの眺めから視線を右へと回していくと、この日縦走した戸倉三山の山々が次々に視界に飛び込んできました。

戸倉城山の山頂から少し戻ったところから西戸倉に向けて下るとすぐに市街地に降り立つことができ、そこからは街道の舗装路をひたすら歩いて武蔵五日市駅に帰り着きました。

今回のコースは戸倉三山の前後を今熊山と城山でエクステンドしたかたちですが、今熊山の金剛滝と山頂神社の静謐な雰囲気、臼杵山から縦走路を少し外したところにある臼杵神社のこじんまりした佇まい、戸倉城山の城跡及び武蔵五日市市街の展望のいずれも魅力的で、これらを外したら戸倉三山はアップダウンが厳しいただの苦行に終わってしまいそうです。これから戸倉三山を歩こうとする人には、これら三つの要素は逃さないことを強くお勧めします。

ただ、この日は花粉の飛散がひどく、飛散改め悲惨と言ってもいい感じで、目の痒みとくしゃみとに苛まれながらの山行でした。いやー、つらかった。来週末は奥多摩のロングコースを1泊2日で歩くつもりでしたが、この花粉状況では再考が必要だな。