ミツマタヒルズ〜遠見山

日程:2025/03/20

概要:玄倉からミツマタヒルズを経て大ノ山に登り、遠見山まで足を伸ばしてから中川橋へ下る。

⏿ PCやタブレットなど、より広角の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。

山頂:大ノ山 723m / 遠見山 880m

同行:トモミさん / リナさん / エリー

山行寸描

▲ミツマタヒルズ(別館含む)。まだ五分咲きというところだが、十分楽しめた。(2025/03/20撮影)

春はミツマタ。やうやう黄色くなりたる山はだ、すこし明かりて、三つに分かれたる枝の、風にそよぎたる。

……というわけで昨年のこの時期は丹沢のミツマタの名所を2泊3日でつなぐ丹沢ミツマタ巡りという贅沢な歩き方をしましたが、今年はガールズを伴っての日帰り山行とし、手近かつゴージャスな大ノ山のミツマタヒルズを訪ねてみることにしました。同行者はおなじみトモミさんとエリー、それに昨年宮ヶ瀬湖周辺の山でご一緒したリナさんの3人です。

2025/03/20

△09:25 玄倉 → △12:25 大ノ山 → △13:05 遠見山 → △14:45 中川橋 → △15:15 ぶなの湯

新松田駅前を8時25分に発車するバスは乗客が座りきれない満員御礼でしたが、玄倉バス停で降りたのは我々を含めても10人程度。ここから少しの間はただの車道歩きなので、トイレだけ借りたらすぐに出発です。

玄倉川橋を渡って左に進み、わずか200mほどで目指す今日沢こんにちさわ左岸尾根の支尾根の末端に到着して、ここで本格的に身繕いを行います。登山道がないコースを歩くためにヘルメット・チェーンスパイク・トレッキングポールの三点セットは必需品で、さらに前日丹沢の主稜線上に10cmを超える積雪をもたらした雪を懸念してスパッツも各自用意していたのですが、見上げる大ノ山には雪の気配はなさそうです。そして仕上げに花粉対策としてヒマラヤ土産のバフをセットすれば、準備完了です。

尾根の末端から鉄砲登りに高度を上げるとおよそ30分ほどでミツマタの群生が見えてきて、ガールズのテンションは早くもMAXです。

事前の情報ではまだ満開には程遠い状態ということでしたし、確かに見た目にも五分咲きくらいかな?という感じはしますが、それでもこうして見上げる構図のミツマタは黄色い壁になって立ちはだかるようです。

本当は快晴であってほしかったところですが、こればかりはいたし方ありません。ときどき頭上に青空が顔を覗かせるタイミングを逃さず、差し込む陽光を活かしてすかさず写真を撮りまくります。

ガールズはいずれも写真撮影が趣味で、今回もトモミさんとエリーは(私の目には)ごついカメラを首から下げています。3人が歓声を上げながら撮影を始めると私は「じゃ、先に行ってるから」と声をかけてしばらく登り、平らなところに着いたらリュックサックを下ろしてぼんやりし、撮影に満足した彼女たちが上がってくるのを待つことの繰り返し。ここはドラゴンボールと同じで、ひとつ終わると次にはそれまでの3倍くらいすごい強敵(撮影ポイント)が出てくるんだよ、と説明はしましたが、そう言われたって目の前にキレイなミツマタが現れればカメラを向けたくなる気持ちはよくわかります。

それにしてもこの見事なミツマタ群生地を我々だけで独占できたのはラッキーでした。ミツマタヒルズは知名度がまだそれほど高くないのかな?

背後に丹沢湖を見ながら背の低い笹原を登るようになったらミツマタヒルズの終点は間近。懸念していた雪は結局ほとんど見られませんでした。

今日沢左岸尾根のてっぺんにある平坦地に着いたら小休止とし、各自の行動食に加えトモミさんが配ってくれたおやつをありがたくいただいて、しばらくのんびり過ごしました。この日はそこそこ暖かかったし地面も若干の湿り気を感じたので、こうしている間にもヒルが出やしないかと私は目を光らせ続けたのですが、幸いにもやつらが暗躍することはありませんでした。

ミツマタ鑑賞が終わり、あとは下山するばかりですが、最短下山路となる大ノ山の南尾根(今日沢右岸尾根)はやはりミツマタが見事ではあるもののザレで下りにくいことを私は体験済みです。それに下山後には「ぶなの湯」に入ることにしていることもあって、遠回りにはなりますが稜線上を高度を上げながら北上して大杉山南山稜上の遠見山まで達し、そこから西へ下る計画にしていました。この時点では、ミツマタとはもうおさらばだと思っていたのですが……。

大ノ山から遠見山までの稜線は部分的に傾斜がきつく、少なくとも下りには使いたくない感じ。それでも時折白く雪をまとった丹沢主稜線(方角からすると丹沢山あたり?)を眺められて、飽きることはありませんでした。

さすがに遠見山の山頂周辺には雪がうっすら残っていたものの、そこから西へ下る尾根に踏み込めばやがて雪は消えてくれました。この尾根もところどころに斜度が急で慎重に降りなければならない箇所がありましたが、沢登りの心得があるエリーはもとより、トモミさんもリナさんも何ら怖がる様子を見せることなく的確なラインを見つけて下っていくことに舌を巻きました。4人の中で一番腰が引けていたのは、自分だったかも。

ともあれこの尾根を下り続けて末端近くのP540に達したところで、当初の予定では中川橋に近づく方向になる北西の尾根を下るつもりだったのですが、反対の南西尾根にピンクテープが続いていることに気がつきました。ここまで下ってくればどちらをとっても大差ないだろうとそちら(南西)に踏み込んでみると……。

これはびっくり!こちらにも見事なミツマタの群生地がありました。さすがに本家ミツマタヒルズの密集度には及びませんが、緩やかな尾根の左右にミツマタが広がる様子は見応えがあり、我々は勝手に「ミツマタヒルズ別館」と名付けてご満悦。

普段は上品な言葉遣いのトモミさんも思わず「こりゃスゴいな」と喜色満面ですし、リナさんもエリーも「ヤバい!」「スゴい!」と完全に語彙力を失っていました。こんな具合に最後に思わぬご褒美をいただいてから無事に中川川左岸の道に降り立ち、ここで事実上の山行終了です。

中川橋を渡ったところから振り返ってミツマタ群生地の黄色を再確認したら、30分ほど歩いたところにある中川温泉「ぶなの湯」でゆっくり疲れを癒し、その後バスで新松田駅前に戻って駅前の居酒屋で打上げ&ニュージーランド報告会を行いました。トモミさんとエリーは一緒に、そして私は別口で、それぞれコロナ禍直前にNZのルートバーン・トラックを歩いているのですが、昨年末にリナさんもルートバーントラックを歩いたので、これで4人ともNZ仲間かつ丹沢仲間になったというわけです。