南山〜高取山〜仏果山

日程:2024/12/07

概要:鳥居原ふれあいの館から権現平に登り、南山を経て宮ヶ瀬ダムに下った後、高取山に登り返し仏果山まで歩く。

⏿ PCやタブレットなど、より広角の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。

山頂:南山 544m / 高取山 705m / 仏果山 747m

同行:トモミさん / リナさん

山行寸描

▲権現平から見た宮ヶ瀬ダムとダムが作る宮ヶ瀬湖。右には高取山と仏果山。(2024/12/07撮影)

2022年の「東丹沢周回」を計画する際に、ひとつ問題になったのが宮ヶ瀬湖周辺のコースどりでした。できることなら山から山へと道をつなげたいので鳥屋から南山を経て相州アルプスにつなげたかったのですが、計算してみるとそれでは華厳山からの厳しい下りに差し掛かるあたりで夕闇につかまってしまいそう。このため、そのときはやむなく宮ヶ瀬湖西岸を通って高取山と仏果山の間にある宮ヶ瀬越へ乗り上げた(下図エンジ色の線)のですが、以来いつかは南山を歩いてミッシングリンクを埋めたいと思っていました。

そんなわけで、これまでたびたび癒し系登山につきあってもらっている山友・トモミさんに声を掛け、さらにトモミさんの同僚のリナさんも加わって実現したのが、南山から高取山を経て仏果山へ継続するこの山行です。

2024/12/07

△09:00 鳥居原ふれあいの館 → △10:15-20 権現平 → △10:45-50 南山 → △11:40-12:20 水とエネルギー館 → △13:40-45 高取山 → △14:10 宮ヶ瀬越 → △14:30-35 仏果山 → △14:55 宮ヶ瀬越 → △15:45 仏果山登山口

早朝に橋本駅に集合し、神奈中バスで鳥居原ふれあいの館いえに到着。ゆっくり身繕いをしてから出発です。

春から秋にかけてはヒルの巣窟となるというこのあたりも、さすがに今はそうした懸念はないので、足元を気にすることなく立ち止まってじっくりカメラの腕をふるうことができます。

正直なところ紅葉はもう終わっているだろうと思っていたのですが、意外にもところどころに鮮やかな赤や黄を見せてくれる紅葉が残っており、そうしたところではもれなく足が止まって撮影会が始まります。

そうこうしているうちに到着した権現平は、南山園地とも呼ばれるだけあって穏やかな起伏を伴う広場の中にヒルさえいなければ居心地の良さそうな休憩施設が設置されており、さらにその奥の展望台からは見事な眺めが得られました。

眼下には宮ヶ瀬湖と宮ヶ瀬ダム、その右に後で登り返すことになる高取山と仏果山。遠くには東京のビル群が建ち並び、左端にちらっとスカイツリーも見えていました。

権現平という名前はおよそ山らしくありませんが、実はここがこの山塊での最高点(569m)です。そこから下り気味に穏やかな山道を歩くと、すぐに辿り着く開けた場所が南山(544m)で、権現平ほど広くはありませんがこちらにもベンチがあり、宮ヶ瀬湖を見下ろす眺めも気持ちの良いものでした。

また、ここからはてっぺんに電波塔を立てた大山や雄大に連なる丹沢主脈の山々を眺めることができて、権現平とは一味違った山岳展望を楽しむことができました。

南山から南東に進んで折り返すと車道に降り立ち、そこからわずかに上り坂を歩くと宮ヶ瀬ダムが巨体を現します。その右岸側では、予想以上の高距を予想外の急傾斜で上下するインクラインが動いていました。

ダムの上を渡って「水とエネルギー館」でランチタイム。こういうところにはたいていダムカレーがあるんだよね、といった話をしながら近づいてみると、こちらの名物は放流カレーでした。三人とも一応昼食を持参してはいるものの、これを見てはカレーに手を出さないわけにはいきません。かくしてトモミさんはカレーうどん、リナさんはお子様サイズの放流カレー、そして私はもちろん正調の放流カレーを注文しました。

謹みて行う「放流の儀」。お味の方はチケット受付で予告されていた通り辛さ強めですが、スパイシーな中にも甘味と旨味が感じられてたいへん美味でした。おかげで「辛い辛い」と言いながらスプーンが止まらず、放流カレーはあっという間に決壊カレーに変じ、やがて跡形もなくなりました。

エネルギーを補填したところで登山再開。高取山への道は、これを下りにとったら恐ろしいだろうなと思えるほどの急坂から始まります。

しかし急坂はさほど長くは続かず、高取山から北北西へ下る尾根上を送電線が横切る場所では広い眺めを得ることができ、さらに登ったところでは立派な紅葉の木が独りで上から下まで真っ赤な姿になっている様子を見下ろすこともできました。

こんな具合に傾斜が緩んでしまえばゆとりができて、おしゃべりをしながらの歩きが続くことになりますが、話題はもっぱら今度の年末にリナさんが歩く予定のルートバーン・トラックに関する質疑応答(私もトモミさんも2019年の年末にこのトランピングルートを歩いています)と、先日の私のアマ・ダブラム登山のあれやこれや。

やがて尾根の幅が狭くなり、さらに岩がちの急坂が現れたら高取山の山頂は間近です。

前方に高取山山頂の展望塔が現れ、近くのベンチで宴会をしているらしい登山者たちの楽しそうな声も聞こえてきました。これで、私にとっての今回の山旅の目的であった「東丹沢周回」の落穂拾いが完了したことになります。トモミさん、リナさん、つきあってくれてありがとう!

ちょっと怖くなるほど高さがある高取山の展望塔のてっぺんからは文字通り360度の展望が得られ、この後に訪れる仏果山もすぐ近くに見えましたが、はるか下にいる宴会パーティーの一人の「わたし、お餅だけ食べる〜」と言っている声が聞こえると「お餅かー」「お餅いいね……」「お餅食べたい」と三人とも心をお餅に奪われてしまいました。

高取山からすぐ近くに見えていたはずの仏果山は意外に近くではなく、アップダウンを繰り返した末にやっと到着しました。「落穂拾い」という観点ではわざわざこの山に登る必要はなかったのですが、リナさんはこの山域に来たことがなかったので、せっかくの機会だから相州アルプスの最高峰に登ってもらおうという意図から足を運んだものです。しかし、この頃になると雲が広がってやや暗くなり、しかも山頂には誰もいなくて寒々しい空気が漂っていました。

このため、山頂のお地蔵さんに挨拶をしたらさっさと下山を開始し、宮ヶ瀬越まで戻ってから宮ヶ瀬湖方面への下り道に入りました。

この下り道のところどころでも、鮮やかな紅葉を見ることができました。日がかげってしまっていたのは少し残念ですが、それでもどうやら我々は、紅葉シーズンの最後のひとコマを目撃する幸運に恵まれたようです。

こうして歩きやすい道をぐんぐん下り、最後にちょっとだけ荒れた箇所をフィックスロープ頼みで渡って、無事に宮ヶ瀬湖畔の仏果山登山口バス停に降り立つことができました。このバス停にやってくるバスは1時間に1本しかありませんが、うまい具合にバス到着時刻の20分前にここに降りることができ、先にここに着いていた別パーティーと会話をしながら下界向けの身ごしらえをして、さほど待つこともなく本厚木行きのバスに乗ることができました。