高畑山・倉岳山〜高柄山・御前山

日程:2023/05/05

概要:高畑山・倉岳山から高柄山を経て御前山への低山縦走。秀麗富嶽十二景第9番から東へ行けるところまでという緩い計画で歩き、富士山の展望と新緑の広葉樹林を楽しんだ。

⏿ PCやタブレットなど、より広角の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。

山頂:高畑山 982m / 倉岳山 990m / 高柄山 733m / 御前山 484m

同行:---

山行寸描

▲高畑山山頂。今回は見事な富士山の眺めに接することができた。(2023/05/05撮影)
▲御前山山頂。標高は低いがこれほどの展望が得られるとは予想外だった。(2023/05/05撮影)

この日は日帰りソロで沢登りに行こうと思っていたのですが、2日前の陣馬山(というより山下屋)で飲み過ぎたためにやや不調。こういうときは無理は禁物だと自重して軽めのハイキングでお茶を濁すことにしました。行き先をどこにするべきか……と地図をあれこれ見ているうちに思い出したのが「秀麗富嶽12景」というキーワードで、これまで登っているのは12景20ピークのうち岩殿山滝子山百蔵山・扇山の四つ。ついては今回は、百蔵山・扇山と中央本線をはさんで向かい合う位置(南側)にある高畑山・倉岳山に登ることにしました。ただしこの二つのピークを踏むだけではあっという間に山行が終わってしまうので、高畑山から倉岳山を越えて東へ続く稜線を行けるところまで行くというユルめのプランとし、Compassの登山届では高柄山の先の御前山から上野原へ抜ける計画を提出しました。

2023/05/05

△07:20 鳥沢駅 → △09:25-35 高畑山 → △10:10-20 倉岳山 → △11:50-12:05 寺下峠 → △12:40 矢平山 → △14:00-05 高柄山 → △15:25 御前山 → △16:10 上野原駅

眠い目をこすって朝一番に近い電車に乗り、降りたところは中央本線の鳥沢駅。この駅に降りるのは初めてですが、ホームはローカル色を感じさせつつも駅舎は清潔に整備されており、駅前にはトイレも設置されていて好印象です。

鳥沢駅からはすぐ南側に目指す高畑山(右)と倉岳山(左)が並んで見えており、いったん東へ甲州街道を少し戻ってから南に向かって線路と桂川とを横断して山道を目指します。

集落の中を抜けて山裾に差し掛かったところに小篠貯水池の改修工事に伴うゲートがあって道を塞いでいましたが、右端の三角形のところに人が通行するための扉が設けられており、難なくここを通り抜けることができます。すっかり干上がって重機が入っている貯水池の脇を抜けた先で道は車道から山道に変わり、緩やかな傾斜の中の少々荒れた感じの道をどんどん詰めて途中の分岐を右へ、高畑山へダイレクトに登り着くコースをとりました。

こちらの斜面はなかなか立派な植林地となっており、その途中には仕事小屋の跡地らしい小さな平坦地もありました。そこには公式の道標に手書きの地名表示が掛けられていて「仙人小屋跡地」とあるほか武田菱と三つ星紋まで描かれていてそれらしい雰囲気ですが、本当は「仙人」ではなく「杣人」なのでは?

植林地を抜けて明るい広葉樹林の尾根道をひたすら登ると、やがてこの日最初のピークである高畑山に到着しました。先客は単独の男性1人だけのこの静かな高畑山とこれから向かう倉岳山は二つ合わせて秀麗富嶽12景の9番山頂とされていますが、まずはこちらの山頂から、まさに秀麗富嶽の呼び名にふさわしい富士山の姿を拝むことができました。

高畑山から東に向けていよいよ縦走開始。ところどころで北側の展望が開けており、昨年10月に登った百蔵山と扇山をはじめ、その位置と開けた方角とによってさまざまな山の姿を見ることができました。

早足で歩き続けて35分ほどで倉岳山に到着すると、こちらでは複数の先客が会話を交わしていて賑やかな雰囲気(といっても数人)です。

倉岳山の方が高畑山よりわずかに標高が高いのですが、勢いの良い樹木が富士山の方角に繁茂していて富嶽の眺めはイマイチ。高畑山の方が富士山の展望台としては上です。

さらに東へ。この稜線はそのところどころに峠を持っており、北と南との間で歴史的に人の往来が頻繁であったことを窺わせます。また山自体も生産の場として活用されており、いたるところで稜線まで植林地が上がってきていました。

しかし全山植林の山というわけでもなく、広葉樹が卓越しているところでは日の光を透過させる若葉の明るい緑が素晴らしい光景を作り出していました。

花々は決して多い方ではありませんが、それでもところどころに朱色のツツジが咲き、今を盛りと藤の花の房も垂れていました。コースはおおむね平坦ですが、寺下峠から矢平山に登る坂道は例外的に岩がちの急登となっており、手をつかう場面もありました。

その矢平山の手前でゴージャスに咲き誇る白い花がひときわ見事でしたが、これはコブシ(ズミ)でしょうか?試みにiPhoneのアプリに花の名前を探らせてみたところ「ナス科 82%」と出ましたが、いくらなんでもそれはないでしょう。

何カ所かの峠はあるもののコースは一本道でわかりやすいものでしたが、新大地峠あたりだけは道標の向きと道筋との関係が少々錯綜していてルートを慎重に読む必要があります。

大丸から少し下ったところで林道にぶつかり、車道をごくわずか左に歩いて再び山道に入りますが、その入り口には「熊出没注意」の標識あり。よってここから熊鈴を身につけました。

千足峠から少し登って北東に展望が開けた高柄山に着いたところで時刻は14時。最短距離で下山するなら千足峠に戻って北へ下れば2時間もかからずに四方津駅に到着するのですが、これならさらに縦走を続けて上野原駅を目指しても問題はなさそうです。いや、実は問題がないわけではなくて、この日水分は500mlのPETボトル1本のスポーツドリンクしか持っていなかったために、この山頂に着いた時点で残量ゼロ。上野原駅方向の山道区間のコースタイム2時間あまり(上野原駅まではプラス30分)を水分無補給で歩き通さなければならない羽目に陥ったのは、さすがに無謀でした。

高柄山から北東へ下って行くと休憩舎がある新矢ノ根峠を経て道は高度を下げ続け、やがて沢筋の中のやや寂れた感じの踏み跡を辿ってから御前山に向かって急な登りに転じます。

最後の最後にこれか!と思うような急登の後にわずかに下り、鞍部から再び急な登りをこなすと「はさみ岩」と呼ばれる小さな岩塔があって、そこからは来し方を振り返り見ることができました。とはいうものの、重なり合う山々のどれがどれと山名を同定することは、このあたりの地理に明るくない自分にはできませんでした。

この日の最後のピークである御前山に着いてみると、ちょうど女性ばかりのグループが山頂で寛いでいるところでした。地図を見る限りではこの標高500mにも満たない山は縦走最後のいささか余計な盛り上がりくらいの認識でしかなかったのですが、実際に登頂してみると北に向かってすばらしい展望が広がっており、桂川から一気に立ち上がっているだけに高度感も抜群。しかも山頂やその近くには由緒ありげな石祠もあって、縦走の締めくくりを飾るにふさわしい風格が備わっていました。

御前山からの下りは岩がちの中にザレが滑りやすい急降下で、安全に下るためにはフィックスされているロープの助けを目一杯借りる必要がありました。

この日は気温が高い上に風もなく、Tシャツ1枚になって歩いてはいたものの自分の喉はさすがにからから。下界に降り着いて最初に見つけた自動販売機で清涼飲料1本をまずは一気飲みし、ゴールの上野原駅に着いたところでもう1本と立て続けに水分を補給してようやく落ち着いてから、下山通知を送りました。最後は少々しんどい目にあいましたが、終わってみれば歩行距離はほぼ20kmとそこそこ充実し、富士山の展望にも新緑の広葉樹林や花々の色彩にも恵まれて楽しいハイキングになりました。