高水三山

日程:2022/01/30

概要:軍畑駅を起点に高水山・岩茸石山・惣岳山の高水三山を巡り、御嶽駅に下る。その後に御岳渓谷のボルダー群を見物して、最後は小澤酒造の澤乃井園で〆。

⏿ PCやタブレットなど、より広角(横幅768px以上)の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。

山頂:高水山 759m / 岩茸石山 793m / 惣岳山 756m

同行:ガーコさん / サチコさん

山行寸描

▲岩茸石山から見た関東平野。高水山の向こうにスカイツリーが見えたほか、北の方には男体山他の日光連山の白い姿も眺められた。(2022/01/30撮影)

新型コロナウイルスがまん延するようになって以来、医療従事者ということもあってクライミングからも山歩きからも遠ざかっていたジム仲間ガーコさん。それでもなんとか山へ引っ張り出せないものかとときどき声を掛けていたところ、やっと山歩きができるようになってこの日のハイキングになりました。そこに同じくジム仲間で近頃あまり山を歩いていないというサチコさんも誘い、行き先は二人の希望に沿って「ゆるふわ」の奥多摩・高水三山。ガーコさんとは2020年2月以来、サチコさんとは2019年9月以来の山行です。

2022/01/30

△09:20 軍畑駅 → △09:50 高源寺 → △10:55-11:05 常福院 → △11:10-20 高水山 → △11:45-50 岩茸石山 → △12:35-40 惣岳山 → △13:50-14:00 御嶽駅 → △14:30 澤乃井園

新宿駅からホリデー快速に乗って青梅駅で降り各駅停車の奥多摩行きを待っていると、メガネを掛けた見知らぬ女性がじっとこちらを見ています。「誰?この人……」と不審に思う気持ちをもろに顔に出して見返すと、それが久しぶりに対面するガーコさんでした。以前のガーコさんはメガネを掛けていなかった上に、顔の下半分をマスクで覆っているのですぐに彼女と認識することができなかったのですが、もともと笑い上戸のガーコさんはこれがおかしくてたまらなかったらしく早くも大笑い。

軍畑駅でサチコさんとも合流して、のんびりと車道を北上します。最後尾をのろのろついていく私を尻目に二人は近況を報告し合いながらの女子トーク炸裂で、一瞬たりともおしゃべりが止まる気配がありません。

やがて車道のどんづまりから山道に入ると傾斜がきつくなってきて、さすがに女子トークもトーンダウン。きつい!というほどの急坂ではないもののそれなりに絞られる登り道で、ところどころに立つ合目石が励みになります。

やがて登山道は尾根の上に乗って傾斜がマイルドになり、上成木からの道を合わせたらわずかで常福院手前の水平道に変わります。

やがて到着した懐かしの常福院は何度か参加した青梅高水山トレイルランの折返し地点としてたびたび訪れており、最後にこの大会に参加したのは2014年4月です。その後に棒ノ折山からここまでプライベートで走ったのが2017年の大晦日。よってほぼ丸4年ぶりにここに詣でたことになります。あいにく小銭の持合せがなかった私はガーコさんに100円玉を借りてお賽銭とし、コロナ調伏を祈って手を合わせました。

常福院の背後に少し登ったところが高水山の山頂で、そこにしつらえられたベンチに腰掛けてランチとすることにしました。ところが、私が持参したパンの二つ目の包装を開こうとしているときにガーコさんは早くも出発準備完了という状態で、これには私もサチコさんも目を白黒させてしまいました。聞けばガーコさんはいつも引率してもらっているガイドから迅速行動を叩き込まれてきたそうで、そのためいつもの調子でさっさと休憩を切り上げようとしてしまったのだそうです。いくらなんでも昼食休憩(大休止)を5分間で終えるというのは心身両面で良くないと思いますよ、まぁ落ち着きなさいと私はリュックサックに入れてきたみかんを取り出して配給し、ようやくもう一つのパンを片付ける時間を確保することができたのでした。

休憩終了。由緒ありげな石祠を横目に縦走路を歩きます。冬枯れで見通しが良く、道幅も広くて歩きやすい道を最後にぐいと登り返すと岩茸石山です。

眺めの良さはピカイチの岩茸石山からは行く手に川苔山や棒ノ折山が望め、右に振り返ると関東平野が広がっています。やや霞んでいて見通しはさほど良くありませんが、それでも先ほどそこにいた高水山の向こうに遠くスカイツリーのとんがりを視認できた上に、おおむね北の方角には雪を纏った日光の山々(とりわけ男体山)を見ることもできました。

岩茸石山から惣岳山までの間には広く伐採された区間があり、ここからも左に東京方面を見通すことができたほか、振り返ると高水山から岩茸石山へ続く稜線も眺められて気分良し。さらに惣岳山の手前にはクライマー魂をそそる岩のセクションもあって楽しいところです。

だだっ広い広場になっている惣岳山の山頂には青渭神社の社殿が建っていました。主祭神は大国主命で、金網に囲まれて保護されている社殿は弘化2年(1845年)に「再建」されたものだという説明書きがありましたが、目を引いたのはその側壁の浮き彫りです。

どの図柄も何やらいわくありげな神仙風の人物と共にそれぞれ蛙、童子(?)、亀が彫り出されており、なんらかの伝承に基づくものだろうと思うのですが、それが何に由来するのかはわかりません。しかし、その見事な出来栄えからしてこの宮がずいぶんと崇敬を集めていたのだろうということは伝わってきます。

御嶽駅方向に下る途中にも小祠(井戸)や御神木があって宗教的な雰囲気が濃厚ですが、誰が置いたのか「いいね」マークのような石もあったりして思わずにやりとしてしまいました。

さて、昨年5月以来の山行だというガーコさんはそんな素振りも見せずにここまで我々パーティーを牽引してきていたのですが、惣岳山からの下りに差し掛かる頃から膝ががくがくし始めたそうで、このことがまたガーコさんの笑いのツボを刺激した様子。ヘタってきている自分を自分で笑い飛ばしながら、それでも最後まで先頭を歩き続けてついに下界に降り立ちました。お疲れさまでした。

JRの線路を渡って少し下ったところには蕎麦処の玉川屋さんがあるのでそこでしっかりした食事をとろうと思っていたのですが、残念ながら「本日休業」の標識が出されています。仕方ない、とりあえず御嶽駅まで行ってその先を考えようということにし、車道をしばし歩いて駅の前に着いたところで山行終了(=GPS記録停止)としました。

さて、せっかく御嶽駅まで降りてきたのなら御岳渓谷を歩かない手はありません。ガーコさんもサチコさんも御岳ボルダーは経験がないそうなので、ここから沢井駅までの遊歩道を歩きながら有名どころの岩を紹介することにしました。

まず立ち寄ったのは「とけたソフトクリーム」で、このアンダーガバが7級、こっちのつるりとした壁が恐怖の9級……などと解説しつつ岩に触ってもらうと、二人ともそのつるつる具合とホールドの小ささに驚いた様子です。さらに遊歩道を下流へと歩いて対岸のおなじみマミ岩や「忍者返し」を眺め、そのまま散歩ペースで小澤酒造を目指しました。

最後は小澤酒造の澤乃井園で、私は「元禄酒」「東京蔵人」「大吟醸」の飲み比べセット(湯豆腐付き)にもつ煮込みをつけて〆としました。ガーコさんとサチコさんもそれぞれに好みの料理をとって食べ飲みしながらここでもおしゃべりに花を咲かせましたが、ふと気付けば15時台の上り列車の時刻まであと10分未満。これを逃すと次は1時間後だ!とあわててテーブルの上を片付け脱兎の如く駆け出したのですが、既に足を使い切っていた2人には(実は私にも……)与えられた時間の中で沢井駅の手前に立ちはだかる坂道を駆け上る余力は残されていませんでした。