西沢渓谷

日程:2024/05/18

概要:西沢渓谷の遊歩道をぐるっと歩く。たかがハイキングと甘く見ていたが、歩いてみたらそれなりに手応えがあった。

山頂:---

同行:ユキ

山行寸描

▲西沢渓谷の名所の数々。想像していた以上に見栄えがして面白かった。(2024/05/18撮影)

2024/05/18

△10:15 西沢渓谷入口 → △10:40 西沢山荘 → △12:10-25 旧森林軌道 → △13:40 ネトリ大橋 → △13:55 西沢渓谷入口

この日の山行は、家族サービスついでの西沢渓谷。東沢の方には沢登りのアプローチとして何度か入っていますが、西沢に入るのはこれが初めてです。

西沢渓谷入口から西沢山荘を経て吊り橋を渡るところまではつい3週間前にも歩いたばかりですが、いつもは橋を渡った先から右へ折れるところを遊歩道の導くままに直進すると、わずか10分あまり歩いただけで「三重の滝」に到着しました。

おお、これはなかなかダイナミック!東沢と比べるとのっけから両岸が迫っていて、それだけに水の勢いがじかに感じられます。

その後も「ウナギ床」「人面洞」「竜神の滝」「恋糸の滝」と見どころが次々に出てきます。このあたりはさすが観光地化されている西沢渓谷、景観もさることながらネーミングの工夫が歩く者を飽きさせません。

道はおおむね左岸の中腹を通っていますが、「貞泉の滝」の上では沢筋にぐっと近づいて飛び込もうと思えば飛び込めるくらい(しませんけど)。

側壁の巨大なポットホールやカエルの形をした岩などを面白く眺めながらどこまでも上流に進んでいくと……。

方丈橋を渡って右岸に移った先で、西沢渓谷の名物「七ツ釜五段の滝」が目の前に現れました。

西沢渓谷と言えば紅葉の季節のこの滝の写真が有名ですが、新緑のこの時期でも十分に綺麗。なかなかの見応えです。

最後に「不動の滝」を上流に遠望してから右岸の斜面をどんどん登っていくと、旧森林軌道に乗り上がりました。ここは西沢渓谷の遊歩道の折返し点になっており、ベンチやトイレも設置されていて大勢のハイカーが休憩していましたが、同時にトイレの向こう側は黒金山に通じる登山道の入口にもなっています。地図であらためて確認してみると登山道は南西に尾根を登っていくつかの鞍部を挟みながら黒金山まで繋がっており、そこから南へ下れば乾徳山、西北の方角へ西沢の源流をぐるっと回れば北奥千丈岳まで歩くことも可能でした。特に後者は大昔に『岳人』か『山と溪谷』の記事で積雪期に北奥千丈岳の方から黒金山を越えて徳和へ下る山行の記録を読んだことがあり、それ以来なんとなく気になっていたルートです。わざわざ雪の季節に歩こうとまでは思いませんが、シャクナゲの時期になら歩いてみてもいいかも。なにしろ国師岳から大ダオまでの長大な尾根には「石楠花新道」という名前がつけられているくらいですから。

休憩を終えたらところどころにレールを残している森林軌道の跡を辿って下山です。この軌道は解説によれば塩山駅まで繋がっていたそうで、主として西沢・東沢一帯の県有林の木材搬出に使われていたそうですが、ほとんどアップダウンがなくて歩きやすいことこの上ありません。

それにしてもずいぶん高いところに道(軌道)を通したものだなと感心しながら気持ちの良い新緑の中の道を歩いていると、ところどころに「○○ころばし」と名付けられたポイントがあって、そこは「○○」さんが操作ミスでトロッコもろとも沢に落ちたところだという話ですから恐ろしいことです。

途中の展望台から奥秩父主脈の破風山あたりを対岸に眺めたら、残りはあとわずか。

山の神に手を合わせて少し進んだ先で車道に出て、ネトリ大橋を渡ったら往路に合流します。そこから起終点である西沢渓谷バス停までは目と鼻の先でした。

トータル約10kmほどの遊歩道の周回は、たかがハイキングと甘く見ていたら存外しっかりした山歩きでしたが、それでも行きも帰りもよく整備された道を楽しく歩くことができました。なお上の軌跡図はジオグラフィカが自動生成したもので、これだと往路は「三段の滝」あたりから西沢の右岸を歩いているように見えますが、実際には上述の通り最上流部の方丈橋(「七ツ釜五段の滝」の手前)までずっと左岸を歩いています。