塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

伊豆ヶ岳

日程:2022/12/10

概要:西吾野駅から足留ノ滝を経て伊豆ヶ岳に登り、南東へ進んで子ノ権現。そこから吾野駅まで下る途中で浅見茶屋に立ち寄り、おいしいうどんと甘味を賞味。おまけとして東郷元帥詣でに小川町での温泉と創作フレンチを堪能。

⏿ PCやタブレットなど、より広角(横幅768px以上)の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。

山頂:伊豆ヶ岳 851m

同行:トモミさん / エリー

山行寸描

▲古御岳の南面に残っていた紅葉。これもあとわずかで枯葉になってしまうはず。(2022/12/10撮影)
▲子ノ権現から愛宕山を越えて迎えに来てくれたトモミさんとエリー。親孝行すぎる(涙)。(2022/12/10撮影)

2週間ほど前に伊豆ヶ岳周辺を歩いたものの、吾野駅へ下る途中にある浅見茶屋が休業中だったために名物のうどんを食べられず残念な思いをした私。そのことを知ったトモミさんとエリーから声が掛かり、再び奥武蔵を歩くことになりました。ただし浅見茶屋の営業時間を考慮すると、ちょっと遠いところに住んでいるトモミさんが伊豆ヶ岳を北から南に越えて浅見茶屋でうどんにありつくのは難しそう。そこで「娘たち」二人は少し遅めの出発で西吾野駅からダイレクトに子ノ権現を目指すことにし、一方こちらはやはり西吾野駅から地図上に「旧登山道」と書かれている廃道(?)を使って伊豆ヶ岳に登り、子ノ権現まで縦走することになりました。待合せは正午に子ノ権現です。

2022/12/10

△07:10 西吾野駅 → △07:50-55 諏訪神社 → △08:30-40 足留ノ滝 → △09:50-10:00 伊豆ヶ岳 → △12:10-15 子ノ権現 → △12:50-14:05 浅見茶屋 → △14:35-15:00 秩父御嶽神社 → △15:20 吾野駅

昨日の丹沢・鍋割山に続いてこの日も始発電車。ちょっとつらい出動で西武線の西吾野駅に降り立ったのは6時59分です。寒い!そして駅前には何もない!

幸い飲料の自動販売機で温かい飲み物を買うことができたので、これでお腹を温めてから衣類をありったけ着込んだ状態のまま車道を歩き出しました。道は始めのうち高麗川沿いを上流に向かい、途中で枝道に入ってから「子乃山南川登山口」と彫られた古い石標がたもとに立つ鳥居橋で高麗川を渡ると寒々しい谷筋の中を進み、やがて山の中へ分け入っていく分岐に至ります。この分岐点にも古い石標が立っており、そこには「諏訪神社入口従是六町四拾間」と彫られていましたから、往時はそこそこの人がこの道を辿ったであろうことが窺えます。

ゆるゆると坂道を登ると道の右側に諏訪神社が現れました。その立地からして参拝する人は限られるだろうと思われるにも関わらず、緑の文字で「諏訪大御神」と書かれ青い縁取りがなされた額を掲げる明神鳥居は貫(下側の横木)から下がコンクリート製、そして奥の拝殿の欄間彫刻も青くうねる波間に真っ赤なタコやらタイやらが躍動する比較的新しいもので、今でも崇敬を集めているらしいことがわかります。

下山後にざっと調べてみたところでは、この諏訪神社では今でも8月16日・17日に三匹獅子舞(ささら獅子)が奉納されているそうです。さらにこの地方には同様に獅子舞の奉納を受ける諏訪神社が複数存在し、それらの中心は飯能の諏訪八幡神社であるようです。

車道をさらに奥へ進むと植林地の中の登山道へと変わりますが、沢沿いで大まかな方向は間違えようがないものの道は枯葉に覆われて見つけにくく、ところどころのケルンやピンクテープを探しながらの厄介な歩きが続きます。

標高500mにある足留ノ滝は、どんなに立派な滝だろうと思っていたら水はちょろちょろ、高さも数メートル程度と拍子抜け。ただしこれを正面から見上げるために登山道から滝の下へ降りようと思うと、足場の悪い斜面を慎重に下らなければならないので要注意です。

植林地の中の道はさらに続き、炭焼き窯の跡を過ぎて巨大なボルダーを見たら右手の急斜面を登るようになります。この辺りは枝沢が次々に入ってくるためにルートファインディングが意外に難しく、GPSアプリを活躍させる場面が増えてきます。

最初は植林の中、途中から明るい広葉樹の中の薄い踏み跡をぐんぐん登って伊豆ヶ岳山頂を目指しますが、この道は傾斜がきつくなかなか厳しいものでした。おまけに枯葉が地面を覆っているためコースが不明瞭で、不用意に進むと進退窮まることになりそう。手元の『山と高原地図』にも荒廃のため下降禁止と書かれていますが、荒廃していようがいまいが下りには使いたくない感じです。

飛び出したところは伊豆ヶ岳に北から登る登山道の男坂と女坂が合流する地点で、道を塞ぐロープをまたいで振り返るとそこには、正丸峠方向へ進むなら左側(女坂側)の道を使うようにという趣旨の注意書きがされたボードが下げられていました。

見事に晴れて気持ちのいい山頂でおにぎりの軽食をとったら、待合せ場所である子ノ権現を目指します。コースタイムは2時間20分、残り時間は2時間ちょうど。これならなんとかなりそうです。

伊豆ヶ岳南面の明るい斜面の紅葉はすっかりなくなっていましたが、古御岳の南斜面の紅葉はまだかろうじて残っていました。これに気を良くして写真をばしばし撮ったので、なかなか行程が捗りません。

地味に疲れるアップダウンを繰り返して巨大なオブジェのような送電鉄塔(電線なし)を過ぎ、天目指峠を越え、ひたすら早足で歩き続けると……。

愛宕山まであと少しというところで行く手の小ピークの上に現れたのは、トモミさんとエリーでした。彼女たちは子ノ権現に2時間前に着き、鐘をついたりお茶をしたりと寛いでから頃合いを見計らって迎えに来てくれたようです。親孝行な娘たちに感謝しつつ、ここからはタイムを気にせずのんびりと3人で子ノ権現を目指しました。

子ノ権現に到着する直前でエリーが右下の道に案内してくれて、たわわに実った柚子の木の脇を通ると現れた小広場には巨大な手が二つ。ここにこんなものがあるということを今の今まで知りませんでした。不気味なほどに白くリアルなその手は明らかに印を結ぼうとしていますが、ここにオブジェとして置かれている意図は謎です。先日の佐渡島でのウサギ観音もそうでしたが、エリーやトモミさんと一緒に山登りをすると奇想天外なモノに出会えるのがいいところです。

その後、私だけささっと子ノ権現の本堂に立ち寄ってお賽銭を上げつつ無事到着の御礼を行い、下山の道を辿りました。向かう先はもちろん浅見茶屋です。

なんという僥倖!いつもなら行列ができているという浅見茶屋に待ち時間なしで入ることができました。もしや子ノ権現で御賽銭に線香まで追加したことの御利益?

◎浅見茶屋での食後にも下山の道のりは吾野駅まで続きますが、以下はグルメレポートとなってしまうので、山行記録としてはこれで終了ということにしておきます。

浅見茶屋で注文したのは、エリーが肉汁うどん、トモミさんと私はとり南蛮汁うどん、そしてデザートは3人とも天草きなこ黒みつアイス。うどんは極太でコシが強く食べ応えがあり、温かいつけ汁はそのまま美味しく飲めてほっこり。デザートはアイスそのものより寒天のぷるぷる感がステキでした。

ところがにこにこ顔で食事を終えて外に出てみると、日が当たらない極寒の中で順番待ちをしている人たちが少なからず。我々は本当にラッキーでした。

浅見茶屋を出たところで計算してみると吾野駅からの電車への乗車時刻まで少しゆとりがあるので、途上にある秩父御嶽神社に立ち寄ってみました。この神社は意外に大きくその最奥まで行くのは時間的に無理なので、途中の東郷平八郎元帥の銅像までを折り返すことにしたのですが、いざ対面したトモミさんとエリーは「わりと背が低い」「ずんぐりしている」「骨盤が前に出ている」などと言いたい放題。この神社では東郷平八郎と神格化して祀っているのだから、バチが当たっても知らないぞ。

吾野から東飯能を経由して長駆・小川町まで移動し、まずは「おがわ温泉花和楽の湯」でぽかぽかに温まった後、各自それなりの服に着替えて向かった先はビストロ「atelico」です。ここは以前ランチを食して好印象だったエリーが今度はディナーをということでセレクトしてくれたのですが、実は小川町在住で食通だった故・常吉さん我が町の宝とまで言ったお店でもあります。ディナーは2種類のコースから選ぶようになっており、我々は軽めのコースをそれぞれメインディッシュを変えて注文したのですが、地の野菜をふんだんに使用したおいしい料理の数々には感激しました。これなら常吉さんの言葉にもエリーのセレクトにも納得です。

すっかり満足して「atelico」を出た後には、長い長い帰りが待っていました。エリーは川越住まいなのでさほど遠くありませんが、私は帰宅が23時過ぎになり(長い一日だった)、トモミさんに至っては終電がなくなってタクシーに乗らざるを得なかったそう。やれやれ、次に「atelico」に行くとしたら1時間早めて18時からにしなければならないね。