伊豆ヶ岳

日程:2022/11/28

概要:正丸駅から正丸峠に上がり、南下して伊豆ヶ岳を越え、東へ向きを変えて子ノ権現。そこから吾野駅まで下る。

⏿ PCやタブレットなど、より広角(横幅768px以上)の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。

山頂:伊豆ヶ岳 851m

同行:かみちゃん

山行寸描

▲伊豆ヶ岳の手前にある岩場。鎖に触らずに登ったが、スリップや落石のリスクも含めるとIII級近いテイストを感じた。(2022/11/28撮影)
▲伊豆ヶ岳の南の下降で見た紅葉。この周辺は光線の具合も良く紅葉を堪能できた。(2022/11/28撮影)

ヒマラヤ仲間の山友かみちゃんとの4年ぶりの山行は、かみちゃんが飯能在住であることを踏まえて奥武蔵の伊豆ヶ岳。

正丸峠から伊豆ヶ岳を越えて子ノ権現まで歩くこのコースは2013年にトレランで走っていますが、かみちゃんに事前に確認したところ「トレランじゃなくて大丈夫です!」ということだったので、のんびりハイキングというスタイルにしました。

2022/11/28

△10:15 正丸駅 → △11:10-15 正丸峠 → △12:10-50 伊豆ヶ岳 → △14:55-15:10 子ノ権現 → △16:20 吾野駅

天気予報はあまり芳しいものではありませんでしたが、下山後の飲み開始から逆算したゆったり目の10時過ぎに正丸駅に到着して空を見上げると、意外にもそこそこの好天です。

Geographicaを起動しておもむろにスタート。ところどころの紅葉を愛でながら車道を歩き、馬頭尊の分岐ではあえて遠回りの正丸峠コースを選びました。

すると、お申講さるこうの祠までの間の道の右手に立派な岩壁が現れ、見上げればところどころにハンガーボルトも打たれています。こんなところにクライミングのゲレンデが?と不思議に思いながらしばしオブザベーション。この辺りの岩質はチャートなので、雰囲気としては奥多摩の越沢バットレスに似ているように思えます。

正丸峠の手前の急坂でひと汗をかき、稜線上に乗ったらまっすぐ南へ向かいます。

馬頭尊からのショートカット道を左から合わせて五輪山の先の鞍部に達すると、伊豆ヶ岳の名物である鎖場が出てきました。落石危険につき女坂の利用を勧める看板がありましたが、この坂を登らなければ伊豆ヶ岳の魅力は半減以下なので、目をつぶって直進しました。

鎖はしっかりしているのでこれを頼れば不安を感じるところはないはずですが、一応クライミングをたしなんでいる我々は鎖に手を触れないようにして登りました。階段状ではあるもののところどころに段差をはさみ、長さもある上にチャートらしくスリッピーなところもあって決して侮れません。また看板に書かれていたようにところどころの窪みには浮石がたまっており、後続に対して石を落とさないように気をつける必要があって、ガサツな登り方はできません。

鎖場を抜けた後に岩峰をひとつ越えると女坂からの道を合わせ、その先に伊豆ヶ岳の山頂広場がありました。

伊豆ヶ岳の山頂は展望に恵まれてはいませんが、冬枯れのおかげで開放感があり、近隣の奥武蔵の山々のほか北西の方角には浅間山らしい雪山もチラリと見えていました。時刻は正午過ぎで大休止をとるにはちょうどいいタイミングでもあるので、山頂標識の前にある岩に腰を掛けて行動食を口にすることにしました。

休日なら混んでいそうな山頂も今日は月曜日とあって閑散としたもの。かみちゃん持参のおにぎりを分けてもらった後は、お湯を沸かしてコーヒーを淹れコンビニスイーツをいただいてしばしまったり。そういえば1月に奥多摩の高水三山に登ったとき、一緒に歩いていたガーコさんが大休止を5分で切り上げようとして私とサチコさんが目を白黒させるハメになったことを思い出しましたが、そうした最短休息主義をガーコさんに叩き込んだガイドさんとは、実はかみちゃんの旦那さんです。

伊豆ヶ岳までの道のりではところどころに紅葉も見られたものの正直イマイチだったのですが、伊豆ヶ岳南側の落葉の急斜面では見事な紅葉を見下ろすことができました。これは素晴らしい!とばしばし写真を撮り続けているうちに寒気が入ってきたらしく、ここから高度を下げて行くとぐんぐん冷え込んできました。

やがて切り倒した木を重機を使って処理する光景に出くわしましたが、こういうのをじかに見るのは初めてなので興味深く眺めました。さらにしばらく歩いたところが天目指峠ですが、私の前を歩いていたかみちゃんはここで先を行く女子二人組になぜかロックオン。明らかに歩く速度が上がりましたが敵(?)もさるもの、これまた見事な脚力で間を詰めさせてくれず、女子三人の火花散る神経戦の最後尾から黒一点の私が必死になってついていくという構図がしばらく続きました。

伊豆ヶ岳から子ノ権現まで距離にすればたいしたことがないのにコースタイムが2時間もあるのは途中のアップダウンの繰り返しのせいですが、最後のひと頑張りで愛宕山に達したら後は下るだけ。偉いぞ自分達!その頑張りへのご褒美のように、子ノ権現の手前では再び紅葉を楽しむことができました。

子ノ権現に到着。ここは足腰守護のお寺なので、我々山登ラーとしてはお布施を欠かせません。

そんなわけで通常のお賽銭に加えて足腰強健ロウソクも買い求め、我が足腰に幸あれと祈りました。

さらに奥の院に上がりスカイツリーが見えるという展望台から都心方向を見通してみましたが、あいにくこの日の天気ではスカイツリーは見えません。返す刀で鐘楼の鐘をかみちゃんに撞いてもらうと、驚くほど豊かな余韻がいつまでも鳴り続けました。鐘に刻されているように、世界平和が実現しますように。

子ノ権現から吾野駅までの途中にある浅見茶屋のうどんはこのコースの楽しみのひとつだそうですが、あいにくこの日は休業中でした。実は茶屋の関係者の方に新型コロナウイルス感染者が出たための措置で、このことは山行の2日前から把握していたものの、やはり「本日休業」の札を目の当たりにすると残念さが募ってきます。仕方なく下ろうとしたときに枯葉をいっぱいに詰めたバケツを両腕に下げた女性とすれ違い、言葉を交わしてみるとこれが浅見茶屋のおかあさんでした。枯葉は堆肥にするためのもので、この坂道の往復がよい運動になると笑っていましたが、コロナ禍のために茶屋の収入がダウンしてしまっていることへのぼやきも聞かれました。ご苦労、お察しします。

浅見茶屋から下の道すがらにも「豊山荘」と書かれた額の掛かった立派な古民家や石碑などがあり、この道の歴史と文化の深さを想像しながら吾野駅まで歩きました。久々に歩いてみると、このコースは想像以上に歯応えがあったな。お疲れさまでした。

山行終了後、飯能まで移動して駅近くの「CARVAAN」で打上げ。かみちゃんの旦那さんも合流し、おいしいクラフトビールとエスニック料理と共に楽しく会話しました。ここで旦那さんが説明してくれたところによれば、吾野にある秩父御嶽神社の東郷平八郎の銅像に詣でた軍の将兵はさらに足腰守護を願い子ノ権現にも参詣することが多く、浅見茶屋もそのときに繁盛していた茶屋だそう。また、もともと吾野駅は西武線の前身である武蔵野鉄道の終着駅だったそうで、そうした点も含め吾野の地には掘り下げるべき歴史の積み重ねがあるようです。

なお、話題の一つとして上述のガーコさん事件(笑)を取り上げたところ、旦那さん曰く「すみません、それは私のせいです」とのことでした。