裏同心ルンゼ〔F2まで〕

日程:2022/12/02

概要:美濃戸から赤岳鉱泉を経由して裏同心ルンゼに入ったものの、F1は登れず右から巻いてF2を登り、F3の手前から同ルート下降。

山頂:---

同行:YK氏 / UD氏

山行寸描

▲F1。中央を普通に水が流れており、右から巻くしかなかった。(2022/12/02撮影)
▲F3。登れる人は登れるだろうし、明日になれば条件も良くなるかもしれないが、今日の自分には登れる気がしなかった。(2022/12/02撮影)

12月に入ればアイスクライミングシーズンの始まりで、最初に登るのは八ヶ岳の裏同心ルンゼと相場が決まっています。今回パートナーとなったのは昨年末に広河原沢でご一緒したYK氏と、同氏が属する山岳会の若手UD氏。このお二人とこの日裏同心ルンゼに入ることは1カ月前から決まっていましたが、果たして滝は凍っているだろうかとやきもきしていたところ、11月28日にこのルートに入ったパーティーの情報がFacebookのグループに上がっていて、少なくともF2とF3は登れそう(ただしF3は薄い)というレポートだったので決行となりました。

2022/12/02

△06:10 美濃戸 → △07:45-08:05 赤岳鉱泉 → △08:35-09:00 裏同心ルンゼF1の下 → △10:15-25 裏同心ルンゼF3の下 → △10:55-11:10 裏同心ルンゼF1の下 → △11:50-12:00 赤岳鉱泉 → △13:05 美濃戸

前夜八王子を出発して途中某所で仮眠をとり、5時半にそこを出発して美濃戸まで入りました。

しかしその「某所」を出発する際の外気温は摂氏2度と高く、しかも3日前(11月29日)にはけっこうな雨量の雨が降っていたので、上記レポートのときよりも氷の状態は悪いだろうという予想を持ちながらの出発になりました。

歩き慣れた北沢沿いの道を進んで大同心が見えてくると、またこの季節がやってきた!という気持ちにさせられます。しかしこの感慨とは裏腹に、美濃戸から赤岳鉱泉までの道には雪がなくアプローチシューズで十分歩き通せる状態ですし、もちろんアイスキャンディーも申し訳程度につららが下がっているだけ。赤岳鉱泉の前から遠望できる赤岳や阿弥陀岳も黒々としていて、お世辞にも冬山と言える姿ではありません。

雪がないのは裏同心ルンゼに入ってからも同様で、ところどころ水流が凍っている場所はスリップを避けるために慎重になりましたが、おおむねガレた河原をひたすら登るだけでした。やがて前方に見えてきたF1は事前の情報通り中央に流れる水を左右からベルグラやつららが挟んでいる状態で、とても登れるものではありません。

ともあれF1下でギアを装着したら、まずはノーロープで右(左岸)の草付の壁に見える凹角を登り、F1の落ち口の上に出ました。

F1の上もガラガラの荒涼とした眺めで、クランポンの消耗を気にしながら進むとこれまた氷が薄いF2に突き当たりました。つららのところどころにカリフラワーが形成されつつある状態で、いわば発展途上といったところですが、せめてこれくらいは登らないと何をしに来たのかわからなくなるのでまずYK氏がリードでアックスを使うことになりました。

「薄い……」とぼやきながら登っていったYK氏からコールが掛かり、セカンドは私。今は氷を大事に扱って太らせてあげなければならない時期なので「打たない・蹴らない・壊さない」を心掛けながらデリケートなアックス使いと足置きで後続しました。F2は最初のやや立ったパートの後に傾斜の緩いパートがあり、その先に再び立ったパートが出てくるという3段構成になっており、最初のパートは見た目の薄さの割には氷がアックスをしっかり受け止めてくれましたが、真ん中の緩やかなパートでは透明な氷の下を水流が流れているのが見えており、踏み抜き要注意という状態でした。

3段目の再び立ったパートは出だしのパートと大同小異のコンディションで、真ん中が多少厚みがありそうな感じ。

ラストのUD氏を迎えたら再びYK氏がリード。後続してみるとほとんど引っかけだけで登れる感じで、ストレスなく登ることができました。よし、次のF3は自分がリードだ!と意気込みながら(しかし悪いだろうなと怯む気持ちも相半ばしながら)ビレイヤーのところまで進んだのですが……。

案の定、その先に現れたF3はシャバシャバのシャンパンツリー状態で、アックスはともかくクランポンを受け止めてくれそうにありません。仮に登るとしたら左端の細い氷柱状を使って中間の段差に上がり、そこから落ち口左へ抜ける凹角を目指すミックスクライミングになりそうですが、シーズン初っ端からリスクをとるのは避けたいところ。かくして、YK氏からの「これ、登ります?」という確認に対し「……やめときましょう」と言う言葉が自ずと口をついて出ました。

ここで登高を終了することにはYK氏もUD氏も同意見で、そうと決まれば後は懸垂下降を繰り返すだけです。この日裏同心ルンゼに入ったのは我々だけだったようで、後続を気にすることなくてきぱきとF1の下まで下りました。

赤岳鉱泉で行動食を口にしたら、美濃戸まで1時間ののんびり歩きです。途中の森の中では八ヶ岳らしい美しい苔の絨毯に見惚れ、美濃戸に着いたときにはぽかぽか陽気の青空にも恵まれて、これがただの山歩きだったらうれしいところですが、アイスクライミングのシーズンインにはまるでそぐわない眺め。次にここに来る時は、辺り一面が純白に変わっていてほしいものです。

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