塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

摺上川烏川

日程:2022/06/04-05

概要:二ツ小屋隧道を抜けて烏川に入り、滑谷沢出合までの途中で幕営。翌日は往路を戻る。

山頂:---

同行:常吉さん / マツオさん / ニシさん / いず姫

山行寸描

▲テントサイトで焚火を囲んで。乾杯18時半→お開き23時半。(2022/06/04撮影)

常吉さんプロデュース、岩魚と山菜山行。同行者は女性3人、行き先は昨年別メンバーと共に周回した栗子山東面の摺上川烏川流域で、烏川橋から滑谷沢出合までの間の幕営ポイントをベースに山の幸を堪能しようという企画です。

2022/06/04

△11:30 烏川橋(入渓) → △13:35-14:10 幕営地点 → △15:00-05 滑谷沢出合 → △17:40 幕営地点

前夜、埼玉県比企郡の常吉さんの御自宅で仮眠をとり、早朝に出発して東栗子トンネルの前に着いたのは9時すぎでしたが、今回はトンネル前に車を駐めずに二ツ小屋隧道を抜けて烏川橋まで車を進めることにしています。ただし、ドライバーの常吉さん以外のメンバーはトンネルの排気施設で車を降り、足回りを沢靴に履き替えてからゆっくり徒歩でスキー場道路を上がりました。

山菜採りの先生は練達の登山者であるマツオさん(私より10歳年長)で、ミツバ、ワラビ、サンショウ、フキを次々に見つけては我々に教えてくれました。昨年も同様の山行に参加しているニシさんは目ざとくミツバを発見し、食い意地なら誰にも負けない(?)いず姫も次々に戦果をあげていましたが、山菜を見分ける目になっていない私は完全に戦力外。さすがにフキとサンショウくらいはわかりますが、ワラビは他のゼンマイ状の草との見分けがつきませんし、ミツバに至っては見つけることもできませんでした。

道の途中にはタラの芽ポイントがあり、ほとんどの木は先端の芽が伸びてしまっているか残りが限られているので来年のために残しておくことにして、脇にちょこんと出ている芽を見つけては採取することにしました。ここは急斜面に際どく踏み込んで腕を伸ばさなければ届かないものが多かったので、多少は自分も貢献できたかも。そんなこんなで歩き出してから1時間半もかけてようやく常吉さんが待つ二ツ小屋隧道の前に到着しました。

いったん全員が車に乗って二ツ小屋隧道を通り抜け、やや荒れた道を下って烏川橋を渡った先にある小広いスペースに駐車し、ここで荷物を振り分け直してからいよいよ出発です。上流側の踏み跡を下って橋の下に出て入渓……ですが、その前に女性陣はここでも葉ワサビをせっせと採取しました。

さらに烏川を下っていく途中の斜面にはウルイ、コゴミ、それにわずかにコシアブラが顔を出しており、ここでもマツオさんの指導を得て全員が食材採取に精を出しました。沢下り的にはワンポイント、フィックスされたトラロープを使って滝を巻き降りる箇所が緊張するところですが、ここを除けばのんびり下降に終始します。ただ、川筋にはまるで台風に吹きちぎられたように木の葉が散っており、ウルイの葉なども傷んでいるものばかりなので、この1週間の間に荒れた天候がこの辺りを襲ったらしいことが窺えました。

それでも食べられる植物は一草たりとも残すまじ(タラの芽を除く)という執念の成果が、いず姫のこの後ろ姿。かくして戦利品満載の状態でこの日のテントサイトに到着しました。

実はてっきり滑谷沢出合に幕営するのだと思っていたのですが、ここは烏川橋から滑谷沢までの中間くらいの位置で川筋が強く屈曲するところ。左岸の段差をよいしょと上がったところにちょっとした広場があり、先週末にもここに泊まったという常吉さんとマツオさんが残してあった炉や薪がそのままに置かれていました。近くには炭焼きの竃の跡らしき石組みもあり、この広場はかつて木仕事で使われていたもののようです。

ここで採ってきた山菜を広げ、各自持参のアルコールを川の中に浸けたら、マツオさん以外のメンバーは滑谷沢出合まで下ることになりました。ここまでの山菜採取の先生はマツオさんでしたが、ここからは釣り吉ならぬ常吉さんが先生となって、今宵のメインディッシュ確保を目指します。

烏川の下降はところどころに立体的な地形があって眺めても歩いても面白いところですが、ぬめりがあって少々滑りやすいので要注意。しかし常吉さんが先頭に立って巧みに右左と段差をかわし、その途中で釣りポイントを確認しながら出合を目指しました。

1時間もかからずに到着した滑谷沢出合にはテントが1張りありましたが、テントの主は滑谷沢に入っているらしく無人でした。ここで30分ほど休んでここまで我々が通過してきた烏川の魚たちが落ち着いた頃合いを見計らって釣り上ろうというのが常吉さんの計画でしたが、前半の山菜採りに時間をかけ過ぎたためにこの時点で15時になっており、少し肌寒くもなってきています。このため、とにかく体を動かそうと早々に出合を発ち、烏川をゆっくり遡ることにしました。

ポイントごとに竿を出して忍び寄る常吉さんと今宵のご馳走に期待してその背中を見守る生徒3人という構図が何カ所かで繰り返され、さらにところどころで常吉さんは生徒たちにも竿を持たせてトライさせてくれたのですが、ニシさんは根がかり2回、私はアタリがあったもののバラしてしまい、いずれも釣果ゼロに終わりました。

そんな不甲斐ない生徒たちを引率しながらも常吉さんは着実に成果を重ね、さらにいず姫も1尾ゲットして渾身のドヤ顔。

最終的には常吉さんが5尾を釣り上げて、これで各人に行き渡るだけの数は確保できたと思いながら帰幕したところ、マツオさんも3尾を釣っていて合計8尾のイワナ(最大29cm)が今宵の食卓に上ることになりました。素晴らしい!

もろもろの準備が整ってビールで乾杯したのが18時半すぎ。まずはマツオさんが丁寧にナイフを使って下さった刺身からですが、近くでとれた花わさびなども彩りに添えられて、これならお金をとれるのでは?というくらいの出来栄えです。

ワラビはアク抜きのために明朝までとっておくことにして、それ以外の山菜をおひたしにしたりピザのトッピングにしたり。サンショウの葉は刺身の薬味としても活躍しました。

最後にしっかり焼き上がったイワナのほくほくとした身を堪能する頃には常吉さんは一足先にテントの中で、焚火の周りでの飲み食べ語りで満ち足りた時間を過ごした残りのメンバーが腰を上げたのは23時半でした。山の中でのキャンプでこれほど遅くまで起きていたことは今までほぼないと思いますが、これも明日は往路を引き返すだけという気楽な行程であることのおかげです。

2022/06/05

△08:50 幕営地点 → △10:30-35 烏川橋(脱渓)→ △10:50 二ツ小屋隧道北入口

夜は少し冷え込みましたが、それでも厚着した上にシュラフカバー程度で十分しのげる程度の気温でした。今朝は何時に起きてもよいのですが、テントの外の明るさに促されるように5時半に起床しました。

昨夜の焚火はほぼ白い灰になっていてタキビストとして満足いく仕上がり。その底には熾火が残っていて、小枝を重ねて息を吹きかけてやればすぐに焚火が復活しました。

朝食は常吉さんがイワナを一口ずつ回してくれたほか、コゴミやミツバの天ぷら、ワラビのおひたし、そしてメインは川の水で晒したそうめんをたっぷりと、朝っぱらから贅沢三昧です。

しっかり焚火の始末をしてテントサイトを後にし、昨日下ってきた烏川を今日は入渓点目指して遡行します。下りには気を使ったフィックスロープのポイントも登りなら簡単で、これといった難所もなく遡行を続けましたが……。

残雪が残っているところでリュックサックを置いて、家へのお土産にコゴミをゲットするニシさん。ここでもマツオレーダーが威力を発揮し、岩陰に隠れている上物のコゴミをいっぱい獲得してニシさんはご満悦です。コゴミブーケを貸してもらってこちらもにっこりのいず姫に「そこでブーケトス!」と声を掛けましたが、さすがにこれは却下されました。

烏川橋に登り着いて脱渓し、沢装備を解き荷物を車に乗せてこれで山行としては終了ですが、トンネルからここまでの下りのときに車の底を悪路に擦ってしまう場面が多かったので、トンネルまでの登りは常吉さん以外のメンバーが歩くことにして車高を上げました。そうは言ってものんびり登って15分、これで完全に山行終了かと思われたのですが、女性陣の山菜欲はとどまることを知りません。

トンネルの向こう側でフキやミツバと格闘するいず姫とニシさんの熱意に半ば呆れながら、私は常吉さんと共に一足先に下界へ移動。残る3人が大量の山菜と共に意気揚々と下ってきたのは、トンネル通過から1時間後のことでした。