つづら岩

日程:2022/05/29

概要:奥多摩の岩登りのゲレンデ・つづら岩で、マルチピッチのトレーニング。

⏿ PCやタブレットなど、より広角の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。

山頂:---

同行:パイセン / アユミさん

山行寸描

▲つづら岩。久しぶりに目にしたこの強傾斜には威圧されるものを感じる。(2022/05/29撮影)
▲岩の上から正面に丹沢の山々。この右には富士山もきれいに見えていたが、それにしてもこの日は暑かった。(2022/05/29撮影)

2022/05/29

△08:30 千足 → △09:55-16:45 つづら岩 → △18:05 千足

江戸川橋仲間のパイセン・アユミさんと、たまにはマルチピッチの練習をしようと奥多摩のつづら岩。この岩場に足を運ぶのは11年ぶりです。

この日は5月にもかかわらず猛暑日で、千足のバス停近くの有料駐車場(1,000円)にアユミさんの車を駐めて山道に入ると基本的には木陰の道なのに暑さがこたえます。途中の綾滝(落差21m)の涼しさには癒されましたが、そこからの急坂は特にあまり山歩きをしていないパイセンには気が遠くなるほどつらかったようです。それでも1時間余りをがんばってつづら岩に到着すると、ちょうど大人数のパーティー(Aアルパインクラブ)が樹林の中の広場で登攀準備中で、挨拶を交わしてから我々も左の岩場の前にリュックサックを下ろしました。

まず登ったのは右クラック(IV級)で、これは私のリード。出だしの階段状から垂直のクラックへと導かれるルートで、ワンポイントだけあーでもないこーでもないと逡巡しましたが、最適な手の向きと足の位置を見つけたら思い切って身体を引き上げ、後はクラックの外に弱点を見出してテラスまで上がります。

ここで残る2人を引き上げて、そこから先は左の壁に乗り出していくのが本来のルートだったようですが、右から回り込んだところ傾斜の緩いスラブが広がっており、そのままそちらを登ってから50mいっぱいの懸垂下降で戻りました。

小休止の後に、今度はアユミさんのリードで左ルートを登ります。先ほど懸垂下降で降り立った場所からフレーク状を左上していくルートで、途中にガタガタと動く岩がある箇所がワンポイント悩ましいものの、右足の位置を調節するとうまく左上のしっかりしたホールドに手が届くようになってここを解決できました。

途中の安定したテラスでピッチを切って、2ピッチ目も引き続きアユミさんのリード。最後の垂直部でロープの動きが止まり、アユミさんがボヤく声がビレイしているこちらにも聞こえてきましたが、この岩場に慣れているらしい他パーティーのクライマーのアドバイスによれば左のカンテ方向に逃げていくのがよかったようです。

懸垂下降と小休止を終えて、今度はパイセンがリードして一般ルート(IV)に取り付きました。これは11年前にここに来たときにもいず姫のリードで登ったルートですが、そのときは正面の壁を右クラック側から迂回するように登っており、一方パイセンは他パーティーに倣って正面突破を試みました。しかし、出だしの段差に乗り上がる数手が難しく、アユミさんと私が「いけるよー!」と声を合わせて声援を送ったもののあえなくA0になってしまいました。後続してみると外傾した細かいホールドが湿っぽくて確かにいやらしかった。

その後は着実に高度を上げ、ピッチを2回切ってTOしていきましたが、ルートファインディングや支点構築、ランナーのとり方などにパイセンの課題が見つかりました。これらはいずれも場数を踏むことで解決できていくことなので、引き続き頑張りましょう!

猛暑の中を日焼けしながら3本登っていい時間になり、これで終わりにしようかと一旦は思ったのですが、自分のリードが最初の右クラックの実質1ピッチだけというのはちょっと寂しい。そこで既にお腹いっぱいになっているパイセンとアユミさんに無理を言ってもう1本登らせてもらうこととし、左ルート2ピッチを私のリードで登りました。

これでスッキリして練習終了。ちょうど岩の上にいた他パーティーの方に記念撮影してもらってから、岩の脇を回り込むように下ってリュックサックの置き場所に戻り、装備を解きました。

登りはつらかった山道も下りは楽。日が長い時期でもあるので寄り道をして、すこぶる立派な天狗滝(38m)を見物しました。近くにはトポにも乗っている岩場があってクイックドローが残置されてもいましたが、全体に湿っぽく苔むした感じで取り付きたいとはちょっと思えません。そんな具合にのんびり歩いて千足に降り着いてコーラで一息ついたら、アユミさんの車で武蔵五日市駅まで送ってもらって、パイセンと共にJRで都内に帰りました。

アプローチの長さもトレーニングの内と考えれば、このつづら岩はアルパインのための絶好のゲレンデだということを改めて実感しました。今回登った3本はいずれもIV級(『日本100岩場』による)ですが、それぞれIV級には収まらない核心部をルート中に隠し持っており、初見で臨むと一筋縄ではいきません。それでもルート中の要所にハンガーボルトが設置されており、ビレイステーションも安全。さらに今回は手をつけられなかったV級ルートもたくさんあり、この岩場には折々に足を運びたいと思わせてくれる魅力が詰まっていそうです。