三ツ峠屏風岩四段ハング / 中央カンテ

日程:2017/06/24

概要:三ツ峠屏風岩でアブミルート「四段ハング」を登った後、セキネくんはスポートルート「ジャンプ・オブ・ジョイ」(5.10c/d)を登り、最後にクラシックな中央カンテを登って終了。

山頂:---

同行:セキネくん

山行寸描

▲「四段ハング」ルート全景。リベンジできてよかった。(2017/06/24撮影)
▲核心部の四段ハング。ビレイヤーのセキネくんをずいぶん待たせてしまった。(2017/06/24撮影)

2015年11月に三ツ峠でアブミの練習をしたときに、「四段ハング」ルートを完登できずカラビナを残置して敗退するという失態を犯してしまった私。以来、リベンジの機会を窺っていたのですが、そのときに同行していたセキネくんが今年は人工登攀ルートにもトライする気まんまんなので、宿題を片付けに三ツ峠を再び訪れることにしました。

2017/06/24

△09:00 三ツ峠裏登山口 → △09:55 三ツ峠山荘 → △10:10-15:45 屏風岩中央フェース → △16:00 三ツ峠山荘 → △16:45 三ツ峠裏登山口

前回と同じく河口湖駅前で8時15分に待ち合わせ、三ツ峠山の裏登山口から登り始めました。この日は天気が良く、登山口周辺はハイカーの車でいっぱいです。

三ツ峠山荘では毎回愛想を振りまいてくれる黒い犬の出迎えを受け、心和んでから岩場へと下りました。

左フェースや中央カンテ、さらに右フェースにも講習っぽい大人数がいましたが、目指す四段ハング周辺は都合よく閑古鳥が鳴いていました。ここで諸々の身支度を整えて1ピッチ目は私から。

1ピッチ目(20m / IV+,A1)は出だしの4mが微妙なバランスのフリーですが、後は素直なA1です。続く2ピッチ目(20m / IV,A1)はセキネくんのリードで、まず第一バンドを左にトラバースしてから直上→右上。部分的に遠いところもありますが、これもまあ問題ありません。

3ピッチ目は前回はハングの下までで短く切りましたが、今回はトポ通り一気にハングの上まで抜けることになっています(20m / IV,A2)。リードはもちろん私。出だしは凹角の中に短い間隔で打たれたリングボルトをアブミの掛替えで淡々と登り、どん詰まりからハングとなります。庇のように張り出したハングは逆階段状になっていて、張り出しの大きさは約5m。前回我々が残置したカラビナは残っていないかと目を凝らしましたがありませんでしたから、我々の後にもここを登ったパーティーがいるのでしょう。

しばらく息を整えてから意を決してハング越えにかかりましたが、今回はアジャスタブルデイジーを持参しているので安定した態勢でアブミを進めることができました。しかし、ここで「おっ、これは調子いいぞ」と思ったのが甘く、庇の下で完全にぶら下がった状態でのアブミ間の乗り移りで道具の取り回しにもたついて腕力を消耗した上に、最後のボルトからハングの上へ乗り上がるルーフの出口で行き詰まってしまいました。ハングを越えたところはやや傾斜が緩んだフェースになっていて、その数十cm上に打たれたハーケンからお助けのテープスリングが下がっているのでハングの末端まで身体を移動させることはできるのですが、ハーケンの穴はスリングのせいで狭まっているためにカラビナを入れることができず、かと言ってそこを飛ばして次のボルトにアブミを掛けようとすると微妙なバランスでアブミの最上段に立たなければならないようです。一応フェースの途中には膨らんだホールドもあって余力があれば立ち上がれたのかもしれないのですが、何度かトライしたもののどうしても踏ん切りがつかずそのたびにアブミにぶら下がることの繰り返し。それでも最後はどうにか伸び上がって持参した3mmスリングをハーケンの穴に通してアブミの高さを稼ぎ、さらに次のボルトへは禁断のチョンボ棒も伸ばしてTOすることができました。

終わってみればこのピッチだけで30分以上かかっていたようですが、後続のセキネくんはすいすいと10分ほどで登ってきました。さすがです。ルートはこの後、右に回り込んで第三バンドまで登るフリーの区間(10m / IV+)を残しているのですが、協議の結果ここから下ることにしました。

ハングからは当然ながら空中懸垂。60mのシングルロープなので距離は稼げませんが、いいところにちゃんと懸垂下降用の支点が設けられており、懸垂下降2回でぴったりスタート地点に降り立つことができました。

私がハング越えの奮闘の疲れを癒す間に、セキネくんは隣のスポートルート「ジャンプ・オブ・ジョイ」(5.10c/d)に挑戦することにしました。ここは人工登攀ルートである「羽鳥カンテ」の1ピッチ目をフリー化したもので、ポケットをつなぐ薄かぶりのフェースが威圧的ですが、傾斜が緩んだ後も気が抜けないようです。

残念!OSはならず。やはり純粋にスポートルートとして開拓されたルートとは様子が違い、岩の柔らかさも気になるようです。

もう1本登ろうとトポを眺め、定番ルートでありながらセキネくんがまだ登っていないという「中央カンテ」を登ることにしました。1ピッチ目と3ピッチ目は私、2ピッチ目はセキネくんがそれぞれリード。私はここを登るのは2009年以来です。

終了点からの懸垂下降ではロープの長さが足りず少々冷や汗をかく場面もありましたが、どうにか無事に降り立って、これでこの日のトレーニングは終了です。ちょうど岩肌にガスがかかり始めたこともあり、手早くギアをまとめて元来た道を淡々と下山しました。

とにかく四段ハングを越えられてほっとしました。ハングの突端でアブミになすすべもなくぶら下がっている間、前回同様に敗退することもチラリと考えたのですが、いやいや、このハングが越せないようでは山屋引退だと自分に言い聞かせました。もしそうなっていたらニックネームの「塾長」も「御隠居」にしなければならなかったでしょうし、このサイトのタイトルも「塾長の山行記録」から「御隠居の追憶の山々」に変えることになっていたことでしょう。

トレーニング終了後の夕食はセキネくん御用達の「ふる里」へ。定食はすべておいしいです!ラーメンとチャーハンは500円でそのクオリティに驚きます!と力説するセキネくんの言葉を信じて私は肉皿定食(セキネくんは焼肉定食)を注文しましたが、年配のおかみさんが一人で作っているらしい定食は確かに味よし、ボリュームよし、そしてこれで800円なら大満足でした。