湯川渓谷の氷柱
日程:2012/02/18-19
概要:アルパインガイド保科雅則氏の保科クライミングスクールの講習で、初日は長野県川上村の岩根山荘に設置された人工氷瀑=アイスツリー、2日目は湯川渓谷の白髪エリアでのアイスクライミング。
山頂:---
同行:保科雅則ガイド
2012/02/18
山行寸描
△11:00- 岩根山荘
新宿7時発のスーパーあずさで韮崎駅前に降りたのが8時40分、1月に続いて保科ガイドのアイスクライミング講習です。今回は大盛況でゲストが10人とのことですが、そのうち車ではなく電車を使ってこの韮崎駅で落ち合ったのは、私ともう1人=いず姫でした。実はこれはまったくの偶然で、昨年12月につづら岩や古賀志山でご一緒し、その後「雪のあるうちにどこか一緒に」という連絡をとりあっていたところ、たまたま同じ講習会に申し込んでいることが直前になって判明したものです。ともあれ保科ガイドの運転する車に乗せていただいて先月にも訪れた岩根山荘へ移動し、他のゲストと合流してすぐに講習が始まりました。
リード練習に重点を置いて参加しているという横浜蝸牛山岳会の若手2人、アイスはベテランのご夫婦、逆にアイス初体験の若者たちなどいろいろなレベルのゲストの混成の中で、まずは氷壁に向かってアックスの振り方、足の蹴り方の練習。続いてトップロープで適宜登るという具合ですが、私は蝸牛の2人やベテラン氏と共に、リード練習を仰せつかりました。といっても本当にリードで登るわけではなく、トップロープで確保された状態で登りながら、途中でスクリューを氷壁にねじ込み、リードロープをクリップするというもの。このときに保科ガイドのノウハウが開陳されたのですが、まず保科ガイドはチェストハーネスを着用し、その左側のギアラックに上下のカラビナを逆向きにつけたクイックドローをベントゲート側で掛けています。そして右手でスクリューをセットしたらクイックドローをギアラックから外し、そのベントゲート側をメインロープに掛けてそのまま手をクイックドロー上でスライドさせ、反対側のストレートゲートのカラビナを持ってスクリューに掛けるわけです。
というわけで私も保科ガイドに借りたチェストハーネスを装着してリード練習をしてみたのですが、1月の岩根山荘での講習会のときもそうだったように、左手でぶら下がった状態でスクリューをセットするのはなかなか難しく、2本目のセットの頃には早くもパンプしてしまいました。これは、スクリューセットの手際もさることながら、まずトップロープでしっかり登りこんで、省エネ登りができるようになる必要があるようです。
かたやいず姫は、さすがにリード練習こそしなかったものの、この日が初アイスとは思えないスムーズな登りで周囲を驚かせ、しかも無限の持久力でがんがん登りこんでいきます。その勇姿を見上げていたゲストの奥様が「背は高いしスタイルはいいし、かっこいいわ」と賞賛。そのことを降りてきたいず姫に伝えたら得意満面「私って、氷の女王?」……それは言い過ぎです(怒)。
←氷の女王(©Square-Enix)
最後に保科ガイドが一面まるまる使ってアックスを持ち替えてのトラバースやらランジ(!)やらを見せてくださってこの日の講習は終了。風呂に入っておいしい食事をとって、翌日の湯川渓谷でのクライミングに備えて早めに就寝しました。
2012/02/19
山行寸描
△09:50-14:55 湯川渓谷
岩根山荘を朝8時に出て、車で八ヶ岳の硫黄岳の東面へ移動。「灯明の湯」から湯川沿いの林道に入って雪道を進むことしばしで、湯川の渓谷内に氷柱が見えるようになってきました。林道途中で出てくる広場状の場所に車を駐めて、ここでアイゼンを履いて渓谷内へと下ります。沢沿いに上流に行けば有名な乱菊の氷柱に達することになるのですが、我々は飛び石伝いに沢を渡り、Y字河原を左に入った白髪エリアへ向かいました。すぐに目の前に広がったのは渓谷の左右に広がる氷柱群で、右岸は短いカーテン状の氷が横に広がり、左岸には高さ20mほどの立派な氷が青白い姿で立っています。
保科ガイドが横浜蝸牛山岳会の2人の手を借り右岸に2本(4ルート)、左岸に1ルートのトップロープをセットして練習開始。私はまず右岸の各ルートに取り付いてみましたが、氷はおおむね上の緩斜面までつながっていて、垂直部には手掛かり足掛かりもそこそこあり、アックスをなるべく引っ掛けるようにして省エネルギーで登れば無理なく上へ抜けることができました。膨らんだバルジ状の氷、85度ほどのぼこぼこの氷、柔らかくピックを受け止めてくれる氷などさまざまな形と質の氷で練習しているうちに、アックスへの体重の掛け方や、正対だけでなくフラッギングで伸び上がるコツなどが掴めてきます。こうなってくると面白い!
左岸の高さのある氷にもトライしましたが、上半部のつるんとした硬い青氷も、よく探せばアックスを掛けられるポイントがあって身体を引き上げていくことが可能です。さらに、レストポイントで氷に身体を預けながら下を見下ろせば気持ちの良い高度感。さすがに途中でワンテン入れてしまいましたが、何とか上まで登りきって気分良くロワーダウンできました。ビレイしてくれたいず姫も私に続いてトライしましたがやはりワンテンで登りきり、前日に続いて皆の賞賛を集めていました。
結局、左岸1本&右岸6本を登って満足し、15時頃に練習を終えて「灯明の湯」まで戻ったところで楽しかった2日間の講習を終えました。いず姫もこの2日間での初アイスクライミングが非常に楽しかったようで、ハマりそうな予感。フリーもうまいしパワーもあるし、絶対上達するだろうな。私より……。