城山南壁西南カンテ他
日程:2007/11/24-25
概要:1泊2日で伊豆・城山へ。初日は南壁西南カンテと南壁下部3本。2日目は山頂に登ってからわずかに下った岩場・クッキングワールドで7本。帰路にもう一度南壁下部で1本登って終了。
山頂:城山 342m
同行:現場監督氏
山行寸描
2007/11/24
△09:50 城山登山口 → △10:00-10 南壁基部 → △10:20-11:00 西南カンテ取付 → △12:10-13:15 西南カンテ終了点 → △14:00-16:30 南壁基部 → △16:40 城山登山口
11月下旬は、秋でもなければ冬でもなく、山に行くには中途半端な時期。そこで温暖な伊豆の城山に修行しに行くことにしました。ここは2001年に一度だけ来たことがありますが、南壁での細かいホールドへの立ち込みがやたらに難しく感じたことだけを覚えています。
早朝の電車移動で大仁駅に降り立ち、そのまま城山までてくてく歩くこと30分、さらに登山口から10分で、まずは最もアプローチの良い岩場である南壁に到着。予想されたことではありますが、たくさんのクライマーが壁に取り付いていてロープのスダレができていました。ふと見る先日の大ヤスリ岩でご一緒した男女ペアもいて、いくらなんでも山の世界は狭過ぎです。
とりあえず今日は西南カンテを登ることを目標として来たので、そのまま壁沿いに左上する踏み跡を辿ります。それらしい地形の場所にはすぐに着きましたが、昔来たときには取付にボルトがあった記憶があるのにそれらしいものが見当たらず、しばらくうろうろ探しまわってしまいました。結局、現場監督氏が下まで降りて詳しい人に聞いてくれたところによると今はボルトはないとのこと。記憶にばかり頼るのも考えものです。
何はともあれ、奇数ピッチを現場監督氏にお願いして登攀開始。1ピッチ目は顕著なカンテ状を直上するわかりやすいラインで、見た目より傾斜が立っている上に若干ホールドが甘いところもありますが、だいたいIV級くらい。2ピッチ目は私のリードで、ビレイしている現場監督氏の右から上がりましたが、これはたぶん失敗。木登りのようになってしまい、ロープの流れが悪くなったためずいぶん短く切ることになりました。そして3ピッチ目は、易しいスラブを右上してから支点のある場所で1段上がるところがちょっとしたムーブになり、さらに胸を突かれるトラバースをこなして最後に垂壁を右から回り込むように上がって終了。このピッチはIV+くらい?
着いたところは二間バンドで、大仁の町と狩野川をバックに難しそうなルートにトライしている人たちをしばし見学。4ピッチ目は省略してここから降りようと思いましたが、後続パーティーが続々登ってくるためになかなか懸垂下降に移れず、結局そのまま1時間余りも滞在することになってしまいました。
懸垂下降は西南カンテ取付まで2ピッチ。そのまま南壁基部に場所を移して、合間を見ながら次の3本に登ってみました。
- グラシアス(5.9+)
- TR。現場監督氏OS。
- フルハムロード(5.10b)
- 登れず。
- ホームボーイ(5.8)
- 2テン。根性ないなあ。
相も変わらずスラブへの細かい立ち込みや指スメア・カチ持ちがダメで、恥ずかしい限り。ちなみに「フルハムロード」は別のルートと間違えたものですが、各ルートが近接しているために慣れていないとどのルートがどれにあたるのか、トポと岩とを何度見比べてもわからなくなってきます。翌日に「ブルースカイ」と「とんとん拍子」をしっかり教えてもらったので、その周辺は今後は間違えないと思うのですが……。
暗く、そして寒くなってきたところで岩場を後にし、今宵の宿「富士屋旅館」に投宿。親しみやすいおかみさんに案内されて部屋に荷を置き、温泉の内風呂でさっぱりぽかぽかしてから、ビールで乾杯して伊豆牛のすき焼きや子持ち鮎などがずらりと並ぶ豪勢な夕食をいただきました。
2007/11/25
△08:50 城山登山口 → △09:30-10:05 城山(道迷い) → △10:15-15:10 クッキングワールド → △15:20 城山 → △15:45-16:45 南壁基部 → △16:55 城山登山口
暖かいもてなしに感謝しながら宿を辞して、再び城山を目指しました。散歩中の土地の方が親切に道を教えてくれて、最短距離で昨日の登山口まで着くことができてラッキー。
前日の南壁でのヘタレ具合から5.10台は横に置くことにして、今日は5.7〜5.9のルートがあるクッキングワールドを目指すことにしました。そのため、まずは城山山頂まで一般登山道をひたすら登ることにし、昨日登った西南カンテや南壁を右手に見ながらどんどん高度を上げて、登山口から40分で展望の良い山頂に到着しました。
眼下に大仁の町、左には富士山から箱根、右に天城山を一望できる明るい山頂から、岩場への踏み跡は奥のやや右手に下っており、我々もそちらへ下降しました。しかし、トポに記述されている「鞍部の標識」がなかったために場所を特定することができず、いったん山頂に登り返し、もう一度下って先ほど現場監督氏が気にしていた小さな岩場を仔細に調べてみると、どうやらここがクッキングワールドの模様。山頂で出会った5・6人のパーティーもクッキングワールドを登りにきていたため、お互いにロープを融通し合いながらのトライとなりました。
- イタリアンジェラート(5.8) OS
- 緩い傾斜で何ということもなし。現場監督氏FL。
- 始の辣韮漬(5.9)
- TRでテンションかけまくり。上部のリップ越えが指スメアで難しい。
- トマッテーナ(5.10b)
- TR。途中まではホールドがしっかりしていてダイナミックに行けるものの、やはりリップ越えでテンションをかけてしまいました。現場監督氏RP。
- 鯛焼君(5.7) OS
- あまりに易しい癒し系。
- 焼ビーフン(5.10a)
- TR。FL狙いで行くべきだったか?現場監督氏OS。
- 青椒肉絲(5.10b)
- TR。テンションかからず5.9に感じましたが、それを聞いてしめしめとリードした現場監督氏は3クリップ目でちょっと怖い思いをしたそうです(FL)。
- ポーチドエッグ(5.10a)
- 最初がボルダーチックなマントリング、2クリップ目の壁が核心部。リードした現場監督氏はここで落ちて肘を擦りむき、後続の私はヌンチャクをつかんで抜けました。
小さいながら立体的かつそれぞれに個性的なルートが並んでいるクッキングワールドを楽しんで、いい時間になったので下降開始。南壁まで降りてみると、多少壁が空いているのでもう1本だけ登ることにしました。登ったのは「とんとん拍子」(5.8)……としたかったのですが、他のルートを登っている人に終了点を使われていたので、ハング越えをせずその左の終了点にクリップする短縮バージョンで現場監督氏がリードし、私はそのままTR。さすがに多少は慣れてきた感じがするものの、やはりこの細かいホールドはリードするには怖過ぎます。この苦手意識は何とかしないと。
すっかり暗くなってきた城山に別れを告げ、大仁駅前のラーメン・定食屋で現場監督氏と2日間の合宿の打上げをしてから、帰路に就きました。久しぶりの城山は相変わらず難しかったのですが、それでも面白かったので、あまり間を開けずにまた登りたいと思います。