城山南壁西南カンテ他

日程:2001/03/11

概要:伊豆・城山の南壁西南カンテでのマルチピッチと南壁下部でのスポートクライミング。

山頂:---

同行:黒澤敏弘ガイド

山行寸描

▲城山全景。見事な凝灰岩の山塊に登攀意欲をかき立てられる。(2001/03/11撮影)
▲南壁。一見しただけではわかりにくいが、はるか高いところにも1パーティーが取り付いている。(2001/03/11撮影)

2001/03/11

△09:45-12:00 西南カンテ → △13:00-15:15 南壁

三島から伊豆箱根鉄道で修善寺方面に30分強で着くのが大仁おおひとの駅。今日目指す城山は、大仁駅に近づくかなり前から右手の車窓に立派な姿でそびえていました。ここはマルチピッチのゲレンデとしてもスポートクライミングのゲレンデとしても関東南部のクライマーにとっては貴重な存在の山ですが、山頂へはハイキングコースも伸びていて我々(黒澤ガイドと私)が登山口に着いたときにも複数のハイカーがよく整備された道を登っていました。岩場は登山口からそのハイキングコースを10分ほど登り道を分けてすぐの位置にあって、見上げていると首が痛くなるほどに立った南壁の基部には既に数パーティーが取り付いていました。

今日はまず、もっとも易しいとされる西南カンテ(IV)でマルチピッチのクライミングに取り組みます。南壁基部から左手へ薮を分けるように細い道を辿り、高度も50mほど上がったところで樹林の中を右手にわずかに戻ると、顕著なカンテの末端が現れました。ここで装備を整え登攀開始、すべてのピッチを黒澤ガイドがリードして私が後続です。

1ピッチ目:下から見上げたときは寝ていると思った傾斜もいざそこに接してみると立っていて圧迫感を覚えるのはいつものことですが、何しろクライミングシューズを履くのが去年の9月以来なのでなかなか感覚が戻ってきません。

2ピッチ目:今度はさして難しいところもありません。

3ピッチ目:最初に両手両足を突っ張るちょっとアクロバティックなムーブで1段上がって、そりかえるようなトラバースの後に短いながらかぶった垂壁が待っていました。これに困惑した私が終了点でビレイしている黒澤ガイドに「どこを登るんですか?」と聞くと、返ってきた答は「真っすぐ登ってください」……なんて簡潔なアドバイスなんだ、でもちょっと簡潔過ぎるんじゃないか?と思いながら意を決して足を上げましたが、途中で力尽きてテンション。クイックドローをつかみ、ロープで引き上げてもらって終了点へ倒れ込みました。セルフビレイをとってから回りを見渡すとなかなか高度感があってGoodで、これでちゃんと完登できていたらうれしさ100倍だったのですが。

終了点のすぐ奥には二間バンドと呼ばれるはっきりしたバンドが走っており、西南カンテのオリジナルラインは垂壁のところを右へさらにトラバースして二間バンドに入ってから凹角を登るようですが、今日はここから懸垂下降します。ところが、2ピッチの懸垂下降で取付まで戻ったところでロープを回収しようと引っ張ったところロープが全然動かず、あれこれ試した末に結局黒澤ガイドがロープにプルージックで確保をとりながら途中まで登り返すことになってしまいました。下降後のロープスタックはこれが初めての経験です。

場所を南壁基部に移してショートルート。「とんとん拍子」(5.8)にまずロープを張ってもらってチャレンジしました。カチとポケットに導かれながらソールのフリクションを利かせてフェースを登る課題ですが、どうしても本来の直上ルートから外れて右上へ追い上げられ、斜上バンドに出てしまいます。しかも斜上バンドの途中、終了点のちょっと手前のムーブがなかなか見つけられず、これには往生しました。結局ここはカチを信じて右足を1歩上げ、そこから左足をぐっと高いところにあるしっかりしたフットホールドへ乗せて、そのまま左の股関節を開くように乗り込んでいくのが正解らしいのですが、もう一度同じラインを登ってからリードにもトライしたものの2クリップした先であえなくフォール。ここで黒澤ガイドから注意が飛びました。「落ちることを恐れて逡巡し過ぎ。フリークライミングでは、落ちないように登るのではなく、どこまでやったら落ちるかを確かめるために登ると考えること。そのためにロープがあるんですから」……目からウロコです。でもやはり怖いけど。

最後は「とんとん拍子」の右手の傾斜の緩いフェースから斜上バンドを登るIV級程度を1本登って終わり。それにしても、いくらなんでもこの程度で苦戦しているようでは本番で使い物にならない!とショックを受け、夏に向けてフリークライミングの腕を上げねばと痛感した一日でした。