塾長の山行記録
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塾長の山行記録

安達太良山〔敗退〕

日程:1998/01/02-03

概要:奥岳から勢至平経由くろがね小屋泊。翌朝、峰ノ辻から安達太良山本峰を目指したが、強風に敗退して往路を下降。

山頂:---

同行:F女史

山行寸描

▲くろがね小屋の前で。この山行では展望に恵まれなかったり道を間違えたり。安達太良山も相性が悪い。(1998/01/02撮影)
▲雪の中を出発。この後、東北の山の冬の厳しさを身をもって体験することになった。(1998/01/03撮影)

1998/01/02

△13:30 奥岳 → △14:40 分岐 → △15:15 くろがね小屋

あだたら高原スキー場の喧噪の中、スパッツを着けてくろがね小屋を目指して歩き始めました。この日のコンディションは全体に雪が少なく、登り坂は滑りがち。勢至平の途中、峰ノ辻からの道が合流するところで山頂方面の展望が開け、同時にこの辺から硫黄の匂いがしだしました。

今回もまた予想外に早くくろがね小屋に到着し、そしてちょうど小屋に入る頃から雪が降りだしました。前回ぬるかった温泉風呂が熱くて快適との話を聞き、喜んで風呂場に足を踏み入れた途端につるんと滑って腰から落ち、右足の小指と中指を強打!恥ずかしいやら痛いやら……。

小屋の夕食は質素で、隣の自炊組がわざわざ担ぎ上げた和牛肉で牛鍋のいい匂いをさせているのをうらやましく眺めました。

1998/01/03

△07:00 くろがね小屋 → △07:45-55 峰ノ辻 → △09:00 稜線 → △09:45-10:15 くろがね小屋 → △10:45 分岐 → △11:45 奥岳

6時に朝食となりましたが、昨日強打した足の指は紫色に腫れ上がっており、こちらの顔も青くなりました。そこでしばらく小屋に備え付けのサンダルで屋内を歩き回ってみましたが、なんとかなると判断して出発することにしました。

外は昨日からの雪が降り続いており視界が得られないものの、岩につけられた赤ペンキのマークとおおよその地形で方向はわかるはずです。ところが、峰ノ辻で大失敗。雪とガスで見通しがまったく利かない中で稜線に辿り着いたものと判断し右手の岩稜に直接取り付きましたが、この岩稜は矢筈森に通じるもので、本来のコースはこの岩稜の左へとトラバースして緩やかに高度を上げるべきものでした。左手から吹き付ける強烈な寒風に身体を飛ばされそうになりながらわずかな視界の中で岩稜を直登しましたが、30分登ったところで岩塔にぶつかってこれ以上進めなくなってしまい、道を誤ったことをはっきりと自覚しました。

元来た道を戻る途中でガスの切れ目を通して右手下に登山者が歩いているのを見つけ、雪の斜面をダイレクトに下って道に辿り着き改めて稜線を目指したものの、本当の稜線は雲の中に完全に入ってしまっておりこれまで以上の烈風が真正面から吹き付けてきます。飛ばされてくる雪が露出した頬に突き刺さるように痛く、加えてガスと雪で日差しが遮られて暗いため周囲の地形を読むこともできず、現在地も山頂の位置もまったくわかりません。

結局ここで撤退を決めトラバース道を下ったところ、この道が峰ノ辻を経由していたためにようやく最初の失敗の真相に気付きましたが、後の祭りでした。

小屋に戻ってアイゼンを外し目出帽や手袋をストーブで軽く乾かしていると、小屋の管理人さんから「冬は5回来て初めて山頂に立てたという人もいるから、めげることはないよ」と慰められました。ただ、違う季節とは言え一度山頂に立っていることと、烈風との格闘そのものが(負けたとは言え)楽しめたので我々もそれほど気落ちしているわけではありません。ともあれ、しばしの休憩の後に小屋を後にして勢至平をどんどん進みながら前方を見下ろすと、下界を明るい日差しが照らしています。ところがそこから振り返ると山頂方面は相変わらず黒い雲に覆われていて、あの中で何組かのパーティーが今も風雪と闘っているのだと思うと妙に感動しました。

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