顔振峠〜ユガテ
日程:2024/12/29
概要:年納めのトレイルランニングとして、ラン友・マドカと共に吾野駅から顔振峠に上がり、南東方向の尾根筋につけられた登山道を辿って日和田山を目指したが、途中でシューズが崩壊したためにユガテから東吾野駅へエスケープした。
⏿ PCやタブレットなど、より広角の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。
山頂:---
同行:マドカ
山行寸描
ラン友マドカとの忘年会企画として向かったのは、過去2012年と2014年に走っている顔振峠から日和田山までの山道。それらはいずれも高麗駅へ下山していましたが、今回はさらに宮沢湖まで足を伸ばしてひと風呂浴びてから、飯能あたりで飲んだくれようというのが企画のポイントです。ところが……。
2024/12/29
△10:00 吾野駅 → △10:45-50 顔振峠 → △12:10-20 ユガテ → △12:55 東吾野駅
この日はこれ以上ないほどいい天気で、西武線の車窓からは真っ青な空の下に奥武蔵の里と山の様子が明るく眺められました。しかし、よく見ると日が当たっていないところにはびっしり白い霜がついていて、このあたりの朝の寒さが厳しいことが窺えました。
吾野駅の改札口でマドカと合流。私は頭にネパールで買い求めたバフをかぶり、足回りは数年振り(最後に履いたのがいつだったか思い出せない💦)に出動させたスポルティバのトレランシューズです。この出立ちで吾野駅から高麗川を渡ってその北岸を歩き山の中へ入っていくまでの間に、10年前にはとてもアバンギャルドな案山子が立っていて、今回もその案山子たちとの再会を期待していたのですが、残念ながら彼らの姿は見当たりませんでした。
車道から山道に入り、ぐんぐん高さを上げて背後が開けるようになると峠はもうすぐ。きれいに見えている奥武蔵の山々の右端にひときわ高いトンガリは武甲山です。
顔振峠に登り着くと何人ものハイカーやバイカーがたむろしていましたが、平九郎茶屋の開店時刻にはまだ少し間があったようで、のれんはかかっているのに「準備中」の札が出ていました。しかしその駐車スペースからは正面に富士山がよく見えていて、その手前には奥多摩の山々、視界の左端には丹沢も見えていました。ここで「平九郎」の名についてマドカがひとしきり蘊蓄を披露してくれて私は賛嘆するしかなかったのですが、茶屋から少し歩いたところにある案内板には今しがたマドカが語ってくれたことがそっくりそのまま書かれていました。蘊蓄の元ネタはこれだったのか。
峠からしばらく車道を走り、やがて山道に入って気分よく飛ばすと阿寺諏訪神社に裏から入ることになります。何人かのハイカーたちが参詣しており、我々も少し離れたところから二礼二拍手一礼を送りました。
山道をわずかに進むと山道から少しそれるような位置関係の鳥居があって、試みにこれをくぐり階段を登ると、何やら奥宮っぽい祠と磐座になりそうなチャートの岩塊が鎮座していました。
こんな具合に神様にしっかりご挨拶を重ねていたにもかかわらず、五六峠とエビガ坂との間で突如右足に違和感を感じ、足元を見てみるとシューズのソールがすっかり剥がれてしまっています。古い登山靴のソール剥がれはよく聞く話ですが、自分がこういう目に遭ったのは初めてのことで、これほど見事に剥がれるものなのかとむしろ感心してしまいました。確かに自分も長年履いていないことが気になって出がけにチェックしてはいたのですが、ここまで劣化が進んでいたとは気づかなかったなぁ。しかしこれでは山道を歩き続けることは難しいので、持参していたテープで応急処置を施しました。ここでもマドカが手際の良さを示してくれたので「さすが医療従事者!」と褒めたたえたのですが、後で聞いてみたら彼女は内科なので採血は好きだが仕事で包帯を巻くことはないのだとか……。
ともあれユガテまで行き、そこから東吾野駅へエスケープしようと話がまとまってのんびり歩きを続けます。杉林の中にシダやサカキが群生する間を抜けて目の前が広がれば、すぐ下がユガテです。
青空の下にたわわに実る柑橘類の美しさに惹かれてゆずを一袋買い求め、休憩ベンチで行動食を口にして短時間寛いだのですが、見れば左足のシューズもソールが剥がれるのは時間の問題という状態です。このため予防策としてそちらにも残りのテープを巻きつけた結果、私の足元は傷病兵もかくやという悲惨な見た目になってしまいました。
しかしユガテから東吾野駅までは、わずかの山道を下ればあとは車道の緩やかな下りが続くばかり。おかげでこれといった支障を感じることなく駅に辿り着くことができました。トレイルランとしては物足りないものになってしまったのは残念でしたが、リカバリーが効く範囲内のアクシデントだったことを考えればやはり諏訪神社の神様に感謝すべきなのかもしれません。
思いがけず早い時刻に下界に降りたため、風呂は割愛してただちに飲みに行こうと衆議一決。飯能駅から徒歩数分の「串屋 隆」で打上げとしました。
まずは生ビールで乾杯、そしておいしい鳥料理に舌鼓を打ちながら地酒「天覧山」「琵琶のささ浪」と飲み進めました。前者は飯能ご当地の山の名前なのでわかりますが、後者のネーミングの由来はいかなるものか気になります。「琵琶」が琵琶湖のことであれば平忠度の和歌さざなみや志賀の都は荒れにしを……
が連想されますが、作っているのは滋賀県ではなく埼玉県の麻原酒造。しかし、そうした疑問をすぐに忘れさせるほどすっきり飲みやすい美酒でした。かくして二人ともすっかりへべれけになって、まだ日が高い15時頃に忘年会をお開きにしました。