広河原沢右俣クリスマスルンゼ
日程:2024/12/25
概要:舟山十字路を起点にして、広河原沢右俣のクリスマスルンゼを登る。
⏿ PCやタブレットなど、より広角の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。
山頂:---
同行:クス氏
山行寸描
世間的にはクリスマスのこの日、寒くて寂しい氷の世界にしか居場所を見つけられない男たちのために、神様は「クリスマスルンゼ貸切」というプレゼントを与えてくださいました🙏
2024/12/25
△08:40 舟山十字路 → △09:40 二俣 → △10:25-40 右俣出合 → △11:10-15:25 クリスマスルンゼ → △15:55-16:05 右俣出合 → △16:35 二俣 → △17:15 舟山十字路
先週の裏同心ルンゼに引き続き、年内にもう一度アイスに行っておこうとクス氏共々向かったのは、ゲレンデアイスの定番である八ヶ岳のクリスマスルンゼです。
甲府盆地の上は晴れているのに八ヶ岳の上には雲が停滞しているというのが今月2回の八ヶ岳行での天候でしたが、今日は八ヶ岳の上もすばらしい青空。そのためかこの日は終日、この季節に似合わない温暖な気候でした。
平日とあって舟山十字路に駐まっている車の数はさほど多くなく、しかもそのうちの一定数は阿弥陀岳の御小屋尾根や南稜、中央稜に向かっているはずですから、クリスマスルンゼは空いているかもしれないと期待が高まります。ここから1時間歩いて到着した二俣(広河原)も閑散としていて、黄色いテントが一つ張られているだけでした。
二俣から右へ進むと行く手には阿弥陀岳が高く、南稜のP3から山頂にかけてのスカイラインが綺麗に見えています。それにしても暖かい、というか暑い。滝は登れる状態で待ってくれているだろうか?
右俣出合でチェーンスパイクをアイゼンに、ストックをアイスアックスに切り替えて、クリスマスルンゼが待つ右俣に進みます。最初の小滝は左端から簡単に登り、続く小滝は右(左岸)のフィックスロープを使って巻き上がりました。
クリスマスルンゼに着いてみると予想していた以上にいい状態で、しかもうれしいことに貸切でした。これは神様からのクリスマスプレゼントに違いありません。
軽く行動食をとってから、まずは下段の滝の右側を登って緩傾斜帯まで上がり、右(左岸)の木の根に確保支点を設けてクス氏を迎えました。
上段の滝を観察してみると、やはり気温の高さのせいで滝の右端では水が音を立てて滴っており、左寄りの凹角の右半分もシャバシャバな感じですが、それ以外はしっかり凍っていて楽しく登れそう。それでも近くで見上げてみなくてはと慎重に近づいて検討の結果、第一感通り左の凹角から上がることにしました。
思った通り凹角部はアックスの掛かりがよく、フットホールドにも恵まれて不安を感じることなくトップアウトすることができました。そのままルンゼの奥に進んで残置スリングも活用しながらトップロープの支点を作り、懸垂下降でクス氏のところに戻ってから交互にTRで練習に取り組みました。
登ったラインはこの3本。左の凹角が最も容易ですが、右のフェースも傾斜が比較的緩く、中央の立ったフェースもアックスの刺さりがよくて快適です。
私が4本、クス氏が3本とあまり本数を稼げなかったのは出発時刻が遅かったから仕方ありませんが、それでも裏同心ルンゼでは意識することがなかった氷壁登りの勘どころを身体に思い出させての練習ができたので十分に有意義でした。最後に懸垂下降で滝の下に降りて、クリスマスルンゼでの練習は終了です。
元来た道を戻って二俣に着いてみると、朝方に張られていた黄色いテントは撤収していた代わりに新たに緑のテントが張られていました。私が最後にこの場所に幕営したのは2018年1月ですからほぼ7年前で、そのことを思い出してとても懐かしい気持ちがすると共に、ここにテントを張る人たち(黄色も緑も)に親近感を覚えました。
いつの間にか太陽は西の山の端の下に沈んでいます。行く手の空がオレンジ色から金色に、さらに暗い色に変わっていく様子を眺めながら、できることならヘッドランプの世話にならないようにと足を速めて下山を続けましたが、帰り着いた舟山十字路は夜の帳に覆われていました。