笹子川真木川大ゴ沢

日程:2022/04/15

概要:真木小金沢林道ゲート前から大ゴ沢に向かい、堰堤を越えたところから入渓。大谷ヶ丸に詰め上げてから、ホリヌキ経由で林道桑西線に降り立ち起点に戻る。

⏿ PCやタブレットなど、より広角(横幅768px以上)の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。

山頂:大谷ヶ丸 1644m

同行:セキネくん

山行寸描

▲20mナメ滝。この山行で唯一ロープを出した場所。(2022/04/15撮影)
▲60mナメ滝。良好なフリクションのおかげで気持ち良く登れた。(2022/04/15撮影)

◎本稿での地名の同定は『ウォーターウォーキング2』(白山書房 2013年・以下『WW2』)の記述を参照しています。

久しぶりにセキネくんと予定を合わせていたこの金曜日は石灰岩の山でマルチの予定だったものの、天気予報はあいにくの雨。普通なら山行中止とするところですが、足慣らし程度の易しい沢登りならいいんじゃないかと引っ張り出してきたプランは大菩薩嶺から南に連なる小金沢連嶺のピークのひとつ、大谷ヶ丸に突き上げる大ゴ沢です。自分とセキネくんとの組合せでウォーターウォーキングなんかやった日には世間に顔向けできなくなるのではないか……と思いながら足を運んだのですが、実際には短い中にもナメが続いてなかなか味わいのある沢でした。

2022/04/15

△08:45 桑西林道入口 → △09:20 大ゴ沢入渓 → △09:40 20mナメ滝 → △10:25 60mナメ滝 → △11:20-30 大谷ヶ丸 → △11:45 分岐 → △12:15 ホリヌキドウミ → △12:20 ホリヌキ → △12:50 小沢ドウミ → △13:20 桑西林道入口

午前8時に大月駅で待ち合わせて林道真木小金沢線を進み、途中でこの林道を閉鎖しているゲートのすぐ手前から左へ林道桑西線に入って、すぐに橋を渡ったところの駐車スペースに車を置きました。

車を置いた場所からはしっかりした道が続いており、この道が大ゴ沢の左岸から右岸に渡ったところで林道から離れ、堰堤を左、ついで右と越えていきます。

2段堰堤を右から越えたところから沢筋に降りて入渓すると、すぐに3mのちょっとした段差が出てきます。先行していたセキネくんは最初に正面からの突破を試みましたが、キーホールドとなる岩が動いたために直登は断念。段差の左端からここを越えました。

その後はナメが続くようになっていい感じ。おっ、これはなかなか!と思わせたのですが……。

惜しむらくは岩が滑ります。岩質自体はフリクションの良いものなのですが、今日のこの沢はナメが広範囲に茶色くヌメっており、そこに足(二人ともラバーソール)を置けば確実にスリップしてしまいます。それでも平らなところは慎重に、そうでないところはなるべく中央突破を心掛けて進みました。

入渓してわずか20分で出てきたのが、この沢の核心部となる20mナメ滝です。立っているような寝ているような微妙な角度で、攻め方がちょっと悩ましい感じ。ここはロープを出してセキネくんがリードすることになりました。

水流に近いところを登る選択肢もありそうでしたが、そのラインに大きな浮石が引っ掛かっていることを忌避したセキネくんは右から迂回気味に登って落ち口を目指し、若干の奮闘の末に落ち口の向こうに消えていきました。後続の私も当然同じラインを登りましたが、落ち口のあたりはワンポイントだけフリクション頼みとなるものの最初にカチ、ついで落ち口の上にガバあり。ただしガバは右上から左下へ傾斜している上にやはりヌメっており、不用意に足を上げて立ち込みスリップしたときには止まらないので要注意です。

20mナメ滝を越えたらしばらく平凡な渓相となりますが、途中で左から入ってくる沢は出だしにナメ、その奥にもナメを見せていていい感じです。これは下山で通ることになるホリヌキドウミから降りてきている沢か?と思ってGPSを見ると、そこはとっくに過ぎていて遡行は早くも終盤近くになっていました。

沢の左右の壁が迫ってきたところに小さく黄色い滝が現れ、これを難なく乗り越えると目の前には60mナメ滝。水量が少ないので迫力には欠けますが、適度な傾斜にフリクションもよく利いて、実に楽しくこの滝を登り切ることができました。

やがて沢筋が二手に分かれる箇所に出て、ここを右へ進み米背負峠へ上がるのが『WW2』の推奨ルートですが、我々は大谷ヶ丸へダイレクトに詰める左を選択します。

10mナメ滝は見た目には威圧感がありますが、実際はこれも快適なフリクションを活かして水流の中を簡単に上がることができます。落ち口ではセキネくんは左から抜けましたが、私はダイレクトに水流突破。うまい具合に右から出ている木の根が良いホールドを提供してくれていました。

部分的に雪に覆われたパートを慎重に通り抜け、最後は複雑に枝分かれする沢筋の中から各自これが山頂に通じているだろうと思うものを適当に詰めて、山頂で合流したところで遡行終了です。

下山はまず滝子山方向の登山道を下り、道がいったん登りになって緩やかなピークになったところから左(東)へ尾根を下ります。この下り道は『WW2』にも載っているくらいなので易しいのだろうと思っていたら意外に急で、おまけに途中で本線を外してしまい尾根の右斜面を下ったら少々緊張するほどの足元の悪さでした。もし初心者を大ゴ沢に案内して下山ルートにこの尾根を使うのであれば、少なくともチェーンスパイクを履かせるのが無難だろうと思いますし、ヘルメットとハーネスも装着したままにしていつでも確保できるようにしておく方が良さそうです。

下りきったところにある顕著な鞍部はホリヌキドウミという変わった名前ですが、「ドウミ」は峠や鞍部のこと、「ホリヌキ」は登り返した先にある1447mピークの名前です。そのホリヌキへの登り返しは出だしにしっかりしたフィックスロープがあり、これを使って微妙なトラバースから細い尾根上に乗り上がってひと頑張りです。

ホリヌキから先は危険を感じるところはなく、セキネくんと音楽談義を交わしながらのんびり下って林道桑西線が通っている小沢ドウミに降り立ちました。ここからはダートの林道が続いており、途中で大きな蛙の産卵に立ち会ったり流水で装備を洗ったりと道草しながら下っても30分の歩きで車を駐めたところに到着しました。