甲斐駒ヶ岳(敗退)
日程:2019/07/06-07
概要:初日、黒戸尾根を七丈小屋まで。翌日、赤石沢Aフランケ赤蜘蛛ルートを登る予定だったが、雨のため中止し、そのまま黒戸尾根を下降。
山頂:---
同行:セキネくん
山行寸描
セキネくんとはこれまで何度も赤蜘蛛ルートを狙って日程を合わせてきたのですが、その都度天候に恵まれず涙を飲んで山行中止ということを繰り返してきました。今年も人工登攀の練習は怠りなく行って夏を迎え、最初の機会を7月最初の週末に設定したのですが、ここは梅雨の最中ですからやはり天気が気になります。特にこの週末は梅雨前線とオホーツク高気圧とのせめぎ合いが予報を難しくしていたようで、数日前から天気予報サイトを見比べては「良くなった!」「また悪くなった!」「予報が予報になってない!」と一喜一憂を繰り返しました。そしていよいよ当日。
左から「tenki.jp」「ウェザーニュース」「ヤマテン」ですが、この「ヤマテン」の強気ぶりには驚きました。しかも、その解説は次の通り。
6日(土):梅雨前線が関東の南海上にほとんど停滞するが、活動は弱い。上層の雲が広がったり、積雲が湧いたりする時間はあるものの、天気の崩れは小さく、風も穏やか。
7日(日):オホーツク海高気圧が本州付近に張り出す。これに覆われるため、おおむね晴れて、風も穏やかな見込み。
ここまで断言されては、山行を中止する理由がありません。運をヤマテンに任せて決行です。
2019/07/06
△09:40 尾白川渓谷駐車場 → △14:15-30 五合目 → △15:20-30 七丈小屋 → △16:05-10 デポ地点 → △16:35 七丈小屋
日向山へ向かう若者たちの一団を横目に見ながら、こちらは鬱蒼とした雰囲気の竹宇駒ヶ岳神社に参拝。二礼二拍手一礼の中でひそかに「めでたく赤蜘蛛を登れたら帰りに千円札を賽銭箱に入れさせていただきます」と念じました。
勝手知ったる黒戸尾根の登りですが、今回はなんだか足が上がりません。ルートの性格上ギアが重いのは仕方ないのですが、それでも小屋泊まりにしているためにせいぜい15kgしかないのに、この遅さはどうしたことか。これが寄る年波には勝てぬということなのか?
……などと暗い気持ちになるのは、自分の遅さに加えて出だしから一貫してガスに覆われた道のせいだったかもしれません。ともあれあらかじめ予約してあった七丈小屋に着いて、受付を済ませたらギアを上へデポするために登り続けました。最初のプランでは八合目に荷物を上げるつもりだったのですが、夕食が17:00からと告げられたので、とりあえず行けるところまで上がることにします。
七丈小屋から40分ほど登って樹林が切れ、スラブ状の岩を越えたあたりに適当な場所があり、ここにロープとギアをビニール袋に入れてツェルトでくるみました。すっかり軽くなったリュックサックを背負ってとっとと下り、七丈小屋の第二小屋に落ち着いたところで、セキネくんに促されて「ヤマテン」の予報を見てみると……。
7日(日):本州南海上を東北東に進む低気圧の影響で、前日の予想より湿った空気が入る。朝までは雨が降ったり止んだりとなり、風もやや強まる。日中も霧に覆われる時間が多くなる見込みで、湿った空気の影響が予想より強いと、昼頃にかけても時折弱い雨が降る可能性も。
マジですか!この鮮やかなうっちゃりには呆然。この予報を今朝見ていたら黒戸尾根を登ることはなかったはずですが、しかし「予報が予報になってない」状況の中で最も楽観的な「ヤマテン」の予報を採用したのは自分たちですから仕方ありません。
夕食はカレーライスと他数品ですが、このカレーはスパイシーで大変美味。おかわり自由というのもうれしいところで、これがこの山行での最大の収穫ということになりました。
2019/07/07
△02:15 七丈小屋 → △02:45-50 デポ地点 → △03:15-05:25 七丈小屋 → △06:00 五合目 → △09:05 尾白川渓谷駐車場
午前2時起床。空に星が見えていれば決行ですが、もちろんそんなわけはなく、霧雨が降っている状態です。セキネくんに「どう思う?」と聞くと、瞬時に「デポを回収してとっとと下りましょう」という返事が返ってきました。まぁそうするしかないだろうなぁ。
雨具を着込み、昨夜ギア類をデポしたところまで登って荷物を回収。小屋に戻ってから弁当を食しました。小屋が作ってくれていたこの弁当も、いなり寿司三種にソーセージ、卵焼き、漬物がついて食べやすいものでした。これらをおいしく完食してから、明るくなるのを待つために毛布をかぶりました。
出発したのは、他の登山者がほとんど出払った後の午前5時すぎ。その際、小屋番の男性に「今は売店やってる時間じゃないよ」と怒られつつも甲斐駒Tシャツ(つるぎデザイン)をゲットしました。このTシャツの収益は登山道整備基金に充てられるのだそうです。
後は登ってきた道をひたすら下るだけ。時折はっきりと雨模様になったり、逆に周囲の見通しがかすかに利くようになったりしながらも、一貫して雨具を脱ぐことができないコンディションが続きました。
駒ヶ岳神社に戻り、何はともあれ事故なく下山できた御礼にお賽銭100円を投入。次回は「登れたら」ではなく「登らせてください」と千円札を投じることにしようと思います。
駐車場の売店「おじろ」でみそこんにゃくを注文したところ、我々が山から下りてきたところだと知った売店のおばさんがサービスできゅうりやいんげんの小皿を出してくれました。おばさん、ありがとう。そして、これらをいずれもおいしくいただいて売店を出ようとしたときには、車までのほんのわずかの距離も傘なしで歩くのがためらわれるほどの本降りの雨になっていました。