塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

黒姫山

日程:2014/06/28

概要:黒姫高原スノーパークを起点に小泉登山道を登って山頂に達し、火口原に下って峰ノ大池と七ツ池を巡ってから小泉登山道を下る。

山頂:黒姫山 2053m

同行:---

山行寸描

▲黒姫高原から見た黒姫山。茫洋としているが、遠くから見るともっと秀麗な山容のはず。(2014/06/28撮影)
▲ガスの中の山頂。本当は妙高や戸隠が見られるはずだが視界ゼロだった。(2014/06/28撮影)

2014/06/28

△09:30 黒姫高原スノーパーク → △10:15 小泉登山道登山口 → △11:35 姫見台 → △11:55-12:05 越見尾根 → △12:35 黒姫乗越 → △13:15-30 黒姫山 → △13:40 分岐点 → △14:00-05 峰ノ大池 → △14:15-20 七ツ池 → △14:45 黒姫乗越 → △15:05 越見尾根 → △15:30 姫見台 → △16:30 黒姫高原スノーパーク

この日はモントレイル黒姫トレイルランニングレースの36kmのコースを走る予定だったのですが、4月から続いている膝の不調が未だに治まらず、直前になって泣く泣く棄権することにしました。とは言っても宿泊は申し込んであってお金も既に振込済みなので行かない訳にもいかないし……というわけで、この機会に前々から気になっていた黒姫山に登ることにしました。

続々集まってくるランナーたちを横目で見ながらこちらはドネルケバブで腹ごしらえをして、一人で山を目指しました。

よく登られている山らしいのでどうせ道標もしっかりしているだろうとたかをくくり、真面目に地図を見ることもなく林道をどんどん進んだのですが、しばらく歩いて深く切れ込んだ沢筋を渡るあたりで「どうもおかしいな?」と地図を見ると、登山口の入口を見逃して巣鷹林道を進み過ぎていたことがわかりました。仕方なく元来た道を戻り、少し気になっていた分岐から奥をすかし見ると、奥まったところに「小泉登山道」の標識あり。こういうのは分岐点に設置してくれないと……とぶつぶつ言いながら軌道を修正しました。ここで30分のロス。

もっとも登山道は草むすスロープの中に明瞭につけられており、刈り払いもされて歩きやすく、時折振り返ると背後には野尻湖や斑尾山が見えて退屈することがありません。やがて最後のリフトの施設を過ぎて林間を少し歩いたところが少し開けていて、姫見台という名の通り、そこにある岩の上に立つと黒姫山の外輪山の一部を見ることができました。

ここからは山頂に向かって右方向へ水平に道が続き、そのところどころに岩が積み重なって歩きにくくなっていますが、このトラバースはさして長くは続かず「越見尾根」と書かれた標識のあるところで90度折れ曲がって真っすぐ上に向かうようになります。

「越見」というからには新潟県方面が眺められるはずで、確かに木の間越しにわずかに上越市方面の平野の広がりを望むことができましたが、さして展望に恵まれているわけではありません。ここで下ってきた1人の登山者とすれ違いましたが、これが今回の山行で会った最後の人となりました。

よく整備された山道をひたすら登ると、外輪山の北端にあたる黒姫乗越に着きました。ここで道は左に折れ、すぐに火口原に下る道を分けていますが、そちらには後で立ち寄ることにしてまずは真っすぐ山頂を目指すことにしました。

山頂部は雲の中に入ってしまっており、時折雨がぱらつきましたが、いかにも日本の山らしいしっとりした山道を歩くのも悪くないものです。

外輪山上の道は勾配がぐっと落ちて緩やかに高度を上げていますが、樹木の根が張り出して歩きにくいところもあって案外はかどりません。それでも、ところどころの草花が一人ぼっちの登山の無聊を慰めてくれました。

外輪山上のコル状の場所で表登山道を合わせ、さらに進むとぽっかり開けた山頂に着きました。風とガスに巻かれて寒く展望は何も得られませんが、とりあえず登頂したことに満足。本当ならここから妙高山や戸隠山の眺めが良いらしいのですが、この天気では仕方ありません。あたりの適当な岩の上に座り、フランスパンのサンドイッチとグレープフルーツの昼食をとって、すぐに腰を上げました。時刻が遅くなるほどに雨の確率が高まるのでこのまま来た道を戻るのもありですが、地形図を見ると火口原へ下るのが面白そうなので、濡れることを覚悟の上でさらに先へ進むことにしました。

斑尾山、妙高山、戸隠山、飯縄山とともに北信五岳の一つとされる黒姫山は、北東から南東を経て南西にぐるりと半周する外輪山を持ち、最高点=山頂は外輪山の南東にあります。この外輪山と中央火口丘(御巣鷹山)の間に広がる火口原の中に峰ノ大池と七ツ池があり、登山道は外輪山上と火口原の中を通じていて、外輪山から火口原へ下ることもできるようになっています。

山頂からさらに進むと、道はわずかに急下降してからゆったり下るようになりました。相変わらず展望はなく時折はっきりと雨が降るようになりましたが、雨具を羽織るほどには降雨は続きません。

やがて着いたコルが火口原への分岐点。ここには山の南から登山道も登ってきていたようですが、今はこの南登山道は廃道になっているようです。

分岐点から下ること20分、蛙の声がゲロゲロと響き始めたと思ったら予想外に立派な峰ノ大池に到着しました。

ガスで対岸を見通すことができずその向こうに聳えているはずの御巣鷹山も見えませんが、これはこれでいい風情です。ずいぶん昔に訪れた八甲田山の黄瀬沼を思い出しながらしばらく幽玄な雰囲気に浸ってから、七ツ池を目指しました。

樹間の道を抜けると突然目の前が開け、広大な笹原の中に立っていることに気付いて驚きました。恥ずかしながらほとんど予習をしていなかったので黒姫山の火口原にこうした景観があるとは知らなかったためですが、笹原の中の明瞭な道を気分良く歩くといくつかの池がかたまっていて、これが七ツ池でした。本当に七つなのかどうかは確認しませんでしたが、開放的な笹原の中の池塘群というのは先ほどの峰ノ大池とはまた違った味わいがあります。ただ、もしかするとこれは泥炭層からなる高層湿原が笹に浸食された跡なのかもしれず、そうだとすれば残念な姿ということなのかもしれません。

見るべき程の事をば見つ。今はただ下山せん。

七ツ池から黒姫乗越まではほとんど標高差がなく、ところどころ雪が残る樹林の中の道をゆったり歩いて外輪山の北端に帰着しました。

後は元来た道を下るだけ。黒姫高原スノーパークから聞えるレースのアナウンスの声を耳にしながら、登りのときにはその美しさに気付かなかった明るいブナ林の中を下りました。そして、黒姫高原スノーパークに戻るとレースはまだまだ続いていて、ランナーたちが続々ゴールインしていました。

レース終了は18時で、その後に行われた表彰式とBBQに参加してから宿に泊まり、翌日帰京しました。黒姫山登山も楽しかったものの、やはりトレイルを走れなかったのは残念です。この膝には1日も早く治ってほしいのですが、果たしてどうなることか……。