中川川大滝沢鬼石沢
日程:2013/09/01
概要:西丹沢の鬼石沢を一軒家避難小屋から遡行。遡行終了後、大滝峠経由下山。
山頂:---
同行:よっこさん / スミヨさん
山行寸描
この週末は別の企画があったのですが、台風接近に伴う天気予報の悪化でその企画を諦め、土曜日にジムに行くことにしたのが木曜日。しかし、金曜日になってみると南関東の天気はずいぶん良さそうな予報に変わっていたので、急遽日曜日を日帰りの沢登りにあてることにしました。西丹沢の日帰りの沢ならヒルも出なくて手頃だろうと考え、私もまだ遡行したことがない鬼石沢をチョイスしてみたのですが……。
2013/09/01
△09:20 大滝橋 → △10:15-45 一軒屋避難小屋 → △11:20-50 F3 → △12:35-45 F5(鬼石) → △13:55-14:15 登山道 → △14:40 大滝峠上 → △15:20 一軒屋避難小屋 → △16:20 大滝橋
小田急線新松田駅前に8時に集合し、予定通り8時10分発のバスに乗ったところで、もじもじしていたよっこさんが「ヘルメットを忘れたんですけど」と衝撃の告白。げっ、そんなのバスに乗る前に言ってよ!とは思いましたが、うーん、難しいところは私がリードして、難しくなくてもロープで確保することにすれば危険は回避できるかな、と予定通り鬼石沢に向かうことにしました(本当は中止にすべきだったかもしれません)。
大滝橋バス停から左手に入って、東海自然歩道の一部であるよく整備されて歩きやすい道を進むこと約1時間で一軒屋避難小屋に到着しました。トイレはないもののしっかりした造りの小屋の中にはゴミもなく、大事に使われていることがわかります。屋外のベンチで沢装備に変身し、小屋の前を流れる鬼石沢の右岸の道を上流へ向かいました。
そのまま堰堤を越えたところで沢筋にいったん入りましたが、沢の中は倒木で荒れていてスムーズには進めそうにない感じ。仕方なく沢の左右についている明瞭な踏み跡を辿って歩きを続けると、やがてナメっぽい段差を左へ曲がったところにF2(10m)が現れました。見たところ正面突破は困難ですが、右手から巻き気味に登ればとりたてて困難なく行けそうなので、ここはノーヘルよっこさんに先頭を切ってもらいました。予想通り技術的な困難はありませんでしたが、右手の斜面に倒木が逆さに残っていてとても邪魔。この辺りから早くも前途に暗雲が垂れ込めてきます。
F2のすぐ上がこの沢で最も大きな滝(20m)で技術的な核心部でもあるF3で、ここは私がリードすることにしました。予習したところでは水流の向かって右を残置ピンをつなぎながらフリクション頼みで登るコースがメインラインなのですが、ここでも大きな倒木がぶら下がるように覆っており、そちらからは登れそうにありません。仕方なく滝の左側を直上することにしました。
登りながら途中で右側へ渡るラインを模索しましたが、やはり倒木に阻まれてそれは無理そう。それよりも左側に予想していなかった残置ピンを発見したので、ランナーをとってそのまま上へ抜けました。落ち口にはきれいに侵食された水路ができていましたが、水はちょろちょろ程度にしか流れておらず、お世辞にも美しい滝と言うことはできません。前日に雨が降っていれば様相がずいぶん違ったと思うのですが……。
F3の先、水の流れていないナメやら石積堰堤やら乾いた砂地やら、要するに潤いに乏しい景観の中をひたすら進んで次のポイントはF4(7m)ですが、ここも水が流れておらず拍子抜け。1段上がって2、3歩フリクションを信じて上がれば、後はホールドをつかんで不安なく登れます。
そして両岸が迫る谷筋の底を、かろうじてナメ床に癒されながら歩くうちに前方に登場したのが、大岩が積み重なるようにしてできたF5(6m)でした。手前のテーブル状の岩の上に乗り、右手の岩に描かれた赤い矢印に沿って岩と岩の間に入るとその向こうに明るい出口が見えましたが、ここを抜けるのは意外に奮闘もの。窮屈さをこらえながら右上へ身体を引き上げ、穴の外にある岩をホールドに思い切り腕を伸ばし、最後は腹スメア状態で穴から這い出します。リーチの差があるため後から登ったよっこさんとスミヨさんにはお助けスリングを出しましたが、全員お腹が土と苔とでドロドロ。しかし面白いと言えば面白い。
トポに書かれていない二俣では地形に騙されないように本流筋を見極めながら遡行(と呼んでよいかは水がないのではなはだ疑問)を続け、大きな岩が乗った堰堤や少々テクニカルなCS滝を越えてひたすら沢筋を詰めていくと、緩やかな坂道を藪漕ぎなく登ったところが畦ヶ丸に通じる登山道でした。
蒸し暑い谷の中から風が通る鞍部に出て、ほっと一息。帰路は明瞭で歩きやすい登山道を下り、大滝峠上から左手へ下降してステタロー沢沿いを緩やかに下ると、程なくして一軒屋避難小屋です。脱水症状のために足をつらせて呻吟するよっこさんと大蛙に飛び上がって驚くスミヨさんを励ましながら、後は元来た道を逆に辿るだけでした。
バスの運行時刻の関係で「ぶなの湯」には滞在30分。そそくさと身体を洗って少しだけ湯船でのんびりし、必死に坂道を登ってバスに間に合って、新松田駅前の大松園で打ち上げました。
生ビールと焼肉の味は最高でしたが、それにしてもつらい沢登りだった……というか、水がなかったので沢登りではなく、単なる「ワイルドな山登り」に終わったような気がします。涼を求めて沢に入ったのにここまで水が涸れて暑さに攻められる山旅になるとは思ってもいませんでした。水が流れていないのはこの時期だけの問題だったのかもしれませんが、それにしても倒木による荒れ具合には辟易です。よっこさん、スミヨさん、こんな沢を選んでしまい申し訳ありませんでした。