塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

岩根山荘アイスツリー

日程:2013/01/19-20

概要:長野県川上村の岩根山荘に設置された人工氷瀑=アイスツリーを用いたアイスクライミング講習会。昨年に続いて2回目の参加。

山頂:---

同行:ジャパン・アルパイン・ガイド組合

山行寸描

▲講習会風景。今回も大変勉強になりました。(2013/01/19-20撮影)

昨シーズン、アイスクライミング再開のきっかけにしたのが、1年前に開催されたこの岩根山荘主催のアイスクライミング講習会です。そのときの体験がとても楽しく勉強にもなったことから今年も参加することにし、ジム仲間さとし&よっこ夫妻とセキネくん、それにやはり昨シーズンに保科ガイドの講習会でアイスを始めた「氷の女王」または「かまきり夫人」こといず姫にも声を掛けて皆さんとご一緒することにしました。

2013/01/19

△11:00- 岩根山荘

昨年同様、最初に部屋割りの指示を受けて自室へ荷物を運び込むと、同室の2人の男性はいずれも昨年顔を合わせていたメンバーで、自己紹介して少し話すと「そういえば」とすぐ打ち解けました。正午になってオリエンテーションのために食堂に集まると、やはり昨年見掛けたり同じチームだったりしたリピーターの顔がちらほら。中でもびっくりだったのは、ときどき拝見しているブログ『たんぽぽの花の山登り&ロッククライミング』の主であるたんぽぽさんとお会いしたことです。たまたま席が向かい合わせになったのですが、顔を見合わせた途端「もしや……○○さん?」とお互いにわかりました。

オリエンテーションが終わったら支度をして講習開始。今回はジャパン・アルパイン・ガイド組合のガイド8人に受講生が37名。よっこさんとセキネくんはたまたま同チームでしたが、後はばらばらに分かれて指導を受けることになりました。

私は山下ガイドの班で私以外の3人の受講生と共に指導を受けることになりましたが、山下ガイドの指導は恐ろしくおおらかで「皆さんは経験者ばかりですから、自分たちで適宜登っていただいてかまいません」と自由放任主義。いや、それだけでもちょっと困るんですけど……。

この日はフジテレビの撮影スタッフも入っていて、夕方の番組のためにキャピ系のキャスター(?)が体験クライミングをしていました。しかしこのキャスター、きゃーとか言いながら意外にガッツがあって、がんばってアックスを振るっていたのは感心です。セキネくんもちょっと萌えていたような?

それはともかく、講習終了時刻である16時半までの間に私は8本(うちドライ壁と限定課題各1本)を登りましたが、同じチームに属するS氏がガイドはだしの安定したテクニックの持ち主で、彼のアドバイスでダイアゴナルでの登り方のコツを身に付けることができたのが収穫でした。

講習が終わり風呂に入ってから、豪勢な夕食と共に酒盛り。ビールに加えて日本酒もぐいぐい飲みながら自分たちについてくれたガイドの様子を情報交換してみると、さとし氏のガイドは私と似たようなもので自由放任系、よっこさんとセキネくんのガイドは歯に衣着せぬ系(厳しいけれど人が悪いワケではないとのこと)、そしていず姫のガイドは昨年私も教わった長岡ガイドで、これは懇切丁寧系。アイスの経験があり、よって技術から用具までいろいろな質問を用意してきたいず姫にとってぴったりのガイドだったようです。

夕食後、広間に移って映写会が始まりました。穂高岳山荘のスタッフである宮田八郎氏がこの講習会に参加しており、氏が撮影したアイスクライミング(上高地や八ヶ岳)の映像作品や、風雪の中の迫真のレスキュー場面の映像などが次々に披露されましたが、中でも大同心大滝を登るコンラッド・アンカー(アメリカ人クライマー)の映像が凄いものでした。その登り方はとにかくパワフルそのもので、重いアックスを強力な腕と肩の力で思い切り打ち込み、ピックがシャフト間際まで深々と突き刺さる様子にガイド陣も含め皆、目が点でした。

2013/01/20

△-16:00 岩根山荘

ぐっすり眠って疲労を回復した翌朝でしたが、朝一番で登った課題でアクシデントに見舞われました。昨日同じチームのS氏に教わったダイアゴナルでの登りのおさらいをしようと氷壁に取り付き、自分でも驚くほど順調に高度を上げたのですが、スタンスにしていた不安定なつららが崩れて足が外れフォールしたときに、上から落ちてきた自分のアックスを顔に受けてしまったのです。このためサングラスが壊れ、右目の下を2カ所切ってしまいましたが、幸い傷は大したことはなく、いったん屋内に戻って傷の周囲を拭えば出血もほぼ止まっていました。

そんなこともあって午前中はまったりモードで数本しか登らず、昼食後、昨日登りきれなかったドライ壁にさとし氏と挑みました。この壁にはインドアジム用の人工ホールドと厚板との併用でルートが設定されており、グレードはD1=5.10-、D2=5.10……D6=5.11+となっています。午前中の登りをセーブしたおかげか、最初にとりついたD1課題は難なくクリア、しばらく間をおいてトライしたD2課題も一撃できました(いずれもTR)。さとし氏ももちろんD1課題を一撃。その後、山下ガイドが設定したミックス課題(ドライ壁中央を途中まで登って、そこから左へトラバースして氷壁に乗り移るもの)にも挑んだものの、氷壁部に移ったところでアックスが外れて残念ながらハングドック(不覚!)。セキネくんとよっこさんもドライ壁のD1ルートにチャレンジしましたが、セキネくんは最後の最後に使ってはいけないスタンスを踏んで疑惑のTO、よっこさんは皆に登れ登れとそそのかされて「なんでこんな目に遭わされるのか……」と涙目になりながら壁に取り付いたもののやはり途中で力尽きて完登ならずでした。

私も残り時間の中で氷壁と氷柱を各1本登って、すっかり腕の力を絞り出したところで15時になり講習終了です。最後は全員揃っての記念撮影となりましたが、遠くから駆け寄ってきたいず姫は皆の目の前で凍った地面に足を滑らせてずっこけるわ、列の後方にいたさとし氏は顔を上に出すために後ろの氷壁によじ登ろうとしてこれまたひっくり返るわ。なんで、私の知り合いばかりが笑いをとろうとするのか……。

ともあれ、バーティカルな氷の登り方に関する一定の確信を得られ、ドライツーリングにも手を出すことができて、私にとっては有意義かつ楽しい講習会でした。アイス久しぶりのいず姫や初体験のさとし&よっこ夫妻・セキネくんにとってはどうだったでしょうか?

帰りの車の中では、単調なドライブの無聊を慰めようと私が持参したPerfumeの東京ドームライブのDVDをかけました。Perfume大好きのセキネくんは大喜びで、途中で運転を代わってハンドルを握った彼がよそ見運転をしないようにと注意喚起をしたほどでしたが、さとし&よっこ夫妻の方はちょっと引き気味だったような気がします。それが東京ドームを埋めた5万人の聴衆のリアクションの大きさのせいだったのか、私のテーマ曲「チョコレイト・ディスコ」で私が曲に合わせてフリをしてみせたせいだったのかは定かではありません。

1車線になっている笹子トンネルを抜けた後は驚くほどに車が少なくて、渋滞も皆無でした。そのために時間が足りず持参したもう1枚のDVD『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』をさとし&よっこ夫妻にハイライトでしかお見せできなかったのが心残りです。