塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

広沢寺弁天岩

日程:2003/04/13

概要:岩登りのゲレンデ・広沢寺弁天岩でクライミングの練習。

山頂:---

同行:きむっち / マサラさん / えびさん夫妻

山行寸描

▲一般中央ルート(IV+)。中央下でビレイするマサラさんと上でリードする私。(2003/04/13撮影)

2003/04/13

△11:30-17:30 広沢寺弁天岩

きむっちの掲示板であれよあれよと言う間に決まってしまったクライミング講習会 in 広沢寺。しかもきむっちのWeb仲間のマサラさんに『のんびり山歩き』のえびさんと保護者のかばさんが加わって1対4の講習になってしまいました。ひゃー、とにかくケガだけはさせないようにしなければ、とかなり緊張しながら迎えた日曜日は朝から快晴です。前の日の雨でのしみ出しが予想されていたので、少しでも乾いたところで登りたいと集合は本厚木駅に10時と遅めに設定してありました。改札口を出たところできむっちを迎え、はっと気付くと後ろに早くも貞子状態のえびさんとかばさん、そして初対面のマサラさんとも無事落ち合って、上谷戸行きのバスに乗りました。山桜が美しい田舎の景色の中をとことこ走って広沢寺温泉入口から徒歩10分ほどで懐かしい広沢寺の駐車場前を通りましたが、ふと見ると見慣れたスバル・サンバーが駐車しており、「あれはもしや?」と確認したらやはり黒澤ガイドの車でした。黒澤ガイドとは屏風岩以来なのでうれしかったものの、やばい、これはうかつなことはできん!とますます緊張しました。

対岸から眺める弁天岩の大スラブは予想通り賑わっており、何本もロープが垂れています。見れば黒澤ガイドはちょうど上から生徒さんに「どうぞー!」とコールを掛けているところでした。我々も橋を渡って樹林の中に荷物を下ろし、まずは身繕ろい。ヘルメットをかぶり、ハーネスをはいて、まず最初はTRでの練習なので10.5mmのロープを取り出して、黒澤ガイドに挨拶してから(この世界、仁義は大事)大スラブの右手の低いIII級程度の岩場にルートを確保しました。

最初にロープを張って、マサラさんときむっちにそれぞれクライムアップ・ロワーダウンを繰り返してもらいました。マサラさんはイエティで鍛えられているだけあって登り下りの動作に危なげがありませんが、さすが長い山歴を誇るきむっちも全く遜色ないどころか、たぶん私よりも岩をとらえるのが上手で、それは続いて行ったクライムアップ・クライムダウンでも十分に証明されました。もっとも、やはりロープを使った経験が浅いため、マサラさんはきむっちを確保してロワーダウンさせるときに身体を持っていかれそうになりますし、きむっちも下降時の姿勢が不安定で振られがちになりました。この辺りは要練習です。

休憩の後、今度は大スラブの下から中間レッジまでロープを伸ばし、懸垂下降の練習としました。今日の練習の主眼はきむっちとマサラさんにセカンドでのマルチピッチの手順を体験してもらうことにあり、そのためなるべくなら大スラブの上まで連れて行きたかったので、懸垂下降の習得は必須。というわけで懸垂用に9mmを支点から下まで垂らし、さらにレッジ上で待機する私が10.5mmで確保した状態できむっち達に順番に登ってもらいました。マサラさんは以前懸垂下降で怖い目に遭ったことがあるという話でしたが、いざやってみると落ち着いて下れて問題なし。きむっちは最初にハーネスにロープを結ぶ8の字結びがうまくできず時間を使ってしまいましたが、登り自体は実にスムーズです。ただ、ラペリングで下るときに身体が立ってしまうのと、足が揃ったり交差したりして振られてしまう癖は早めに直した方が良さそう。これはクライミングジムでのロワーダウンでも練習できることなので、次回「ジムで逢いましょう」企画での課題にしましょう。

そして2人の後にかばさん・えびさんの2人にも登ってもらいましたが、比較的緩やかとはいえ、中間レッジまでの斜面をビブラムソールの山靴で涼しい顔をして登ってきた上に、初めての懸垂下降も実に安定した下りで、度胸・センス共にGood。たぶん、初めて広沢寺に来たときの私よりずっと上手です。とかなんとかやっているときにクラックルートの取付にいるクライマーがシュクラさんであることに気付き、お互いにデイジーでぶら下がった状態で初対面の挨拶をしました。山屋の世界はホントに狭いものです。

さて、いよいよマサラさんときむっちに上まで登ってもらう番が来ました。先ほどの懸垂下降の練習のときにレッジ上でマサラさんに「上まで行きますか?」と意思確認をしてあったので、いったん下に降りてからダブルロープでマサラさんと結び合い、まず私が中間レッジに登り返してからマサラさんを迎えてコールと手順を最終確認し、ロープの束を渡して、私のリードで一般中央ルート(IV+)に取り付きました。ここを登るのは本当に久しぶりで、上の方の緩傾斜になってからのスラブ登りは相変わらず微妙でしたが無事に終了点に到着し、マサラさんに後続してもらいました。マサラさんはロープのキンクに手を焼きながら、それでもかなり速いペースで登ってきてくれて、最後のスラブも問題にせず終了点に到着しました。ここでのくるくるねじれて絡み合ったロープの処理には時間がかかってしまいましたが、なんとか懸垂下降の態勢に移り、私・マサラさんの順番で40mを下りました。

最後はお待たせ、きむっちの番。同じルートでは芸がないのでクラックルート(IV+)を登ることにしました。まずは取付まで登って、ここでも手順を再確認。このルートは出だしの数mが核心部なので、ATC初体験のきむっちにダブルロープでの確保をお願いするのは実はちょっと怖かったのですが、意を決して上のホールドをとり、左足を外傾したフットホールドに押し当ててえいやっと身体を引き上げました。最初のホールドの少し上にあるガバに手が届けば後は簡単で、そのままクラック沿いを上へ抜けてしっかりした終了点にセルフビレイをとりました。後続のきむっちとの間はコールが通らず意思疎通に若干苦労しましたが、下にいるえびさんたちのアシストもあって、きむっちを無事に上へ迎えることができました。

懸垂下降で下に降り立ったときには、他のクライマーはほとんどが引き上げた後でした。えびさんたちが見守る中、きむっちの下降を見届けてがっちり握手。さらに鐘ヶ岳からこちらに回ってきて下さった『北アルプスの風』の潤平さんの差入れの缶ビールできむっちと乾杯。肉体労働の後のビールはこたえられません。

マサラさんは所用で先に帰りましたが、残るメンバーは潤平さんの車で海老名まで送っていただき、そのまま駅前の焼鳥屋で打ち上げました。きむっちもマサラさんもそれぞれに課題が見つかったけれど、ヘボ先生の指導のもとでもちゃんと上まで行って帰ってこれたのだから上出来です。えびさん・かばさんも岩に強いところを証明して、私としては収穫の多い一日だったと思うのですが、皆さんはどうだったでしょうか?