塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

夏沢鉱泉アイスギャラリー

日程:2020/02/23-24

概要:夏沢鉱泉に泊まり、初日はアイスギャラリーG3、2日目は同G4を登る。

山頂:---

同行:パイセン / まめ様

山行寸描

▲G3。F1でしばらく登った後、F2を経てF3まで。(2020/02/23撮影)
▲G4。F1で何本か登ってから、F2でパイセンのリード練習。(2020/02/24撮影)

江戸川橋T-WALL仲間のパイセンとまめ様と、夏沢鉱泉のアイスギャラリーへ。2月初旬に申し込んだときは予約が埋まっているということだったので赤岳山荘ベースにするか……という話にしていたのですが、その後キャンセルが出たために夏沢鉱泉に行けることになりました。まめ様はアイスギャラリーには何度か足を運んだことがあるそうですが、私は初めて。パイセンに至っては自然の氷瀑を登ること自体が初めてです。

2020/02/23

△10:20 桜平 → △10:40-11:10 夏沢鉱泉 → △11:50-15:05 アイスギャラリーG3 → △15:15 夏沢鉱泉

朝7時に新宿を発つあずさ1号に乗って茅野駅で降りると夏沢鉱泉からの迎えの車が東口で待ってくれているというのは、先日の根石山荘泊まりのときと同じ。ありがたいことです。

桜平のゲートで降りて、チェーンスパイクを履いて夏沢鉱泉へ。宿泊の受付を済ませ、不要な荷物は部屋に置いて、アイスギャラリーへ向かいます。アイスギャラリーを登る登山者は鉱泉のスタッフに人数と行き先を申告することになっているので、今日はG4が混んでおり、G2かG3なら無理なく登れそうだという情報を仕入れることができました。よってこの日はG3へ向かいます。

アイスギャラリーというのは、夏沢鉱泉からオーレン小屋方面へわずかに登ったところで沢を渡った右岸の斜面にできる氷瀑群のことで、下流側から順番にG1〜G4と名付けられています。G1からG3までは同じ場所から、G4はさらに少し登ったところからそれぞれ渡河してアプローチすることになりますが、いずれにしても夏沢鉱泉から30分圏内と大変便利です。G3にいた先行パーティーの一団はJAGUの長岡ガイドが引率する数名で、我々がF1に近づいたときにちょうど入れ違いになりました。またもう一団はヒロケンさんパーティーで、F2からF3に向かっており、おかげでF1は我々の独占となりました。

さっそくまめ様がF1にトップロープを張り、ここで何本か練習しました。氷の硬さには少し手こずりますが、傾斜も高さもさほどなく、最初の腕慣らしには好適です。やがてヒロケンさんパーティーが戻ってきて次々にF1の下へ降りてきたので、これと交代で我々も奥を目指すことにしました。F1の上に出るとしばらく雪の深いルンゼが続き、その先に短いF2、そして氷柱状のF3が見えています。

なんということもないF2を登って3人集結し、足元がデリケートな氷柱状のF3は私のリード。穴がぼこぼこに開いていて引っ掛けで登れますが、スクリューを入れられる場所が限定されるために下からまめ様のアドバイスを得ながら慎重に登りました。特に3本目のスクリューは氷の形状の関係から慣れない左手でねじ込まなければならず、ここは安全を期してレスティングフィフィで保険をかけました。

後はまめ様とパイセンがTRで遊び、最後に再び登ったまめ様がもろもろ回収して、これでこの日のクライミングは終了です。

倒木に巻きつけられた残置スリングを活用しての懸垂下降〜歩き〜懸垂下降でF1の下に降りて、荷物をまとめて夏沢鉱泉へ。

ちょっとぬるいけど気持ちの良い風呂に入って寛いだら、まめ様持参の「真澄 あらばしり」で乾杯(半分以上私がいただいたような……)。そして夕食は穏やかな味わいの豆乳鍋でした。

夕食を終えてさっさと眠った夜は、少々つらいものになりました。昨年の秋にクライミングジムでの無理なムーブで右肩の腱板を部分断裂してしまい、以来病院通いを重ねて徐々に快方に向かっていたのですが、今日の動きが患部には良くなかったらしく、夜の間、肩の痛みがぶり返すことに。幸い朝には痛みは収まったのですが、やはりまだ無理はできないのかと気分は少々ブルーです。

2020/02/24

△06:45 夏沢鉱泉 → △07:15-11:50 アイスギャラリーG4 → △12:05-13:55 夏沢鉱泉 → △14:20 桜平

6時からの朝食もおいしくいただいて身支度をして外に出ると、鉱泉の正面には槍ヶ岳から穂高連峰に連なる北アルプスの稜線がモルゲンロートに染まっていました。昨日は雲の動きが激しい強風の日でしたが、今日は無風快晴、いい天気です。

昨日のG3への分岐をスルーしてさらに上流へ向かうと、行く手にG4が見えています。

水面が出ている沢を渡って谷筋を詰め登っていくと、樹林の奥に見栄えのする氷瀑が見えてきました。先行パーティーはおらず、我々が一番乗りです。

F1の氷瀑は左寄りが水っぽいブルーですが、真ん中から右寄りはしっかり凍っており、ラインによって傾斜を選ぶことができます。まず中央右寄りの最も易しいラインに私のリードでTRを張りそれぞれ登ってから、次にまめ様が右端の厳しく立ったラインを登ってこちらにもTR。そうこうするうちに後続パーティーが上がってきてF1が賑やかになってきたので、F2に登ってみることにしました。F2は高さ4mほどで、ラインを選べばバーティカルを登ることもできそうですが、一番易しいラインでパイセンにアイス初リードにチャレンジしてもらうことにしました。

……といってもスクリューを入れながらの本式リードはさすがに無理。あらかじめスクリューとクイックドローをセットした状態でのリードとしましたが、気温が上がってきたせいでスノーシャワーが降り注ぐ中、パイセンは難なくF2の上へ抜けていきました。

まだ時刻は早いですが、これでもうお腹いっぱい。懸垂下降でF1の下に戻り、夏沢鉱泉に帰還しました。

夏沢鉱泉の送りの車は、14時半に桜平を出発します。そこまでのんびり歩いても30分かかりませんので、14時まで2時間ほどを寛ぎタイムとしました。そうなればもちろん生ビールの出番ですが、ただし……。

参人對酌山花開 一杯一杯復一杯 我醉欲眠卿且去 明朝有意抱琴來

……と眠るわけにはいかず、きちんと定刻通り桜平に下りましたが。

冒頭に記したように夏沢鉱泉のアイスギャラリーを訪れたのはこれが初めてだったのですが、素晴らしい環境でした。茅野駅までの送迎あり、おいしい食事と風呂と暖かい部屋、ホスピタリティ満点の鉱泉スタッフ、そしてもちろんバラエティに富んだ氷瀑群と、そこまで徒歩30分という利便性。これからも折々に通いたいところです。