塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

広河原沢右俣クリスマスルンゼ

日程:2018/12/29

概要:広河原沢右俣のクリスマスルンゼへ。氷の状態は良好だったが、2本しか登れず。

山頂:---

同行:ヨーコさん

山行寸描

▲広河原沢右俣クリスマスルンゼ。いろいろなクライマーが集う。(2018/12/29撮影)

ジム仲間のヨーコさんの今季初アイスの行き先として、通い慣れたクリスマスルンゼをチョイス。

ヨーコさんとの山行ではパターンになりつつあるように、前夜のうちに美濃戸口の八ヶ岳山荘に入って十分に休息をとり、翌朝のんびり出発する作戦です。

2018/12/29

△07:30 舟山十字路 → △08:30 二俣 → △09:20-45 右俣出合 → △10:20-13:50 クリスマスルンゼ → △??:?? 武藤返しの滝 → △??:?? 右俣出合 → △??:?? 二俣 → △16:15 舟山十字路

6時起床、7時前に出発。ヨーコさんは舟山十字路は初めてとのことでしたが、心配された降雪もなく良好な道路状態で車止めまで入ることができました。

舟山十字路から二俣までの手前までは例年通りの穏やかな道筋でしたが、二俣直前に岩の押出しがあったのは、これも秋の台風の影響であるようです。

二俣の積雪はわずか。緑のテントが1張り立てられていましたが、静寂に包まれています。左俣をここで分けて右へ進む足跡は数人分あり、本谷から右俣への分岐でそのうちの2人に追いつきましたが、彼らは本谷にそのまま入っていき、クリスマスルンゼのある右俣にこの日入るのは我々が最初でした。

途中の氷もおおむねいい感じに凍っており、期待を抱かせます。

途中で追いついてきた2人パーティーと同時に到着したクリスマスルンゼは、大変良好な凍り具合です。そそくさと準備を済ませてまず下段の滝を易しい右寄りから登り、右手の木の根に設けられている残置支点までロープを伸ばしました。

オブザベーションしてみたところ中央左寄りの凹角が最も易しく、さらに右壁も行けそうです。ここは定石通りに凹角を目指して私のリード。ルート内の凹凸は豊富でアックス(今回はノミック)を掛けやすく、足もステミングができるので楽勝です。

落ち口の上にスクリューで支点を作って後続のヨーコさんを迎えましたが、厳しい寒気の中でロープがガリガリ君のように凍りつき、確保器をスムーズに通ってくれないことには難儀しました。そしてこの間に、滝の下にはどんどん人が集まりつつある様子です。これはあまり本数を稼げそうにないな……と考えつつ、とりあえずここからトップロープを垂らして違うラインを登ることにしました。

短く下降して上段の滝と下段の滝の間の緩傾斜帯にスクリューで支点を作り、まずはここで待機とします。我々と同時にやってきた2人組は早々に懸垂下降で降りていきましたが、後からやってきた2人組と3人組が取り付いているので、彼らが登り終えるのを待つことにしました。ところが、左寄りの凹角を登り始めた若手女子はとても慎重で、ほぼ1mごとにスクリューを入れ、レストしながらじわじわと登っていきます。その安定した登りには感服するものの、これでは時間がいくらあっても足りません。かたや右壁に取り付いた3人組の先鋒は、3mほど登ったところで氷の脆さをぼやいた途端に足が外れてフォール。ビレイヤーは素早く反応したものの、最後のスクリューの高さが足りないためにグラウンドフォールになり、左足を負傷してしまいました(一時は骨折か?と危惧されたものの、どうやら捻挫ですんだ模様。どうぞお大事に……)。そうこうしている間に滝の下では大部隊が結集しつつあり、こりゃダメだと諦めてトップロープでヨーコさんがまず登り、次に上から確保されて私も後続して、ここで終了とすることにしました。

懸垂下降の支点は落ち口から10m弱上流の倒木に残置スリングとカラビナが用意されており、ありがたくこれを使わせてもらって一気に下の滝まで下りました。60mロープなら安全に沢筋まで下れますが、我々の50mロープでも下の滝の左岸側の雪面まで降りることができました。

ここで厳しい寒さのためにカメラが誤作動し、iPhoneも沈黙してしまったために、舟山十字路に帰るまでタイムがわからなくなっています。

結局私もヨーコさんも2本しか登れず、不完全燃焼感を抱きながらクリスマスルンゼを後にすることになりました。あと1時間早く行動を開始していれば、もっと充実したクライミングができたのに。

帰る途中で、武藤返しの滝に立ち寄ってみることにしました。この滝は2016年に登ったことがありますが、今回は見物するだけ。それというのも、ヨーコさんが所属しているC山岳会の会長さんがこの滝の名前にある「武藤」さんで、かつてJECCに所属していたときに(当時はまだ経験が浅かったため?)ここを登れなかったことが命名の由来であるという話をヨーコさんから聞いたので、それなら話の種に見に行ってみようということにしたのです。おそらく後日、ヨーコさんは会長さんに「武藤返しの滝、見ましたよ」と報告すると思いますが、その際「あれ(あんなの)が登れなかったんですか?」と不用意な一言を付け加えるかどうかは、ヨーコさんの勇気にかかっています。

穏やかな斜面になっている広河原に帰還。ここにテントを張って明日は三ルンゼや左俣に繰り出したいところですが、お互いに年の瀬の用事が待っている我々は残念ながらここを素通りするしかありません。

これで今年の山行は終わり。次は1月最初の週末に、再びヨーコさんとワンデイでアイスクライミングの予定です。次こそは思う存分登りたいところですが、さて、どこへ行こう。