岳嶺岩

日程:2018/06/14

概要:岳嶺岩でアブミトレーニング。今年は大ハングも登ることができた。

山頂:---

同行:セキネくん

山行寸描

▲B峰の大ハングを登るセキネくん。打たれているボルトをすべて使えばさほど遠くない。(2018/06/14撮影)
▲A峰のワンピッチのラインを途中で切り、ハンギングビレイの練習。(2018/06/14撮影)

2018/06/14

△10:20-15:30 岳嶺岩

夏山シーズンに向けて、セキネくんとアブミのトレーニングをしようと奥多摩の岳嶺岩へ。去年までのようにセキネくんが山梨県に住んでいればもちろん三ツ峠へ向かうところですが、彼は今年の4月から茨城県に転勤になってしまったため、多少なりとも遠くない岳嶺岩に向かうことにしたものです。

昨年の7月にハマちゃんとこの岩場を訪れたときと同じく、なぜここにあるのかわからない公衆トイレの横から斜面につけられた踏み跡を下って、すぐに岩場に着きました。今日は木曜日とあって岩場には誰もおらず、どうやらじっくり練習ができそうです。まずは蚊取り線香ふた巻きに火をつけてから身繕いをして、もっともノーマルな垂壁を持つA峰に取り付きました。

ここでお互いにリード&フォローで登って基本動作を確認したら、次は前回登れなかったB峰の大ハングです。昨年はジバチが飛び回っていたために敬遠したのですが、見上げてみてもそうした様子はなく、どうやら問題なさそう。そこでセキネくんの先攻で挑むことにしました。

威圧的に張り出したハングを持つこのラインも、実際に取り付いてみればボルトの間隔が短く、お助けスリングまで用意してあって、技術的な困難さはありません。ただし、我々はリングボルトとハンガーボルトを区別せずに使って登ったのですが、もしリングボルト限定でアブミを掛け替えていったとしたら、たぶん途中で奮闘することになったでしょう。ともあれ、ハング壁でのフィフィの使い方や足の巻き込みとつっぱりのおさらいができて、よい練習になりました。

ウェーゲナーの大陸移動説を連想させるB峰とC峰の割れ目を見やりながら、しばし休憩。蚊取り線香をふた巻きも使っているのですが、羽虫たちにはあまりこたえていない様子です。

練習再開。最初に登ったA峰のラインを途中で二つに分け、そこでハンギングビレイをして後続を迎える擬似マルチピッチの練習です。やってみると、狭い支点周辺でのロープやスリング、アブミの重なりが混乱を生じないようによく考えて紐の類を整理する必要があり、なかなか頭を使います。一方アブミでのハンギングビレイは、二つのアブミにそれぞれ足をつっこんだだけだと痛くなりますが、フィフィを併用したり爪先もアブミの下の方に乗せることで腿の負担を軽減できることが、実感として理解できました。

この擬似マルチピッチをセキネくん→私と私→セキネくんの2回登って、この日の練習は終了しました。セキネくんは持参していたリンクカムをクラックに入れてそこにアブミで乗り込む練習もしていましたが、これまた収穫があったことでしょう。

ぽつぽつと雨の気配がしだしたところで、前回同様に川を上流に遡り、そちらから道路に戻ることにしました。途中には立派なボルダーや焚火の跡もありましたが、空き缶などのゴミが無造作に捨てられているのを見たセキネくんは何も言わずにそうしたゴミを拾い集めていました。偉い!こうした善行を積んでおけば、きっと本番は天気に恵まれるに違いありません。いや、そうした見返りを求める心が生まれた時点で私の方はダメなのか?

帰路、道端の「へそまんじゅう」の看板に目が止まりました。「へそまんじゅうって何だ?」「まんじゅうにへそのような窪みがあってゴマが乗っているってことですかね」「そのまんまだな〜」と言った会話を交わしながら青梅街道を走っていると、道の右手に「へそまんじゅう本舗」があるではありませんか。

信号待ちをしながらじっと様子を窺っていたセキネくんでしたが、やはり立ち寄ってみることに。セキネくんの推理は正しく、見るからにおへそのような窪みがある白と茶色のおまんじゅうでした。試みに買い求めてみると、蒸籠から取り出された蒸したてほかほかのお饅頭は薄皮の中のつぶあんの甘みが上品で、大変おいしいものでした。そしてその由来については、ショーウインドーの中に次のような説明が置かれていました(下記は抜粋)。

抑々弊舗特選のへそまんじうは、その昔永禄六年、当地より程近き辛垣城に構える三田弾正綱秀を小田原の北条左京太夫氏康と其の子滝山城主北条陸奥守氏照父子が昼夜を分たず攻め立てしが、中々落城せず偶々折柄の大雷雨中を隣峰その名寄しらむ雷電山口より攻め込んだ豪勇無双の十勇士により、さすが難攻不落の辛垣城も陥落したるが、この十勇士が当時この附近の茶店で購った兵糧のまんじうを腹巻に包んでおいた所、不思議や全部このまんじうの型に変り大雷雨に臍も取られず、然も勇猛果敢な働きに澤山の恩賞を授けられしとか。依ってこのへそまんじうを常に賞味し、臍下丹田に力を入れて世に處するなら必ずその成功疑ふ可からず。