塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

春日渓谷アソシエイツルンゼ

日程:2015/12/05

概要:アイス始めとして蓼科山北麓の春日渓谷へ。本命の春日ルンゼは未発達だったためアソシエイツルンゼを詰めて終了。

山頂:---

同行:かっきー

山行寸描

▲細いアソシエイツルンゼを覗く。これでも春日ルンゼよりはマシ。(2015/12/05撮影)
▲アソシエイツルンゼの中。傾斜はかなり寝ているが、スクリューを使える程度には氷の厚みがあった。(2015/12/05撮影)

2015/12/05

△09:30 蓼科スカイライン分岐 → △10:45-12:20 アソシエイツルンゼ → △15:30 蓼科スカイライン分岐

昨シーズンのアイス試運転は春日渓谷でしたが、今年もここ数日の冷え込みに期待して春日渓谷に向かうことにしました。相方は、アイスと言えばこの人のかっきーです。

最初にピンクに染まる南アルプス、次に冷たそうなラピュタ雲に頭を隠した八ヶ岳、そして佐久側に回って純白の浅間山を見上げてから蓼科スカイラインを上がって、アソシエイツスキー場近辺の春日渓谷入り口に車を駐めました。

我々が身支度をしている間に車2台に分乗した大人数のパーティーがやってきましたが、我々の方が一足お先に春日ルンゼを目指しました。今年の冬はどこも寡雪ですが、八ヶ岳近辺も例外ではなく、ここ春日渓谷入り口も去年のラッセルアプローチが嘘のように地面むき出し状態。それにしてもこの道は途中から落石に荒らされて全面通行止めになっているのですが、もう誰も修復しようとは考えないのでしょうか?

木曜日の雨による水流が金土の冷え込みでしっかりした滝になることを期待していたのですが、春日ルンゼのF1は透き通って流水が見えており、とても打ち込んだアックスに体重を預けたくはない状態でした。こりゃだめだ。

そんなこともあろうかと、春日ルンゼへのアプローチの途中でアソシエイツルンゼの様子を見て登れそうだと当たりを付けていたので、踵を返してアソシエイツルンゼに戻りました。こちらで装備を着けている間に先ほどの大部隊が春日ルンゼへと下って行きましたが、彼らはトップロープで練習することになるのでしょう。我々も久しぶりのアイスクライミング装備で、モノポイントアイゼンやらチェストハーネスやらアイススクリューやら防寒テムレス(!)やら……要するに無雪期のアルパインでは使わないような装備を身体中にまとわりつかせました。

ルンゼの入り口は傾斜がほとんどなく、ロープを担いだまま奥に見えている顕著な氷の段差の前まですたすたと上がって、そこでビレイの準備をしました。と言っても目の前の段差は傾斜が緩く、はっきり言ってビレイの必要性を感じないほど。なんだかなぁ……とは思いましたが、ここは装備や手順の確認なのだと割り切って真面目モードで登ることにしました。まずは私のリードから。

1ピッチ目は、ところどころの段差でスクリューを決めながらどんどん高さを上げました。実のところかなりしょぼい感じですが、もう少し氷が太ればそれなりに気分が出るルンゼになりそうではあります。

ほぼ60mいっぱい登ったところのしっかりした木にスリングが巻いてあり、そこでピッチを切って後続のかっきーを迎えたところで上を見ると、本当に申し訳程度に氷が続いているだけ。ここから懸垂下降で戻ってリードとフォローを入れ替えて再度登ることも考えましたが、1ピッチ目の易しさを見たかっきーの「これでは一緒でしょう。上へ抜けましょう」との言葉に従うことにしました。

2ピッチ目はほとんど歩き。なんということもなく50m伸びたところで終了としましたが、核心部はむしろ凍ったロープの巻き上げでした。私のスイスロープは防水加工が利いているので大丈夫ですが、かっきーのロープはほとんど針金のようにバキバキ。おかげで、私もかっきーも腕がぱんぱんになってしまいました。

2ピッチ目の終了点から左上へ笹を漕ぐとすぐに明瞭な踏み跡に達し、そこからわずかの登りで明るい稜線上に達します。廃墟と化しつつある別荘を横目に見ながらここでギア一式を外し、のんびり行動食をとってから車へと戻りました。

ここに来るといつも気になるのが、周辺の高地に広がる「仙境都市」なる別荘群の存在です。今回歩いた道すがらには立派なセンター施設があって「冬季休業中」ということでしたから夏季には営業しているのか?とも思えますし、運営主体のウェブサイトも生きてはいるのですが、貸別荘棟はともかく個別の別荘はメンテナンスがなされていない様子であることを考えると、少なくともこの地が大規模に開発されたときに夢見られたことの大方は風化してしまっているであろうと想像されます。

あまり憶測でものを言ってはいけませんが、間違いなく言えることの一つは、この時期この仙境都市はニホンザルの群れに占拠されてしまっているということです。

帰路「パノラマの湯」に立ち寄ってからしばしの仮眠をとり、その後は例によって「美味小家」へ。かっきーは厚切りロースかつ定食、私は厚切りヒレかつ定食というのも定番です。この冬はここへ何回通うことができるでしょうか?