小川山の岩場

日程:2014/09/27-28

概要:小川山の岩場で、初日はファンタジー岩周辺でボルダリング、2日目はマルチピッチ「ガマルート」。

山頂:---

同行:Sakurai師 / 現場監督氏 / よっこさん / チオちゃん

山行寸描

▲ファンタジー岩「Goマントル」(2級)。二人とも既登の課題だが……。(2014/09/27撮影)
▲「ガマルート」の2ピッチ目=核心ピッチ。上の画像をクリックすると、「ガマルート」の登攀の概要が見られます。(2014/09/28撮影)

2014/09/27

△12:20- 廻り目平

週末ごとに天気が悪かった8月と打って変わっておおむね天気に恵まれた9月は、アルパイン沢登りアルパインと続いて最後が小川山での岩遊び。現場監督氏の車で都内を出たのが7時頃でしたが、途中事故渋滞にハマって廻り目平に着いたのは昼すぎとなりました。駐車場はほぼ満杯でしたが、それでもなんとかスペースを見つけられてラッキー。

さっさとテントを張って、この日はジャック中根氏推奨(?)のファンタジー岩へ。現場監督氏とSakurai師は今年の5月にも来ているところですが、明るい森の中にどんと置かれた岩は、やや小振りではあるもののナウシカの王蟲のような存在感がありました。しかし、私の目は岩よりも足元にこれでもかというくらいに大量に散らばる格好の薪に釘付け。できることなら全部持って帰りたい……。

肝心の課題の方は金峰山荘から見て手前側にあたる面の「ファンタジア」(6級)、「J&Sスラブ」(4級)にトライしました。このスラブのフリクション感覚、そして花崗岩ならではの「落ちたら大根おろし」的な恐怖を味わうのは久しぶりで、かなりチキンハートになっていましたが、なんとかゲットしました。

あとの2人もこれらの課題を難なく再登すると、これまた前回一撃でゲット済みという「Goマントル」(2級)に取り付きましたが、豈図らんや、大苦戦。Sakurai師はどうにかTOしましたが、現場監督氏はかなり悔しい思いをしたようです。

そうこうしているうちにファンタジー岩の反対面に別のグループが取り付いたためにここを離れ、灯台もと暗し岩と狸岩に触りました。狸岩でも現場監督氏は「素晴らしき4級」で大奮闘を見せましたが、その間隙を縫ってSakurai師は「狸寝入り」(2級)を一撃!うーん、相変わらず遠慮というものを知らない人だ……。

終了後、手近の薪を目いっぱい拾い集めてテントに戻り、別便で廻り目平に来ていたよっこさん・チオちゃん組と合流しました。我々は各自買い求めていた食材でいつものように個食でしたが、二人は金峰山荘から借りてきた大きな鍋を焚火にかけて温かく豪勢な夕食を楽しんでいました。

2014/09/28

△-16:00 廻り目平

6時起床。火を熾し、前日ナナーズで買ってあったパンと果物、温かいコーヒー。よっこさんとチオちゃんは昨夜の鍋を使ってうどんを作り、朝から気合満点です。さらにこの日やってきたジム仲間の男子3人も顔を見せて賑やかになりました。

今日は、現場監督氏と私はマルチピッチの「ガマルート」、Sakurai師はよっこさん・チオちゃんと共にボルダリング。「ガマルート」は12年前に登ったことがあるのですが、そのときはガイドに連れられてのオールセカンドだったのでいつか機会があれば登り直してみたいと思っていましたし、現場監督氏は「ガマルート」には登ったことがないので快くこのプランに乗ってくれたのでした。そんなわけで「昼頃に降りてきたら連絡を取り合いましょう」と申し合わせた上で、60mロープ1本を持ってスラブ状岩壁を目指しました。

1ピッチ目(私のリード。以下、奇数ピッチが私)はレスキュー訓練の団体で大賑わいのガマスラブの真ん中を、よそ様をかき分けるようにして登ります。ミウラのフリクションがばっちり利いて楽しいスラブ登りの後、2ピッチ目の取付へは左へ10mほどの歩きです。

2ピッチ目がこのルートの核心です。その場にいたクライマーに左寄りの凹角から上がるのが正しいと聞いてから現場監督氏が取り付いたのですが、レイバックでその凹角を登ってからダイクを右に渡った後に出てくる浅い凹角の直上が非常に困難でした。リードの現場監督氏はかなりの逡巡の末に右からの迂回路をとって抜け、セカンドの私は直上に挑んだものの足が滑って痛恨のテンション。仕方なく私も右から回り込みました。ちなみに12年前はいったいどうやってここを登ったのだろうと後で記録を調べてみると、やはりこの壁のかなり右寄りから核心をパスする形で登っていたようです。

3ピッチ目は、顕著なオープンブックをハーケン1本にランナーをとって抜けるピッチ。こういう立体的なアルパインっぽい登りは私の大好物です(アルパイングレードでIII+くらい)。

また樹林の中の歩きを経て、4ピッチ目もアルパインっぽい壁。カンテ状を右上して楽々抜けられます。

続いて特徴的な饅頭状の岩を越える5ピッチ目は2番目の核心です。ラインは明瞭で、左寄りの巨大ポケットを目指してフリクションで登り、その上にそろそろと身体を伸ばして厚みのあるフレーク状に手を掛ければOK。しかし、フレークまではそこそこ高さがある上にそこまでランナーがとれないので落ちられず、少々緊張しました。後はフレークの上をバランス良く右へ移動して右端から上へ抜けますが、フレークに手を掛けて足は外に出したままトラバースしてもよかったのかも。

饅頭岩を越えるとまた歩きになって、最後の6ピッチ目は易しいスラブ歩きとなって終了点に達しました。がっちりしたハンガーボルトにセルフビレイをとってシューズを履き替え、快適な高度感の中で行動食をとってしばしまったり。やはりマルチピッチは楽しい。

さて、ロープが2本あれば来た道とは反対側へ懸垂下降40mで下れるのですが、60m1本でそちらへ降りられるかどうか確信が持てなかったので同ルート下降としました。

うまい具合に歩いて下れるところもあり、断続的に懸垂下降4回で取付に帰還です。

13時頃には駐車場に戻ったのですが、雨月岩あたりでよっこさんが3級課題に熱くなり、終わらなくなってしまった模様でした。一度は現場監督氏ともども探しに行ったのですが、探している我々が道に迷ってしまい、人を見つけては「ここは何岩ですか?」を繰り返す始末。マジでリングワンデリングになるかと思われましたが、「石の魂」を見つけたところでやっと現在位置を確認でき、そこから「もう下ったのかなあ?」とボヤキながら駐車場に戻りました。しかるに再び連絡があったよっこさんのメッセージは「15時半まで登りたい」。お客さん、延長ですか。仕方ないなあと再び林の中へ向かった現場監督氏の背中を見送りつつ、私は駐車場近くの岩の上で昼寝にかかりました。

……そして、16時頃に皆が戻ってきたときにはすっかり身体が冷えきってしまい、息も絶え絶えの状態になっていたのでした。

我々が廻り目平で遊んでいたこの週末の土曜日に、御嶽山の噴火が起こりました。ニュース速報がメールで飛んできていたのでそのことは把握していたのですが、日曜日の朝になって数十人もの死者が出たことを知り気分は一気にブルー。それでも、まさかその中にかっきーの友人が含まれていたとは、このときは知る由もありませんでした。

被災し亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたします。