多摩川シダクラ沢

日程:2012/09/29

概要:奥多摩駅から奥多摩湖行きのバスに乗り惣岳で下車、シダクラ橋を渡った先の堰堤付近から入渓。二俣を右に入り、大ブナ尾根に登り着いて小河内ダムへ下山。

山頂:---

同行:アイコ

山行寸描

▲端正な5m滝。上の画像をクリックすると、シダクラ沢の遡行の概要が見られます。(2012/09/29撮影)
▲上流で殻ばかりがたくさん落ちていた栃の実。(2012/09/29撮影)

2006年に尾瀬の小淵沢を一緒に遡行したアイコと銀座で飲んでいたときに、話の流れから「また沢登りに行こう」という話になって『日帰りで簡単な沢』という条件から選んだのがこのシダクラ沢。奥多摩駅から奥多摩湖方面にバスで少々の場所から御前山前衛の惣岳山に詰め上げており、行程も短く難しい滝もないコンビニエントな沢です。

2012/09/29

△09:50 惣岳 → △10:00 シダクラ橋 → △10:10-30 入渓点 → △12:40 二俣 → △13:50-14:15 大ブナ尾根登山道 → △15:30 奥多摩湖バス停

惣岳バス停で下りたのは我々2人だけ。そのバス停のところに多摩川方向へ下るジグザグ道があり、これを下って不動尊の鳥居を出るとそこが旧青梅街道の「むかし道」です。かつての街道をのんびり歩いてわずかで出てきたシダクラ橋は立派な吊り橋ですが、渓谷を覗けばかなりの高度感があり、橋もぐらぐら揺れてちょっと怖いものがありました。さらに植林の中につけられた道をそのまま登って行くと取水堰の上に導かれて、そこで沢装備を身につけました。久しぶりに沢靴を履いたアイコは「忍者になった気分です♩」と言っていましたが、なるほど。

最初の小滝で念のためロープを出しましたがアイコの足捌きは大胆でしっかりしており、どうやら何の心配もいらない模様。ただ、やはり滑りやすい部分もところどころにあるので、以後高度感を伴う滝では積極的にロープを出すことにしました。

もずくのような植物がびっしり張り付いた壁にしみ出している清水の冷たさを確かめたり、保護色で岩と同化していた大カエルに驚いたり、ワサビ田の石垣跡に昔の人の仕事ぶりを思い描きながら、ところどころに現れる小滝を楽しく越えて行く遡行が続きます。水はさして冷たくなく、太腿まで積極的につかりながら極力流芯を進みますが、滝はさすがにシャワークライムという訳にはいかず、おおむね水流の左側のラインを登ることになりました。

沢の中は暑からず寒からず。北面の狭い沢なので暗いのかなと思っていたのですが、うまい具合に前方から樹林を通して日が差し込んで思いの外に明るく、ところどころの釜も水がきれいで、意外な開放感がありました。これは確かに初めての沢登りに向いているかもしれません。

左岸から巨大ボルダーが迫ってくる5m滝をロープを出して左から越え、その直後の易しい階段状の5m滝をアイコに先行してもらうと滝場は終わり、そこからわずかの遡行で標高830mの二俣に到着しました。持参してきたトポは左俣の遡行を指示していましたが、ここは右に進んだ方が早く登山道に達するはず。地形図を見てそちら方面の等高線がそれほど詰まっていないことを確認してから右俣に入り、出だしの苔むした小滝を越えると易しいながらも斜度のきつい遡行がしばらく続いて、やがて奥の二俣で突然水が伏流に変わってしまいます。後日調べたところでは、ここでいったん左俣に入ってから右の小尾根に乗り上るラインがよく歩かれているようですが、我々はなるべく右寄りに進んで大ブナ尾根を目指すことにしました。

奥多摩の沢でよく見られる、開けた樹林の中の明るい、しかし急で足元の崩れやすい斜面をひたすら登り続けて、突然目の前に現れた石灰岩の前傾壁を右から回り込むと、傾斜はぐっと落ちてそのまま大ブナ尾根の登山道に辿り着くことができました。

最後のアルバイトには辟易していた感のあるアイコもわずかの遅れで登山道に到着し、ここで沢装備を解除。後はよく整備されてはいるものの下部の急坂に肝を冷やす大ブナ尾根を奥多摩湖まで下るだけです。

大ブナ尾根の途中から見下ろした日本の山の風景は見応えがあり、その右端に見えていた小河内ダムに下り着いたときにアイコは「凄い、凄い!」と自分をほめまくっていました(笑)。確かに!普段運動はしていないと言っていたわりには弱音も吐かず、最後までしっかり歩ききってくれたアイコは確かに偉いぞ。タイミングよくやってきたバスで奥多摩駅に戻った我々は、そこから徒歩10分の「もえぎの湯」でさっぱりして乾杯。お疲れさまでした。