第5回鎌倉アルプス・トレイルラン

日程:2009/02/22

概要:横浜市港南台から山道や市街地を抜けて北鎌倉から稲村ヶ崎に達する13マイル(20.8km)のトレイルラン。

山頂:大平山 159m

同行:---

この冬は20〜30km程度のランを何本か入れて脚力維持に努めることにしているのですが、今日は鎌倉北方の丘陵地を走る「鎌倉アルプス」と呼ばれるハイキングルートを織り込んだ13マイル(20.8km)のコースを行く「鎌倉アルプス・トレイルラン大会」に参加しました。だいたいハーフマラソンと同じ距離ですが、起伏が大きくないとは言え一応トレイルランなので、目標はサブスリー(3時間未満)です。

2009/02/22

スタートの会場はJR港南台駅から徒歩5分余りの港南台高等学校。もともとは港南台中央公園という別の場所がスタート地点になるはずだったのですが、横浜市民以外が多数参加する大会に横浜市の施設は貸せないと横槍が入ったそうで、これに伴う諸々の変更で大会としては赤字です、とスタッフの方が言っていました。気の毒に……。ともあれ受付を済ませて受け取ったのはSIカードというもので、平たいスティック状のプラスチックの一端が突起になっており、これをチェックポイントにあるSIステーションの穴に差し込むとタイムが記録される仕組み。このSIカードにはゴムの輪がついていて、これを指にはめた状態で走るわけですが、もしSIカードを紛失したらタイムが計測できなくなるのでその時点で失格となります。

スタート30分前に高校のすぐ近くのグラウンドでスタッフの方から挨拶があり、ラジオ体操(第一・第二)、そして諸注意がありました。スタートは全体で500名くらいの参加者が1分おきに50名ずつ出発するウェーブスタート方式ですが、その区切りは予想タイム順ではなくゼッケンナンバー順(つまり申込順)なので、後方からスタートするスピードランナーは相当な人数を抜かさなければなりません。もっともこのレースのコースは狭い山道をハイカーと譲り合って通ったり、電車の踏切待ちがあったりとタイムを競うには不都合が多く、どちらかといえばゆったりとコースを楽しむのに向いています。

10時ちょうどに第一陣がスタート。私のスタートは10時8分なので先行の面々が次々にスタートするのをコース横で応援していましたが、ふと見るとスタートラインの数m先にぽつんと落ちているのは「なくしたら失格」と言われていたSIカード!まさかスタート会場の中で早くも失格者が出るとは(合掌)。

コースは最初に市街地を緩やかに登り、山道に入ってからさらに高度を上げて一路南を目指します。いったん100mほど高度を上げるのが少々しんどいのですが、後はおおむね緩やかで走りやすいコースが続きます。

白い富士山がかなり大きく見える箇所もありますが、コースは全体に明るい樹林の中のハイキングコースで、したがってハイカーの人たちとも頻繁に行き合うことになります。

第1チェックポイントへのきつい階段には、勝手に「プチ大倉尾根」と命名。横浜市最高峰の大丸山(156.8m)から遠くには金沢八景方面も見えており、ここで最初のチェックを受けると再び緩やかな走りになります。途中には顕著な切通し状の地形もあり、やがて横浜市と鎌倉市の境界上の道を行くようになりますが、この辺りから一般ハイカーの人数が増えてきて、お互いに声を掛け、道を譲りあっての走りor歩きとなります。

コース中には切通し状の地形が随所に見られますが、これは由緒正しい(鎌倉時代に作られた)切通しなんでしょうか?また、なにげに小さな岩場もあってこの上が鎌倉市内の最高地点になっていましたが、その手前で見掛けた茄子の着ぐるみは1月のフロストバイトロードレースでも見掛けたような気がします。

笹のトンネルをぐっと登って、そこから急降下して市街地に出たところが第2チェックポイント。しばらくアスファルトの道を走って、そこから再び一気に100mの登りとなりましたが、すぐに下りとなって再び市街地に出ました。そこには第3チェックポイントと、やれうれしや、エイドステーション。水だけでなく、オレンジやチョコ、そして梅干しが提供されており、特に梅干しの酸味が最高のごちそうでした。

この先は最初は普通に造成された住宅地でしたが、途中で細い道に入った先は北鎌倉の北側のお屋敷町らしく、由緒正しげな屋敷が並んでいてなんとなく京都の郊外を思い出させる風情がありました。ところがこの辺りのアスファルト道を走っているときに、右足ふくらはぎに最初の違和感。やはりアスファルトの衝撃がデリケートな(?)私の足には厳しいらしく、ここからはちょっとペースダウンしてだましだましゴールを目指すことにしました。

やがてJR横須賀線の線路に突き当たり、直角に曲がって線路沿いの道。北鎌倉駅の先から踏切を渡って、いかにも鎌倉という感じの浄智寺の左から再び山道に入っていきます。土が足に優しい山道に入ればこちらのもので飛ばせる限りは飛ばうすちに鎌倉の海も見えるようになってきましたが、厳しいアップダウンに太腿が悲鳴を上げてスピードが出なくなり、だんだん目標の3時間未満が厳しい雰囲気になってきました。

最後のチェックポイントを通過した時点で残りは1.5km、3時間を切るための残り時間は15分。平地ならまったく問題ない距離ですが、実はここに最後のアップダウンが控えていて、手元の地図に記されている参考徒歩タイムは「40分」です。ちょっときついかな、と思いながらも短い上り坂を必死に登って尾根道を駆け、市街地に降り、踏切を渡って曲がって曲がって川沿いを進むと、海が見えてきました。

後は緩やかに下るだけかなと思っていたら、まだ登り坂が!この階段の登りには本当に太腿が悲鳴を上げました。

最後の最後にふくらはぎがつりそうになって顔をしかめ、これを見たスタッフの方が「だ、大丈夫ですか?」と声を掛けてきましたがなんとかこらえて、砂浜を左に進んで稲村ヶ崎公園の最後のSIステーションにSIカードを差し込んだ時点で、時計は2時間59分16秒を示していました。

ゴールの稲村ヶ崎公園ではカップうどんをふるまわれ、お湯が十分に沸いていなかったためにぬるま湯につけたせんべいのような状態で食べる羽目になりながら彼方を見やると、江ノ島がはっきりと眺められました。

ともあれ、なんとか目標のサブスリーを実現できてメデタシ。遅いと言えば遅いのですが自分としては上出来です。

この日は無風快晴、気温も適度な上がり方で大変走りやすく、コース自体もよく整備されて親しみやすいものでした。時折開ける展望もすてきですし、ここなら普通にハイキングで歩いても楽しいはずです。大会の運営は手作り感がところどころに残っていましたが、随所に設置された赤矢印のマークのおかげで道迷いの心配はほとんどなく、ポイントごとのスタッフやコースを参加者とともに走る救護班のお兄さんたちやスイーパーのおかげで安全も確保されていたと思います。したがってぜひ来年も参加したい大会なのですが、唯一不安があるとすれば高齢者が目立つ一般ハイカーとの折り合いがつけられるかどうか。この日も実に大勢のハイカーの方々を追い越し、あるいはすれ違い、その都度極力声を掛けて好印象の獲得に努めたつもりですが、すれ違い待ちをして下さったハイカーの方から「まだ後ろが続くんですか?」とちょっとむっとした口調で言われたりもしました。あまりにもポピュラーなハイキングコースでトレイルランニングのレースを実施するのは少々無理があるのかもしれないな、と思いながら江ノ電で鎌倉に出て、帰路に就きました。