広沢寺弁天岩

日程:2004/05/08

概要:岩登りのゲレンデ・広沢寺弁天岩で人工登攀のトレーニング。

山頂:---

同行:黒澤敏弘ガイド

山行寸描

▲大ハングを登るS氏。アブミ初体験とは思えないダイナミックな身のこなしだった。(2004/05/08撮影)
▲大ハング全景。角度は140度くらい?(2004/05/08撮影)

2004/05/08

△10:00-15:30 広沢寺弁天岩

久しぶりに黒澤ガイドと広沢寺へ。ワケあって人工登攀の技術を磨いておく必要があり、講習をお願いしたものです。お客は他に広沢寺3回目というS氏。

まずは技術の確認とウォームアップということでスラブの中央を登りました。1本目は黒澤ガイドのリード、2本目は私のリード。今日も弁天岩には五色のロープが垂れ下がっていましたが、その間を縫うようにしてなんとか終了点へ登りつき、「とりあえず腕は落ちていないようだ」との御託宣を得て安堵しました。実は長らく登っていなかったスラブにちょっと怖いものを感じながらではあったのですが……。

まったりと昼食休憩の後、午後は例によってまずナバロンの左の垂直ちょいかぶりのA1を登りました。これも最初は黒澤ガイドが登ってからTRで1本。続いて私がリード。最上段の巻き込みも身体が覚えていて、どうやらそつなくこなすことができました。一緒に登っているS氏もアブミが初めてとはとても思えない落ち着きとスピードで、黒澤ガイドすら驚いていました。続いてナバロンの右のハングにトライしようとしましたが、他のパーティーが先に取り付いたためこれは諦め、もう一度ナバロンの左を登って全員が支点に上がり、さらに1ピッチで弁天岩最上部に到達してから、右へトラバース→クライムダウン(私はフィックスロープを使用)していよいよ大ハングの真下へ。

弁天岩の右上部に圧倒的な姿を示す大ハングには、ハンガーボルトがいずれもかなり遠い間隔で打たれており、人工登攀の練習としてはハイレベルな部類に入ることになります。リードしていった黒澤ガイドもここは久しぶりだったらしく「遠い!」「下手になったな〜!」とボヤき、弁天岩の終了点で後続を確保中の有持氏(ARIアルパインクラブ)から「ガンバ!」などと声を掛けられながら、それでも15分ほどで上へと抜けていきました。続いてS氏はアブミ初体験でいきなり大ハング?という感じですが、登り始めてみると苦戦しながらも安定した巻き込み姿勢と強力な引きつけで一つ、また一つと前進していきます。しかし、下から3分の2のところで遠いハンガーボルトにどうしても届かず、残念ながらここでリタイアし、ロワーダウン。次は私の番です。1本目から最上段巻き込みでハング下のルーフに沿ってそりかえるような姿勢で次のボルトへクリップ。次からはランナーをとっているクイックドローにアブミをかけるチョンボ技を多用し、また途中ではハーネスにつけたクイックドロー(フィフィの代わり)でのレストを交えながら、30分強でどうにか上へ抜けることができました。しかしフォローでしかもチョンボ技を使ったから抜けられたものの、各ボルトは恐ろしく遠く、とてもリードで行ける気がしません。今度、黒澤ガイド特製チョンボ棒(しばらく前に発注していて今日納品されたもの)を腰にぶら下げて再度トライしてみるつもりです。

それにしても、自分の限界を押し上げてくれるようなクライミングは本当に楽しい。このところ、本チャンでも明らかに自分が行けるところばかり選んで楽をしていたような気がしますが、はっきりとした高い目標を立て、それに向けてトレーニングを積んで自分の能力を高めるというプロセスを改めて大事にしていきたいと思いました。

終了点からS氏が待つテラスまで短い懸垂下降。さらに全員でラペルで下って、この日の講習を終了しました。お疲れさまでした。