四十八瀬川小草平ノ沢下降〜勘七ノ沢

日程:2003/11/08

概要:ひろた氏と丹沢でパチンコ遡行。予定ではモミソ沢の遡行から入るはずだったが、私が寝坊したため堀山の家で合流し、小草平ノ沢を下降。勘七ノ沢の遡行につなげて、花立から戸沢へ下った。

山頂:---

同行:ひろた氏

山行寸描

▲小草平ノ沢のCS滝。ひろた氏はどんなに際どいクライムダウンも嬉々として下っていく。(2003/11/08撮影)
▲勘七ノ沢F1。水量がずいぶん多かったが余裕で突破(最初にいきなり落ちたけど)。(2003/11/08撮影)
▲勘七ノ沢のへつり。私はここで2度も泳いだ。(2003/11/08撮影)
▲勘七ノ沢F5。難しくはないもののハーケンが遠く、慎重に登る。(2003/11/08撮影)

沢登り専門のサイト『その空の下で。。。』のひろた氏との初手合わせ。もともとはひろた氏が箱根方面へ出張ということだったので「それなら丹沢」という話だったのが、出張自体はなくなっても丹沢企画は生き残ったという次第です。私はもう沢靴は押入れにしまいかけていたのですが、丹沢なら天気に恵まれればそれほど寒くもないし、前から何本か継続遡行をやってみたいと思ってもいたので、新茅ノ沢(大滝を登ってから下降)〜モミソ沢〜小草平ノ沢下降〜勘七ノ沢をつなぐプランを提案しました。その後両者で検討の結果、この時期は日が短い上に私が車がないため出発時刻がそれほど早められないことを考慮して、新茅ノ沢はカットすることになりました。

さて、栃木県在住のひろた氏は前夜のうちに車で神奈川県まで移動し、私は始発の電車に乗って小田急線渋沢駅に6時半に待ち合わせることにしました。前夜比較的早くに会社を出た私でしたが、それでも帰宅したのは23時頃。パッキングを終えて寝たのが午前1時で、5時の電車に乗るために目覚まし時計を冗長構成にして就寝したのですが……目覚めたのはなんと待ち合わせ時刻の6時半でした。あわててひろた氏の携帯に電話をかけ、爽やかな声のひろた氏に寝坊のお詫びを平謝りで入れた上で、モミソ沢はソロで登っていただき、大倉尾根上の堀山の家で9時45分に合流することにしました。

2003/11/08

△08:45 大倉 → △09:55-10:15 堀山の家 → △12:00 勘七ノ沢出合 → △13:30 F5 → △15:30-55 花立 → △16:40 戸沢出合

さっさと着替えて電車に飛び乗り、渋沢駅からタクシーも使って大倉の登山口に着いたのが8時45分。背中には登攀具一式と9mm40mのロープが入っていてけっこう重いのですが、とにかくがんばって歩き出しました。今日は天気も良くて大勢のハイカーが大倉尾根を歩いており、次々に道を譲っていただいて先を急いだものの、残念ながら1時間で堀山の家に着くことはできず約束の時間より10分遅れでひろた氏と合流することになりました。ひろた氏もその少し前にモミソ沢の遡行を終えたところだそうで、何はともあれ寝坊と遅参のお詫びが初対面の挨拶になりました。

身繕ろいをして軽く朝食をとってから、大倉尾根をわずかに下ったところから右手の斜面へ下降開始。最初は間伐による倒木だらけの土の斜面ですが、すぐに細い流れに入り、やがてはっきりとした沢筋となってきます。小さい滝は正面から下り、大滝は左岸から懸垂下降。そこから下のCS滝では私がハマリかけましたが、後は基本的にクライムダウン。それでもいくつかの滝では易しい横の斜面に逃げてしまいましたが、ひろた氏はひたすら水流沿いにクライムダウンを繰り返し、そのこだわりと気迫には圧倒されました。

最後の滝を懸垂で下るとそこが勘七ノ沢の出合で、壁が立ったテクニカルなF1が豊富な水流を手前の釜に落としています。ここはお互いフリーで行くことにして「落ちても水に落ちるだけですから」と言った舌の根が乾く間もなく、私はバランスを崩して水に落ちてしまいました。気を取り直して再び水流に近づき、今度はしっかりバランスをとって水流左の急斜面を突破すると、後続のひろた氏も難なく登ってきました。

F1を過ぎて2-3分も歩かないうちに、きれいなグリーンの淵が目の前に現れました。ここは一見泳ぎになりそうですが、しかし膝まで濡れれば左の壁沿いにへつることもできそうです。そこで水中のフットホールドを足で探りながら左壁にへばりついてみましたが、ホールドは意外に細かく、ボルダリングのトラバース課題のようでけっこう面白くはまってしまいます。あと少しで傾斜の緩いところへ行けるというところで、そこまでの1手を探しているうちに背中の重さに引かれてドボン!と淵に落ちてしまい、水は思ったほど冷たくないもののとにかく悔しい。そこで泳いで元の場所に戻り、もう一度トライ。しかし今度も同じところで落ちてしまい、渋々諦めて前方へ泳ぎ進みました。ひろた氏もここは慎重にへつっていましたが、見事に濡れることなく突破。さすがです。

F2はぼろぼろの右壁を登り、F3は右壁をぐるりとへつって水流の右から上へ抜けました。ナメを過ぎてF4は2段になっており、下段を右から越えて、上段は右から回り込み右上するルンゼ状を登ります。その先は堰堤がいくつか続き、途中で休憩も入れながら明るい河原を奥へと進みむといよいよ大滝=F5です。ここだけはロープを結んで確保しながら登ることにしました。

私「リードしますか?」
ひ「どちらでもいいです」
私「ジャンケンで決めましょうか?」
ひ「それじゃ、リードどうぞ」

いや〜、毎度あつかましくてスミマセン(というか初対面ですが)。たぶん「リードさせてくれ」と私の顔に書いてあったのでしょう。と言ってもここは左からバンドを水流に近づき、ちょっとバランスが難しい1歩をこなして残置ピンにランナーをとったら後は水流沿いにホールドをつないでいくだけ。途中あと2カ所ランナーをとって落ち口に抜け、セカンドのひろた氏を迎えましたが、ひろた氏もノープロブレムですいすい登ってきました。

この沢で一番楽しいのは、実はここから先のゴルジュ帯です。小滝が連続する中を適当にラインを決めて思い思いに登っていきますが、正面から両足突っ張りで越えたり側壁を微妙なバランスでへつったり(ここでも一度泳ぎました)とパズルを解くようで飽きることがなく、ひろた氏も嬉々として遡行していきました。やがてゴルジュが終わると開けたガレの河原で、それでもしばらくは水流が続いていましたが、右岸に崩壊地を見る頃から伏流になり、そのすぐ先の三俣にご丁寧に靴までぶら下げたシグナルがあって真ん中の沢筋へと分け入りました。さらにその先2本目の脆いルンゼを詰めて尾根筋へと出るとすぐに花立山荘が見えてきましたが、もうこの頃には私は体力的にへろへろ。しかしひろた氏はまだまだ元気いっぱいで、もう1本くらい沢を登れそうな勢いでした。

花立山荘で休憩していたハイキングのおばさんたちはヘルメット姿の我々を見て「工事の人たち」と思ったようでしたが、とにかく飲料(私はネクター)を買ってひろた氏と乾杯したら沢装備をリュックサックにしまい、戸沢出合まで駈け降りました。そして暗くなってきた戸沢でひろた氏の車に乗り、花立山荘のおじさんに教えてもらった「湯花楽」というスーパー銭湯で汗を流した後、手近のファミレスに入ってとんかつ定食で打ち上げました。