塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

二子山西岳中央稜

日程:2002/04/14

概要:二子山西岳の中央稜を一峰頂上まで突き抜け、股峠へダイレクトに下る。

山頂:---

同行:黒澤敏弘ガイド

山行寸描

▲核心部の3ピッチ目。きれいなコーナークラックを真上に向かって登る。(2002/04/14撮影)
▲4ピッチ目出だしの小ハングを越える私。乾いたしっかりしたホールドが身体を支えてくれた。(2002/04/14撮影)

2002/04/14

△12:15 林道駐車ポイント → △12:25 股峠 → △12:35-55 西岳中央稜取付点 → △14:50-15:05 終了点 → △15:25 股峠 → △15:30 林道駐車ポイント

『猫の森』の講習会ではおなじみの二子山。私自身も2000年8月に登ったことがありますが、そのときは下半分を易しい迂回ルート(右の写真の赤ライン)としていたため、やはり正規ルート(黄ライン)を登っておきたいと思っていました。そんなわけで春うららかな陽気の下、2度目の二子山はJR本庄駅に朝9時に待ち合わせとしていたのですが、思わぬアクシデントで出発が1時間遅れ、カタクリの群生が見事な登山道を歩いて中央稜の取付に着いたのは12時35分となりました。気温は高く風もない、良好なコンディションです。

今日は一部のピッチを私がリードすることになっていて、若干緊張気味。登攀用具を身に着けて、1ピッチ目は黒澤ガイドのリードとなります(以下、デシマルグレードは黒澤ガイドの評価、アルパイングレードは『関東周辺の岩場』(白山書房)による)。

1ピッチ目(30m/5.7)。浅い凹状の壁を直上する部分はさして難しくありませんが、右上する途中で分厚いフレークの上をつかみ身体を空中に乗り出して右足を遠くへ飛ばさなければならない場面があり、ここが1ピッチ目から高度感があってちょっとびびります。

2ピッチ目(20m/5.7(V-)):私のリード。出だしをわずかに右に出てから左上し、凹状を数m登って傾斜のきついカンテを右に回り込みます。下からホールドの位置などを指示されながらの登りですが、ここも足下はすぱっと切れ落ちていてあまり心臓によくありません。レッジに出たら再び左上し、真上にコーナークラックを見上げるところでピッチを切りました。ここで、後続が自分のどちら側から登りはじめることになるかを考慮に入れずにロープをたぐったため、インクノットでとめたメインロープに体重を預けたままちょっとじたばたすることになってしまいました。

3ピッチ目(25m/5.9+(V)):このルート全体の核心部。クラックの下半分はレイバックで思い切り足を高く上げながら身体を引き上げていき、途中のかぶり気味のクラックはフリーで越えようと思えばジャミングですが、ハーケンの頭を踏んでA0としてしまいました。この上が迂回ルートと合流する大テラスで、PET飲料を一口飲んで落ち着いてから、この後も引き続きつるべで登ることになりました。

4ピッチ目(15m/5.8(IV+)):私のリード。出だしの小さなハングは何ということもなく越え、左へトラバースして突き当たりの足下の突起に立ち上がって腰ハングの乗り越し。左足をハングの下の壁にスメアして右足を上げ、奥のホールドをとってここを解決し、緩い傾斜からバンド状の突き当たりにあるボルトに支点を作って後続を迎えました。

5ピッチ目(25m/5.9(IV+)):小さなスラブ状を登って左へトラバース。フレークのアンダーをとって身体を左に振りながらクラック沿いに登り、最後を左に回り込みました。下を見なければ怖くはありません。

6ピッチ目(35m/5.7(III)):最後の私のリード。易しいスラブをクラック沿いに登り、平らになったところから今度はホールドだらけの岩壁を真っすぐ登ります。まったく簡単。

7ピッチ目(20m/5.6)。普通は6ピッチ目で登攀を終了しバンドを左に登っていくのですが、最後の最後まで遊ぶことにしておまけの1P。リッジをダイレクトに登って頂上稜線の一角へ出ました。

終了点からは、前回同様に二子山西岳の稜線が左に展開し、背後には両神山のごつごつしたスカイラインが眺められます。ここでロープを外し、ガチャ分けをしてから股峠へ直接下る道に入りました。三点支持の練習台になりそうな急な道を時折クライムダウンも交えながら下り、股峠から林道に出て車に戻りました。

帰りは坂本方面へ出て、そちらから見上げた二子山はなかなか大きく、我々が登った中央稜もはっきりと見えています。マルチピッチはやはり楽しい!と思いつつ、この後、秩父の武甲温泉に立ち寄ってから帰路に就きました。