飯豊連峰縦走

日程:1994/08/07-09

概要:川入から三国岳へ登り、三国小屋に宿泊。ここから飯豊本山に達し、西進して御西岳から大日岳を往復。梅花皮小屋に泊まる。翌日、門内岳を越えて扇ノ地紙から梶川尾根を下降。

山頂:飯豊本山 2105m / 大日岳 2128m / 北股岳 2025m

同行:ユウコさん

山行寸描

▲朝の飯豊連峰。今日一日の楽しい山上漫歩を約束してくれているような空。(1994/08/08撮影)
▲飯豊本山から大日岳を眺める。たおやかな稜線が優しい。(1994/08/08撮影)
▲烏帽子岳山頂から飯豊本山、御西岳方面を振り返る。長かった一日が間もなく暮れようとしている。(1994/08/08撮影)

1994/08/07

△12:00 川入キャンプ場 → △14:05-35 上十五里 → △15:45-16:05 秀峰水 → △17:15 三国小屋

ユウコさんは前日郡山から喜多方に先着して1泊、私は京都から北回りで新津から磐越西線に入り喜多方着。合流してからお約束の喜多方ラーメンを食べ、その後タクシーで川入に入りました。タクシーを降りるとそこは森の中の寂しいキャンプ場で、身支度をしている最中に小甲虫をくわえたヤンマが私の手に止まり、見る間にパリパリと小気味よい音をたてて餌を食べ終え何食わぬ顔で飛び去りました。そうしたことにも自然の豊かさを実感しながらここからしばらく車道を進み、御沢小屋から登山道に入ります。

登りではポイントごとに休憩をとりましたが、とにかく暑いのにはまいりました。おまけに、地蔵山への途中からトラバースに入って立ち寄った秀峰水の水場では下山途中の家族連れから切合小屋の水場に藻が発生していることを教えられました。

剣ヶ峰の岩場を詰めると三国岳の山頂で、しっかりしたつくりの小屋に荷物をおいて今日の宿とします。ここから眺める行く手には、飯豊本山から大日岳への緩やかな稜線が眺められました。

1994/08/08

△05:45 三国小屋 → △07:10-30 切合小屋 → △08:00 草履塚 → △09:20-45 飯豊山神社 → △10:00-10 飯豊山 → △11:15-30 御西小屋 → △13:00-15 大日岳 → △14:30-15:05 御西小屋 → △15:40-15:50 天狗ノ庭 → △16:25-16:30 御手洗の池 → △17:40 烏帽子岳 → △18:05 梅花皮岳 → △18:25 梅花皮小屋

朝、磐梯山・安達太良山・吾妻連峰、少し離れて蔵王連峰、さらに左に朝日連峰が朝靄の上に浮かび、御来光は蔵王の少し右にひょっこり顔を出しました。

雪渓がところどころに残る緩斜面を右手に見ながら、登山者で賑わう平らな切合小屋に到着してビールを買い求めました。時刻はまだ7時過ぎですが、今日も一日暑くなりそうな気配です。

草履塚から姥権現、御秘所とポイントはいろいろありますが、いずれも何ということもなく通過しました。やがて前方の高みが徐々に近づいてきて、到着したのが飯豊山神社。コンクリート造りの神社の手前に2階建ての本山小屋があり、その前庭でパンを食べながらの大休止としました。

飯豊山は稜線上の小突起といったところで、ケルン状に岩が重なった山頂に登山者が集い記念撮影に余念がなく、そして行く手には御西岳から大日岳まで続く稜線が緩やかに続きます。

緩やかに見えた稜線の道は実は石ゴロゴロの歩きにくい道で、意外に楽ではありませんでした。それでも御西小屋の外にリュックサックをデポして大日岳へのピストンにかかりましたが、ここで真っ赤に日焼けしてしまいました。途中の稜線脇にある文平ノ池にはテントが1張りあり、時間を止めてのんびり日光浴している登山者をうらやましく眺めました。

細長い大日岳山頂には標識が一つ立つだけでその先には西大日岳まで道が続いていますが、そこまで行く元気はなく、小休止の後に往路を引き返しました。ありがたいことに御西小屋から南側へ少々下ったところには豊富な水量の水場があって清冽な冷水に生き返り、ここで1泊するか先へ進むか迷いましたが意を決して前進することにしました。

もとは高層湿原であったものの登山者に踏み荒らされてすっかり乾いてしまった天狗ノ庭を通過し、さらに夕方の誰もいない稜線通しの道をとぼとぼ進んで周囲にトラノオが目立つ登山道を登り到達した烏帽子岳の山頂は、飯豊本山から大日岳にかけての稜線を振り返り見る絶好の展望台になっていました。とはいえ日は既に傾きかけており、今日一日の長い歩きをかみしめながらさらに先へ進みました。

夕暮れが夜に変わりかける頃ようやく梅花皮小屋に到着。ここも水場が近く、その豊富な水量と味の良さはこの稜線随一でした。

1994/08/09

△06:55 梅花皮小屋 → △07:20 北股岳 → △08:20 門内岳 → △08:45-50 扇の地紙 → △09:20 梶川峰 → △10:00 五郎清水 → △10:35-10:45 滝見場 → △11:20 湯沢峰 → △12:50 飯豊山荘

梅花皮小屋から北へ、稜線の道をひたすら進みます。途中でマツムシソウの群落を見たりしながら道は単調に先へ進んで扇の地紙で梶川尾根と主稜線を分けており、ここからうっすらと飯豊本山が望まれました。

梶川尾根は梶川峰までほぼ水平に東進した後、途中滝見場からの石転ビ雪渓と梅花皮滝をアクセントとしながら、急坂を転げ落ちるように天狗平へ向かいました。

下界に到達し、飯豊山荘から地図の裏に記載されている宿にあちこち電話をかけ、民宿の奥川入荘に落ちつくことに決めました。バスで長者原へ移動して歩くこと5分、着いた民宿は素朴な造りの民家で一見したところあまり期待はできないと思われたのですが、見ると実際とは大違い。風呂はゆったりと広く、食事も豪勢(夜はカワマスの洗い、イワナの揚げ物の甘酢あんかけ、マイタケの酢の物、昆布と山菜の炒め煮、新鮮なトマト、キュウリの浅漬け、ご飯とお味噌汁、地鶏の卵。朝はマイタケおこわ、茄子の炒め煮、茄子の漬け物、お味噌汁)ですっかり寛ぎました。これまで経験しているいくつもの山行の中でも最高の食事を味わえたのは幸運でした。

巨大な飯豊連峰のパノラマ3題

▲飯豊山頂から大日岳〜北股岳方面。たおやかな稜線がはるかに続く。(1994/08/08撮影)
▲大日岳山頂から北股岳〜飯豊本山方面。ここからいったん御西岳まで戻って左手へ、梅花皮岳を越えていく。(1994/08/08撮影)
▲烏帽子岳山頂から飯豊本山〜大日岳方面。やがて日が暮れようとしている。(1994/08/08撮影)

◎「朝日連峰縦走」へ続く。