塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

高見石〜白駒池〜にゅう

日程:2016/10/29-30

概要:渋の湯から高見石を経由して白駒池へ下り幕営。翌日にゅうから中山峠に達したものの、悪天候のために天狗岳に登ることは諦めて渋の湯へ下山。

山頂:にゅう 2352m

同行:よっこさん / ジュンコさん

山行寸描

▲白駒池の湖面。周囲は原生林に覆われている。(2016/10/29撮影)
▲北八ヶ岳ならではの苔。さまざまな種類があって見飽きることがない。(2016/10/29-30撮影)

10月最後の土日は明星山へ行く予定でしたが、あいにく相方に急用が入り直前でキャンセル。そこでよっこさんに声を掛けてみたところ、職場の同僚ジュンコさんの初テント泊に付き合って北八ヶ岳へ行く予定だが、それでもいいか?との返事をいただきました。もちろん問題ありません!そんなわけで土曜日の朝に新宿駅西口で待ち合わせ、ジュンコさんとは初対面の挨拶を交わしました。私よりも20歳以上(よっこさんよりウン歳)若いジュンコさんは元気いっぱいのチャーミングな山ガールで、山歩きが楽しくて仕方ないという健脚オーラを発散しています。まぶしいなあ。

渋の湯の手前で立ち寄った御射鹿池では、カメラを構えた観光客が群れをなしていました。物知りジュンコさんの解説で初めて知ったのですが、ここは東山魁夷の有名な《緑響く》で描かれた場所なのだそうです。

2016/10/29

△12:00 渋の湯 → △14:00-10 高見石 → △14:50 白駒の池キャンプ場

予定通り正午前に渋の湯に到着し、駐車場に車を駐め荷物を振り分けてから出発です。

下界は落葉松の黄色い葉が目立ちましたが、登山道を進めばすぐに緑の森の中に入ることになります。歩き出してすぐのところでよっこさんがギクリとして後ずさりを始めたのでどうしたのかと思ったら、よっこさんの指さす先に黒い大きな獣の姿。まさかクマ?いや、カモシカでした。

北八ヶ岳と言えば何といっても苔です。道の左右で異なる苔の広がりを眺めたり、苔に覆われた切り株が蛸入道のようになっているのを面白く眺めたりしながら、歩きやすい道をひたすら進みました。

やがて「賽の河原」と呼ばれる岩がちの地形に出ましたが、下界ではそこそこいい天気だったのにここまで来ると頭上はガスに覆われるようになっていました。そして、我々の前方に現れたお地蔵様の姿に不意を突かれてびっくり。白っぽい衣装と顔立ちは、エベレストで遭難したジョージ・マロリーを連想させて不気味です。

ひとしきり登ったところから水平の林間の道が続いて、懐かしい高見石小屋に到着しました。実はここまでの道のりは4年前の春にも登ったことがあるのですが、そのときは当然残雪期で趣はまったく異なります。

小屋の前にリュックサックをデポして、さっそく小屋の背後にある高見石に登ってみました。てっぺんからはこれからそこへ降りようとしている白駒池がよく見えていましたが、その周囲もまたガスに覆われていました。

高見石から白駒池までは距離としてはほんの一投足ですが、濡れて滑りやすい石やぬかるみのためにスピードが上がらず、思ったよりも時間がかかりました。

それでも湖岸に出てみればいい気分。白駒池は周囲1.35kmで、標高2000m以上の高地にある湖としては日本一の大きさなのだそうです。

白駒荘から時計回りに湖岸沿いの木道を歩いて、ほんのわずかで着いたところが青苔荘です。

青苔荘の隣にあるキャンプ場にテントを2張り。テント泊が初めてのジュンコさんは、よっこさんの手ほどきを受けながらテント設営を手伝ってくれました。

一日の労働が終われば、飲んで食べるだけ……と言ってもまだ15時半なんですが。担ぎ上げてきたおでん種はどこまでも尽きることがなく、途中で寒くなってきたのでテントの中に河岸を移して日本酒に切り替えましたが、日頃の寝不足に私の瞼はすっかり重くなり、17時前には早くも自分のテントに引き上げてシュラフの中に潜り込みました。すると寝入り端によっこさんのテントの中から鍋をひっくり返したらしい「きゃー」という悲鳴が上がるのが聞こえましたが、こちらは様子を聞くのも億劫であっという間に意識を失ってしまいました。

2016/10/30

△07:15 白駒の池キャンプ場 → △08:45-50 にゅう → △09:55 中山峠 → △10:00-55 黒百合ヒュッテ → △12:40 渋の湯

午前1時頃に雨がテントを叩く音で目が覚めましたが、明け方には雨も上がった模様。ジュンコさんは寒い思いをしたのではないかと心配していましたが、後で聞くと携帯カイロを貼りまくってぽかぽかだったそうです。しかしテントの中の結露に驚き、シュラフカバーの必要性を納得したようでした。

朝食をテントごとに済ませ、身支度をしてこの日の行程を始めました。この日の目的地は、にゅうから中山峠経由で天狗岳です。予報によれば昼頃には天候が回復してくれるはずなのですが……。

白駒池を離れてほとんど高低差のない樹林の中の道を歩けば、ムツデチョウチンゴケが繁る(?)「もののけの森」。

さらに白駒湿原やしらびその幼木の森、ミヤマクサゴケに覆われた「にゅうの森」を経て道は傾斜を強めます。

よっこさんとジュンコさんにとっては初めて(私は2009年に来たことあり)のにゅうに到着したときにもあいにくのガスで、しかも風が出ていて前途が危ぶまれました。それでも、とにかく中山峠までは行ってみることにしました。

中山峠に着いたところで、黒百合平から上がってきたカップルと天狗岳から降りてきた女性3人組と鉢合わせになりました。そこで3人組に山頂の様子を聞いてみたところ、天狗岳のピークは「展望なし」「風は強い」おまけに「雪がうっすら着いている」の三重苦状態だったそう。

これを聞いて、しばらく様子を見るか……と中山峠から少し下った黒百合ヒュッテへ退避することにしました。

黒百合ヒュッテの中に入り、まったりとコーヒータイム。カップケーキにはコケモモシロップ。

しばらく様子を見ましたが、天候回復の見通しが立たないので天狗岳は諦めることにしました。残念ですが、しかしジュンコさんにはもっといい状態で天狗岳の展望を楽しんでほしいので、これはこれで仕方ありません。

渋の湯への下り道をずいぶん下った頃には予報通り天気が回復してきましたが、木の間越しに稜線を見上げてみると相変わらず上部はガスの中です。よしよし、そうでなくては。

こんな具合のほのぼの山行でしたが、ジュンコさんは初テント泊、よっこさんは初にゅう、そして私も初白駒池を味わうことができたので、成果としては十分です。また、よっこさんは半月後には大阪へ引っ越してしまうので、いい思い出づくりもできました。今後は簡単にはご一緒できないかもしれませんが、いずれ信州の山などで顔を合わせる機会もあるでしょう。かたやジュンコさんは今回の山行をステップアップの機会とし、テントによる機動性を活かして行動半径を広げていただきたいものです。折が合えばまたご一緒しましょう!

ジュンコさんの接写ワールド

美しい……。北八ヶ岳の苔の森の素晴らしさは前々から話には聞いていましたが、こうしてじっくりと苔と向き合ったのは初めてです。確かにこれなら、苔を見るだけのために山小屋泊まりにしてもいいかも。