塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

藤坂ロックガーデン

日程:2007/06/02

概要:岩登りのゲレンデ・藤坂ロックガーデンでトレーニング。

山頂:---

同行:常吉さん / えみ丸さん / kuroさん

山行寸描

▲「アイゼンロック」。上に見えている岩壁を中心にたくさんのルートが拓かれている。(2007/06/02撮影)
▲TRで楽しんだ「小町ハング」(5.10b)。すぐ左隣が「クラックアラカルト」(V)。(2007/06/02撮影)
▲「クラックアラカルト」(V)を終えて懸垂下降。すっきり立っていて爽快なルートだった。(2007/06/02撮影)

2007/06/02

△09:30-17:15 藤坂ロックガーデン

前々から行ってみたいと思っていた藤坂ロックガーデンへ、常吉さん・えみ丸さん・kuroさんの3人と行くことになりました。常吉さんとkuroさんは現役の山ヤですが、えみ丸さんは長らくの体調不良明けということもあり、いわゆるガイドモードで装備をチョイスし、当日を迎えました。

大宮で朝8時に待ち合わせて、kuro号で東北道を佐野ICまで。そこからkuroさんのナビゲートでなんとなく到着し、駐車場から山道を5分歩くと頭上が開けて、そこに立派な岩壁が広がりました。うーん、これはいい感じの岩場ではありませんか。

簡易な東屋もある小広場で身繕いをしてから、まずはえみ丸さんにクライミングの手順を学んでいただくべく、下部の緩やかなアイゼンロックにロープを張ることにしました。そこで少々脆い岩を私が登って上部岩壁の支点にスリングをセットし懸垂下降で取付に戻りましたが、張った場所がちょっと悪くて下手すると振られそうな感じ。そこで軌道修正のために常吉さんに登っていただいて、えみ丸さんもフォローで上がり、いきなり懸垂下降の練習をすることにしました。残るkuroさんと私もロープを結び、アイゼンロックの右手から登って左へトラバースしようとしたら、後ろに引かれて動けません。何だよkuroさん、さっさとロープを送れよ!と思いながら振り返ると、自分のセルフビレイがしっかり支点に止まったままでした。

kuroさんの「コイツ、大丈夫か?」という視線を感じつつ、気を取り直して「ウォームアップ本チャン気分」(5.8)の取付へ。ルートが判然としないままに左上ランペに導かれるようにしてリードしましたが、どうも5.8はない感じです。頂上から高度感のある懸垂下降で取付に戻ったところ、そこにおられたのがこの岩場の整備に尽力されている斉藤雅巳氏(グランドジョラス・ウォーカー稜の単独登攀で有名)でした。にこやかな斉藤氏曰く「あなたが登ったラインは、最初から最後までルート外です」。がーん、やはりそうでしたか。またしても疑惑の視線を送るkuroさんに「『本チャン』だから、岩の弱点を突けばいいの!」と強弁したところ、斉藤氏も「それはそうですね」と助け舟を出して下さって助かりました。

4人揃ったところで休憩タイム。するとえみ丸さんのクーラーボックスから冷たいおしぼりと共にスイカとゼリーの配給があり、kuroさんもカラフルなカットフルーツを取り出して、岩の練習では考えられないようなおしゃれなランチになりました。

ひとしきりまったりしたところで、午後の部開始。まずは右手に回り込んで「南稜」(II〜IV)を、私・えみ丸さん、kuroさん・常吉さんの組み合せで登りました。グレード表示から易しいだろうと気軽に取り付いてみましたが、出だしの立ったカンテもそれなりに神経を使いますし2ピッチ目のスラブ状もなかなか面白く、予想以上に楽しいルートでした。えみ丸さんはスラブを回避すべく右手の薮に突っ込んで大奮闘したようですが、終了点からはその様子を見ることができません。ただし、えみ丸さんにアドバイスを飛ばす常吉さんの声が聞こえていたので心配は無用。こちらは、爽やかな風に吹かれながら「えみ丸さん、なかなか来ないなあ。苦労しているのかなあ」と呑気に構えていました。

終了点からひとまたぎで午前中の懸垂支点ですが、この高度感満点の懸垂下降(常吉さんですら下り始めは「怖い!」とおののいていました)をえみ丸さんがこなせるだろうか、という一抹の不安を抱きながら先に下りたところ、kuroさんの上手な指導とえみ丸さん自身の度胸のおかげで、しばらくするとえみ丸さんは石碑テラスで待っている私の目の前へ涼しい顔でするすると下りてきました。

えみ丸さんは以後は鑑賞モード。常吉さんが「ショートルートをやりましょう」ということで「藤坂基準」(5.8+)にロープを張りました。私はこの日もずっとエアシンダーコーン(アプローチシューズ)で登っていましたが、さすがにここではファイブ・テンのX-RAYを履きました。ちょっとかぶった短い(そのためボルトなしの)課題ですが、最初に登った常吉さんのアドバイスの通り、身体をだましだまし引き上げて左手を伸ばしガバをとればほぼ終了です。

続く「小町ハング」(5.10b)は、常吉さんが隣の「クラックアラカルト」(V)を途中まで登ってトラバースしTRをセット。私、常吉さん、kuroさんの順に取り付いてみました。ここは1便目のトライでは手順を見いだすことができなかったのですが、細かいながらもかかりの良いホールドの感触を得、さらに2便目で左のフレーク状ホールドに右手ガストンから左手を掛けて思い切り右へ身体を振り込むムーブを見つけると、そのまま細かくつないで上へ抜けることができました。しかし、安定した態勢でクリップできるほどには手順が固められていないので、まだまだトライを重ねられそうです。

最後は、私のリードに常吉さんとkuroさんがフォローで「クラックアラカルト」(V)2ピッチ。1ピッチ目は出だしかぶった浅い凹角を登ってテラスまで、2ピッチ目は顕著なクラックからすっきりと立ったカンテをぐいぐいと登っていきます。極端に難しいところもランナウトするところもなく、爽快な高度感を味わうことができて、後続した常吉さんも「これは面白い!」と大喜びでした。

懸垂下降で地面に戻ると、いつの間にかもう17時すぎです。すっかり遊び疲れた大人4人は、佐野市のスーパー銭湯で汗を流し、大宮の昭和レトロな店構えが売りの「なつかし家」で乾杯しました。このお店は懐かしのポスターや日用品などが飾られていて面白い上に、店員さんも感じがよく料理もリーズナブルで美味。さらに若いまっきーが合流してくれて常吉さんはすっかりご満悦でしたが、残念ながら終電の都合もあって23時前にはお開きとなりました。

藤坂ロックガーデンは、我々が8時間近くも遊び尽くして、それでも数あるルートのほんの一部にしか触れられていないくらい、充実した岩場です。各ルートにはルート名のプレートが完備しており、ボルトの整備も万全。ここは今後ぜひ通い込んでみたいところです。ただ、この日もかなり暑さに苦しめられたように、夏は気候的に厳しいかもしれません。涼しい季節になったら改めて訪れたいものです。