鳥ノ胸山 / 菰釣山

No. 992

日程:2026/03/09

概要:「道の駅どうし」を起点として鳥ノ胸山に登り、雑木ノ頭から道志の森キャンプ場に降りて落合橋から菰釣山をピストン後「道の駅どうし」に戻る。

◎PCやタブレットなど、より広角の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。

◎GPSログのダウンロードは「ヤマレコ」から(要ログイン)。

山頂:鳥ノ胸山 1208m / 菰釣山 1379m

同行:MIHOさん

山行寸描

▲鳥ノ胸山頂からの眺め。富士山は雲に隠れているが、御正体山とその下の谷の眺めがいい。(2026/03/09撮影)
▲菰釣山頂からの眺め。富士山はやはり雲に隠れているが、周辺のブナ林と彼方の山中湖がいい。(2026/03/09撮影)

昨日の「小仏城山」へ向かう電車の中で、共にアイスクライミングに行く予定だったMIHOさんから「せっかく休みをとってあるのでどこかへ行こう」という誘いの連絡を受けました。こちらは連チャンになりますが、ここで断っては男がすたります。いいでしょう、行きましょう。

というわけで、行き先は二人とも前からなんとなく気になっていた北丹沢の鳥ノ胸とんのむね山としましたが、それだけではあっという間に終わってしまうので、MIHOさんの提案により鳥ノ胸山から南に進んで大界木山近くで甲相国境稜線に乗り、城ヶ尾峠を越えて菰釣山に達してから道の駅へ戻る周回コースを歩くことにしました。

ところが……。

2026/03/09

△09:40 道の駅どうし → △11:00-05 鳥ノ胸山 → △11:25 雑木ノ頭 → △12:05 落合橋 → △13:15-25 ブナ沢乗越 → △13:50-14:20 菰釣山 → △14:40 ブナ沢乗越 → △15:40 落合橋 → △16:00 道の駅どうし

相模原市の橋本駅で合流して、MIHOさんの車で「道の駅どうし」へ移動。このあたりを走ったことがある人はご存知のように、相模原市から道志の谷筋へ伸びる道志みちというのはカーブの連続で、乗り物酔いに弱い私は「道の駅どうし」に着いたときにはすっかりヘロヘロになっていました。

それでも目の前に聳える鳥ノ胸山の姿を見れば気合が湧いてきます。手早く身繕いをして、ただちにスタートです。

道志川を南に渡り、オートキャンプ場の前の道をのんびり歩くとやがて道は植林地の中へ入っていくことになりますが、その入り口にはおそろしくざっくりした「鳥胸線登山道案内図」が立っていました。「これはまたおおらかな案内図だなあ」と素直な感想を漏らすと、MIHOさん曰く「山梨県は富士山以外の山に関してはいい加減なんですよ」と微妙にディス。その真偽はともかく、この案内図では確かに登山の役に立ちそうにありません。

道はやがて山道になり、途中で林道にワンタッチしながら植林地の中を登っていきます。

いや、一般登山道にしてはこの斜度はすごい。道筋は明瞭で危険を感じることもないのですが、とにかく胸を突くような急斜面をひたすら登ることになります。さすがは鳥ノ胸山と言うだけのことはある……とこのときは思いましたが、後で調べたところでは『甲斐国史』に「殿ムレ山」と記載があり、これが訛ったものであるようです。

急登を終えたら右へ折れて明るく緩やかな尾根道になり、これをこなした先に鳥ノ胸山の山頂がありました。小広い山頂にいた単独行の先客と挨拶を交わしてから西に開けた展望を堪能しましたが、あいにく富士山は雲の中。しかし正面には黒々とした御正体山がボリューミーで、その向こうには三ツ峠越しに南アルプスの山々が白い頭を見せていました。これらのうち間ノ岳〜農鳥岳周辺は高尾山や陣馬山からも見えますが、甲斐駒ヶ岳の尖った山頂が見えていたのには驚きました。

また、眼下の道志の谷筋の眺めもなかなかの見もの。鳥ノ胸山に登ったのはこれが初めてで、この山がこれほどの展望台になっているとは知りませんでした。

小休止の後、単独行氏に別れを告げて南へ向かいます。葉を落として明るいブナの尾根や、山腹に垣間見える白ザレがいかにも丹沢らしく、久しぶりの丹沢歩きにウキウキした気分になってきました。

そうしたウキウキがいけなかったのか、あるいは乗り物酔いがまだ残っていたせいか、雑木ノ頭で下る方向を間違ってしまいます。後から考えれば複数の方向を指している山頂標識があるのだから地図を出して正しい道筋を確認すべきだったのですが、何の気なしに向かった道はあさっての方角でした。

振り返れば先ほどその山頂に立っていた鳥ノ胸山が近く、下る尾根の途中には壁のような岩とその手前のザレた鞍部があって「鍋割山近くの鉄砲沢右岸の中ツ峠に雰囲気が似ているな」などと呑気に喜んでいたのですが、これも今から思えば、上の写真のように鳥ノ胸山が見えていること自体が方角を誤っていることの証拠です。

道はぐんぐん下っており、いくら呑気な私でも「さすがにここまで下るのはおかしい」と気づいてジオグラフィカを開いたとき、ようやく道誤りに気づきました。本来向かうべき道は上の図のオレンジ色の線ですが、現在地はご覧の通り。雑木ノ頭に登り返すには十分すぎるくらいに下っており、もはや麓のキャンプ場がすぐそこです。それでも意を決して登り返す選択肢もありましたが、今日の我々にはどうしても明るいうちに下山しなければならない事情があったため、仕方なく降り切って落合橋からの菰釣山ピストンに切り替えることにしました。MIHOさん、まことに申し訳ない!

また、当初の計画通りであれば二つの山を繋ぐという意味で「鳥ノ胸山〜菰釣山」となるはずだったこの記録のタイトルも、二つの山を個別に登るかたちなので「鳥ノ胸山 / 菰釣山」になってしまいました。やれやれ、まったく何年山登りをしているんだか…… 。

道志の森キャンプ場に降り着いて、わずかに下流の落合橋で三ヶ瀬川を渡って菰釣山への道に入ります。ちなみにこの橋の袂には「SANGASEGAWA」とローマ字読みを付した河川標識が立っていますが、以前指摘したように正しくは「SAGASEGAWA」のはず。そのことをMIHOさんに話すと、MIHOさん曰く「山梨県ですから。山梨県は(以下同文)」。

道志の森キャンプ場から菰釣山への道は、かつて初夏に水ノ木沢へのアプローチとして歩いたことがありますが、この日も国境稜線直下に若干の雪が残っているもののつぼ足で支障なく歩ける状態でした。

ブナ沢乗越から懐かしの菰釣避難小屋まではほんのひと登り。この小屋には2014年2017年2025年の3回お世話になっており、今日も帰りに覗いてみたところ中は整理整頓されて清潔な状態を保っていました。ここに限らず、丹沢の避難小屋は大切に使いたいものです。

避難小屋から菰釣山まではそこそこのアルバイトになり、登山道の両脇に名残りの雪が目立ちましたがこれも木道のおかげもあって歩行には支障なく、無事に今日のゴールである菰釣山に到着です。

菰釣山もまた霊峰富士の展望台ですが、やはり富士山は雲の中。それでも山頂周辺の明るく冬枯れたブナ林の雰囲気が抜群によく、幸い風も思ったほど強くはなかったので、山頂のベンチでMIHOさん持参のガスでコーヒータイムを楽しみました。

さあ、帰ろう。

ブナ沢乗越からの下りを慎重にこなして林道に出れば、山行は事実上終了。恥ずかしい道迷いはありましたが、とにもかくにも計画していた二つのピークを踏むことができて、今回の山行はハッピーでした。

その後、1時間弱の車道歩きで「道の駅どうし」に戻り着き、駐車させてもらったことのお返しに売店で主にMIHOさんがあれこれ買い求めてから帰路につきました。ところが、道志みちのワインディングロードに再びつらいものを感じながらの橋本への道すがら、なんとこの幹線道路を走るカモシカの子に遭遇。我々の車の左前方を必死に走っていて、路側の壁が切れたところで無事に山の斜面に消えて行きました。MIHOさんも私もなんだなんだと焦りましたが、カモシカの方も焦っている様子がひしひしと伝わってきて、微笑ましいやらほっとするやらです。しかし、あの子は無事に親と合流できたのかな?それとももう独り立ちしているのかな?