二子山東岳「スーパーたこやん」

日程:2022/09/27

概要:二子山東岳のマルチピッチルート「スーパーたこやん」を登る。

山頂:二子山東岳 1,122m

同行:セキネくん

山行寸描

▲2ピッチ目(5.8)、顕著なクラックを使って凹角状を直上する私。(2022/09/27撮影)
▲5ピッチ目(5.10a)、ドラゴンに立ち向かう戦士といった趣きのセキネくん。(2022/09/27撮影)

シルバーウイークはセキネくんと1本、ハマちゃんと1本、それぞれアルパインルートに挑む計画になっていましたが、台風と秋雨前線の影響によりこれらの計画は文字通り吹き飛ばされ、ハマちゃんとの計画は行き先を瑞牆山に変えて11月に順延。セキネくんとの計画も行き先を二子山の「スーパーたこやん」に変えてこの日決行することになりました。「スーパーたこやん」とはそもいかなるルートか、ということについては〔後述〕することにして、前夜、5月の小川山山行でハーネスを忘れてきた前科がある私はセキネくんに「ハーネスはザックに入れました」と報告を入れたのですが、ややあってセキネくんの方から「僕がハーネス忘れてました。救われました」というリプライがありました。いやー、危なかった。

2022/09/27

△08:45 登山口 → △08:50 股峠 → △09:10-30 東岳「スーパーたこやん」取付点 → △10:55 終了点 → △11:00-30 東岳山頂 → △12:00 股峠 → △12:05 登山口

7時15分に西武秩父駅近くのコンビニでセキネくんと合流。この日は火曜日だというのに、股峠直下の登山口近くの駐車スペースには数台の車が駐まっていました。

しかし、股峠を越えて東岳の弓状エリアに降りてみると、誰も岩に取り付いていません。それもそのはず、数日前まで降り続いていた雨の影響で岩場は至るところにひどい染み出しができてしまっています。我々が目指すルートは、この岩沿いにずっと奥へと進み、岩場の端まで登ってさらに先に続く踏み跡を辿った先にあります。

いったん平坦になった道が途中から再び岩壁に沿ってせり上がり始めるところにフィックスロープが現れ、歩きにくいザレた道を登ってフィックスロープが尽きるところが「スーパーたこやん」の取付でした。取付とは言っても足元が悪く、不安定な姿勢のまま装備を身につけましたが、幸いなことに目指すルート上には水の染み出しがなさそうですし、天気も薄曇りで暑からず寒からず。そこそこ恵まれた条件でのクライミングになりそうです。

1ピッチ目(26m / 5.8):セキネくんのリード。ここから奇数ピッチはセキネくん、偶数ピッチは私のリードです。目の前の壁は豊富な凹凸と2本のボルトに助けられてなんということもなく登れ、もう1段登った先にかぶり気味の壁。セキネくんはここにカムを噛ませて正面突破していましたが、左から回り込むラインもあるかも?しかし上から見たセキネくんの言によれば、そちらは最後に乗り上がるところが悪そうだということでした。そしてこのピッチの終了点には、ハンガーボルトで立派な支点が作られていました。

2ピッチ目(20m / 5.8):私のリード。すっきりした壁の真ん中に顕著に走る凹角をステミング気味に登り、上部の易しいパートへと継続するピッチ。最初のハンガーボルトは凹角の出口あたりにあり、そこまでの間には立派なクラックがあって、キャメロット#4ともう一つカムを使用しました。セキネくん曰く「このルートで一番クライミングらしいピッチ」。ここを登り切ると前方に歩きのセクションが見えてきて、そこで灌木にスリングを回して支点を構築し、セキネくんを迎えました。

3ピッチ目(25m / 歩き)。先行したセキネくんがロープを引きずって、突き当たりまで行ったら適当な灌木にスリングをセット。このあたりから、左手の木の間越しに西岳の眺めが良くなってきます。

4ピッチ目(32m / 5.7):私のリード。セキネくんのビレイ位置から右へ回り込むように登る壁には、出だしすぐにあるピトンとその少し上のハンガーボルトが方向を示すよい目印になります。ただし、技術的にはこれと言った困難はない(グレード通り)のですが、やはり岩が脆い。それも白く真新しい断面を見せている岩が少なくなく、このルートもどんどん姿かたちを変えていることが窺われます。ともあれ慎重に登り続けて、目の前に最終ピッチの岩峰が見えたら1段下の灌木にスリングを回してセキネくんをビレイしました。

5ピッチ目(25m / 5.10a):セキネくんのリード。出だし1段上がったところで最初のボルトにクリップしてからテラスに乗り上がるところが核心部で、最初に左から取り付いたセキネくんはフィーリングが合わなかったらしく仕切り直し(テンションは掛けていません)て右側に転進し、じわじわとしたバランスでここを突破すると、続くかぶり気味の垂壁は上のガバにこの岩が崩れることはないだろうか?と一抹の不安を感じつつ手を掛けて真正面から豪快に乗り越していきました。

後続した私は最初の核心部をセキネくんとは逆の左から、クラックに手を掛け横引きにして身体を左に振り込みレイバックで身体を引き上げて突破。続く垂壁は同じく上のガバをつかんで、ほぼ正面・気持ち右寄りから岩塔の上に乗り上がると、小さいギャップを越えて左の壁を登ったところにハンガーボルトで設けられている終了点でセキネくんがビレイしてくれていました。

そして、終了点から明瞭な踏み跡を少し登れば登山道で、二子山東岳の山頂標識も目の前でした。

コンパクトにしてコンビニエントなこのルートは、登りごたえという点では西岳中央稜に及びませんが、東岳の山頂へとどんぴしゃで詰め上がる岩稜登りは楽しいものでした。とは言うものの、若いカップルが楽しげに会話を交わしながら休憩しているところへギアをガチャガチャと鳴らしながら割り込む形になった我々は、若干の申し訳なさを感じつつここで装備を解除し、軽く行動食を口にしてから山頂を後にしました。

東岳からは隣の西岳の見事な姿がよく見えていましたが、恥ずかしながら我々は下降の途中で2度も道を誤りました。最初は間違ったルンゼ〜踏み跡を下ってこれはおかしいとなったところから登り返し、次は岩稜通しに進んだ先でピンクテープが示す方向に入ったらこれが岩稜を巻く道だったために山頂方向へ戻り掛けてしまうリングワンデリング未遂。東岳からの下降は2019年に経験済みで、そのときには道迷いなどしなかったのに……。

苦労の末に股峠に降り立ったところでまだ正午。このまま引き続き西岳中央稜を登るのも魅力的なプランですが、我々は4年前に中央稜を登っているし、マルチピッチを2本続けて登るほどの根性も持ち合わせていないし、ということでそのまま下山することにしました。

そうとなれば秩父地方の名物わらじカツ丼を食べない手はありません。セキネくんがネット検索で見つけてくれた小鹿野町のファミリーレストラン東大門に赴いて、セキネくんはオーソドックスなわらじカツ丼、私はわらじカツと豚肉味噌漬をセットにしたTheライダーズ飯。リーズナブルなお値段ながらすこぶるおいしくいただいて、セキネくんとの4か月ぶりのクライミングをハッピーな気持ちで締めくくりました。

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