瑞牆山
Rec. 1003
日程:2026/05/05-06
概要:初日は瑞牆山荘から富士見平まで上がって幕営。二日目にいったんパノラマコース登山口まで下ってからカンマンボロン経由で瑞牆山に登り、富士見平に戻ってテントを撤収の後に瑞牆山荘へ下山。
◎PCやタブレットなど、より広角の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。
◎GPSログのダウンロードは「ヤマレコ」から(要ログイン)。
山頂:瑞牆山 2230m
同行:トモミさん
山行寸描
昨秋から今春まで長引いた故障のために冬山に行くことができなかった私が〈長女〉トモミさんに「雪山に行こう」と誘いの声を掛けて計画していたのは5月3-5日の2泊3日での常念山脈縦走でしたが、蝶ヶ岳から常念岳へ稜線上を移動するタイミングがこともあろうに風速20m/sを超える暴風予報。これでは命に関わると泣く泣く計画を断念し、その代替プランとして企画したのがこの瑞牆山への気軽な山行です。何度も登ったことがある瑞牆山をあえてこのタイミングでの行き先に選んだことには特別な理由があるのですが、それは最後に明かすとして、この山行には単に瑞牆山登頂だけでなくトモミさんの幕営練習やカンマンボロン訪問という付加価値を設定し、実行意義の充実を図りました。
2026/05/05
△13:15 瑞牆山荘 → △14:10 富士見平
今日は富士見平に上がるだけなので、のんびり目の11時過ぎに韮崎駅でトモミさんと合流。韮崎駅前から瑞牆山荘へは茅ヶ岳みずがき田園バスに乗って1時間15分で到着です。


韮崎山荘でランチ休憩。トモミさんはパスタ、私はローストビーフ丼を注文して、いずれも「おいしい!でもちょっと少ない」という感想をもってから、登山口から歩き始めました。


下ってくるたくさんの登山者とすれ違いながらの1時間ほどの登りで富士見平に到着。さっそく受付をすませ、小屋からあまり離れていないところに各自のテントを張りました。


時刻はまだ15時頃ですが、まずは今日のアルバイトの終了を祝して乾杯!互いに持ち寄ったアテをシェアしつつ喉を潤し、さらに一品ずつを振る舞い合って豊かな食事になりました。これくらい下界から近いと、食材の重さや鮮度をあまり気にせずに担いでこられるのがいいところです。


テントを張った場所からは八ヶ岳の向こうに日が沈む様子を見ることができ、小屋の前では夕日に染まる富士山を眺めることもできました。明日も天気に恵まれますように。
2026/05/06
△06:05 富士見平 → △07:00 パノラマコース登山口手前 → △08:10-15 カンマンボロン → △09:30-40 大ヤスリ岩基部 → △10:05-20 瑞牆山 → △11:45-12:45 富士見平 → △13:20 瑞牆山荘
夜はかなり冷え込みました。今回、トモミさんがまだ使ったことがないというエアマットを持参して試みに使ってもらっていたのでトモミさんの方はあまり寒い思いをせずにすんだようですが、私の方はパタパタのショートサイズのマットに薄っぺらいスリーシーズン用シュラフでダウンも着ていなかったので、夜中に寒さで目を覚まし、ナルゲンボトルの湯たんぽを温め直さなければ寝られないほど。後で知ったことですが、この晩は下界でもこの時期としては例外的なほどに冷え込んでいたのだそうです。


ともあれ5時前に起床し、朝食をとり身繕いをすませて、当初の計画より30分ほど早く出発しました。昨夕の願いも空しく、どうやら今日はぼんやり曇り空の一日になりそうです。


この日のコースは、富士見平から瑞牆山頂への往復ではなく、いったんみずがき山自然公園方向へ下ってからパノラマコースを登り返してカンマンボロンに達し、その後に大ヤスリ岩の基部で富士見平と瑞牆山頂とを結ぶ登山道に合流しようとするもの。咲き始めのシャクナゲのピンクに癒されたり、今にも崩れ落ちそうな木橋に肝を冷やしたりしながら下ります。


パノラマコースに入るとボルダリングマットを背負ったグループの姿が見られましたが、我々はカンマンボロンを目指してひたすら登り続けます。道はしっかり踏まれており、要所にはピンクテープもあってわかりやすいコースでした。
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……と書こうと思っていたのですが、カンマンボロンの基部で見事に道に迷ってしまいました。どうやら途中でカンマンボロンに突き当たる尾根の右側面を巻くように進めばよかったようなのですが、私は踏み跡につられて尾根上を最上部まで登り詰め、そこから左の踏み跡を辿ってしまいました。その行き着く先には尾根上の鞍部と謎の梯子(『瑞牆クライミングガイド上』によれば「風のエリア」に通じる梯子)があって、明らかにこれは目指す方向とは異なります。これはいかんと壁の前を引き返し、太い木の根が絡み合ったルンゼを下ってみると……。

目印となる大ハングがそこにありました。実はこのあたりは2008年に「鎌形ハングルート」を登ったときに歩いているはずなのですが、そのときの土地勘はすっかり消えてなくなっており、そのために右往左往してしまったというわけです。

大ハングに通じるルンゼを少し奥の方へ入っていくと左手からロープが垂れており、背負ってきたデイパックを下に置いてこのロープを頼りに狭い岩の隙間を抜けてみると……。

すぐそこに、目指すカンマンボロンの梵字がありました。ネット情報を受け売りすると、カンマンボロンとは不動明王の種字である「カンマン」と一字金輪仏頂尊の真言「ボロン」の合わさったもので、この岩文字は弘法大師が彫ったものだとされているそうですが、もちろん実際は風化等によってできた自然の穴です。しかしその複雑怪奇な穴の形状は、確かに梵字のテイストがあってどことなくありがたげ。とにもかくにもこの文字(?)に対面したことで、今回の山行の目的を果たすことができました。

ルンゼを下って少し離れたところから振り返り見ると、かつて登った鎌形ハングと先ほどその直下に立った大ハングとが並んでいました。大ハングの方も、いずれは「中央洞穴ルート」にトライしようと思っていたのですが、結局その機会を得ることがないままに終わってしまったのは残念なことです。


このあたりでは2017年に大面岩正面壁の「北稜会ルート」も登っており、パノラマコースはその大面岩の前を通ったら一気に高度を上げていきます。カンマンボロンから先は『山と高原地図』では登山道の印である赤線が引かれていないのですが、実際にはピンクテープだけでなくロープが設置されていたり金属製の標識が岩に打ち付けられてたりして、特別なスキルがなくても歩ける状態になっていました。

カンマンボロンの前から標高を350mほど上げると大ヤスリ岩の基部。この見上げる構図は2007年に登った「大ヤスリ岩ハイピークルート」の1〜2ピッチ目です。懐かしや。しかし、私がこのパノラマコース沿線で登った三つのルートはいずれも人工登攀のルートでしたが、今やこのあたりは高難度フリーが主体になっており、アブミをぶら下げてアプローチすることは憚られそうです。恐ろしや。


大ヤスリ岩の基部でランチ休憩をとってから、すぐに富士見平からの登山道に合流して山頂を目指しました。ところが、大ヤスリ岩からすぐそこかと思っていたら標高差で100m以上、しかも岩がちでややこしい道のりを頑張らねばならず、山頂に着いたときにはトモミさんも私も心身共にぐったり。しかも山頂の周囲はガスで真っ白で、何も見えていませんでした。

しかし、ちょうど我々が山頂に着いた頃から雲が下り始めたらしく、ふと見ると大ヤスリ岩のシルエットの向こうに甲斐駒ヶ岳が顔を覗かせています。

東の金峰山方面はすっかり雲がとれ、五丈岩がくっきりと見えるようになって、瑞牆山の山頂にいる登山者たちから歓声が上がりました。

西北の方はなかなか雲がとれてくれませんが、それでも八ヶ岳の姿がちらっと見えるようになりました。

やがて大ヤスリ岩の姿がくっきり見えるようになり、これでもう十分満足です。おそらく我々より前に下山を開始した人たちはこれらの展望を得ることができなかったでしょうから、我々は実にラッキーでした。
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見るべきほどのことは見つ、今は下山せん……というわけで登山道を急降下します。大ヤスリ岩の前を通り、さらに桃太郎岩にも挨拶をして天鳥川を渡ったところ、登山道の傍に木と石のオブジェが二体。これは我々もアートに参加しなくては、と平たい石を選んでそっと付け加えました。


富士見平に帰着したら、まずはピザとコーラのランチをとってからテントを畳み、瑞牆山荘に向けてのんびり下山です。

展望台からの瑞牆山は昨日のような快晴の空の下ではありませんでしたが、午前中に見上げた岩峰群を同定しつつ眺めることにはひと味違った面白味がありました。
韮崎駅に戻ってきた我々が向かった先は、トモミさんと私の共通の友人であるセキネくんの居城「NEXT MOUNTAIN」です。実は、この日(2026/05/06)は「NEXT MOUNTAIN」の開店一周年というめでたい日。私がトモミさんとの転進先検討の中で瑞牆山を推したのには、かかる節目の日にこの店を訪れたいという下心も含まれていたというわけです。
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セキネくん、開店一周年おめでとう!あらかじめ花を送ってはあったものの、やはり祝福の気持ちは買い物で示すこととし、トモミさんはIcebreakerのメリノウールのTシャツ、私は(昨夜の寒さが身にしみたので)モンベルのネージュダウンパーカをお買い上げ。売り手よし・買い手よしのよい買い物ができました。









