丹沢主稜縦走
日程:2006/05/05
概要:大倉から塔ノ岳〜丹沢山〜蛭ヶ岳〜檜洞丸を越えて犬越路から西丹沢自然教室に下る丹沢主稜縦走をワンデイで。
山頂:塔ノ岳 1491m / 丹沢山 1567m / 蛭ヶ岳 1673m / 檜洞丸 1601m
同行:---
山行寸描
明神岳で風雪に吹かれてそれなりに春山を堪能した自分ではありましたが、その後も連日好天が続いているとなると、都会でぼけっとしているのも芸がありません。それなら富士山にでも行ってみるかな、といったんは考えましたが、「新緑の山を一人でのんびり歩くのも悪くないんじゃないか?」と考え直し、久しぶりにハーネスをつけない癒し系の山行を計画してみました。選んだ行き先は1989年以来の丹沢主稜縦走のワンデイで、一応の課題としては(1)大倉から塔ノ岳まで2時間未満、(2)バスで行ってスタートしてバスで帰れる時刻までにゴールイン、の2点を設定してみました。
2006/05/05
△07:00 大倉 → △08:51-09:00 塔ノ岳 → △09:28 竜ヶ馬場 → △09:44 丹沢山 → △10:53-11:00 蛭ヶ岳 → △11:54 臼ヶ岳 → △13:13-22 青ヶ岳山荘 → △13:25 檜洞丸 → △14:40 犬越路 → △15:38 西丹沢自然教室
始発電車で渋沢の駅に降り立ってただちにバスに乗って大倉に向かい、7時ちょうどに大倉を歩き始めました。西丹沢自然教室発渋沢行きの最終バスが17時05分のはずだから10時間以内に抜ければよい計算ですが、今日もいい天気で気温が高くなりそうです。とにかくゆっくり休まないように登り続けて予定通り2時間未満で塔ノ岳山頂に到着してみると早くも見通しが悪くなってきていましたが、それでも今日歩くことになる山々はほとんど見ることができました。
ところが、ここで早い昼食(なにしろ朝食が5時頃だったもので)をとったときに、あらかじめ行動食として用意していたスニッカーズ2本を自宅に忘れてきたことに気が付きました。が〜ん。リュックサックに残っているのはゼリー2本とエネルゲン1.5リットルのみです。早くも前途多難……。
気を取り直してひたすら飛ばす……と言いたいところですが、大倉尾根の登りがこたえたらしく思うように腿が上がりません。しばらくはガイドマップのコースタイム通りで我慢するしかなさそうですが、それでも相変わらず竜ヶ馬場はきれいでしたし、登山道には意外に人がおらず、気分良く歩けました。ただし蛭ヶ岳からの下りはけっこうスリリングで、ザレザレで滑りやすい急斜面は下手すると先日の明神岳主稜の下降よりも怖いかもしれません。しかも、ここから檜洞丸までのアップダウンが案外厳しく、いつの間にか恐れていたシャリバテの気配が忍び寄ってきました。
檜洞丸山頂直下の青ヶ岳山荘に到着して、何か食べるものはないか……というさもしい顔で小屋に入ってみると、中では品のいい女性パーティーがコーヒーで歓談中でした。その中の1人がこちらにもコーヒーを勧めてくれたのに対して「いえ、お腹がへってるんですが……」と情けない声を出すと「今なら淹れたてのコーヒーにカステラがついているわよ」とのこと。どうやらこのパーティー向けの特別サービス(250円也)だったらしいのですが、小屋番さんも「これじゃ原価割れだよ」と言いながら私にコーヒーを注いでくれて、このカステラ1切れとコーヒー1杯のおかげで、この後の2時間余りの活力を取り戻すことができました。
小屋のすぐ上が檜洞丸の山頂で、少し先から犬越路方面を見ると、西に広がる雲海の末端が尾根筋に滝のようにかかっているダイナミックな光景が目に入りました。その雲の中へと尾根道を歩いていき、先ほどまでとは打って変わってひんやりとした空気の中をどんどん高度を下げて、やがて懐かしい犬越路に到着しました。ここから用木沢出合、そして西丹沢自然教室までは一投足で、ちょうど15時40分のバスが乗客を乗せ始めたところへ下り着いて、そのまま山旅の余韻に浸る暇もなく車中の人となりました。