大谷川柳沢川
Rec. 1006
日程:2026/05/30-31
概要:奥日光の西ノ湖入口から柳沢川沿いの道を歩き、赤岩滝分岐手前で幕営。翌日、柳沢川上流部の右俣を遡行し、滝場が終わったところで中間尾根を乗り越して左俣に下り、幕営地に戻って荷物を回収してから西ノ湖入口へ戻る。
◎PCやタブレットなど、より広角の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。
◎GPSログのダウンロードは「ヤマレコ」から(要ログイン)。
山頂:---
同行:MIHOさん / ノリコさん / みらいたぬき氏
山行寸描
◎本稿での地名の同定は、主に『新版 東京起点 沢登りルート100』(山と溪谷社 2020年)の記述を参照しています。
今年最初の泊まり沢は、おなじみのMIHOさんとノリコさんにヤマレコで接点を持った初対面のみらいたぬき氏との4人での遡行。行き先をどうするか悩みましたが、この組合せなら癒し渓がよいだろうという判断と私がまだ行ったことがない沢という条件とを付き合わせて、奥日光の柳沢川を目指すことにしました。
2026/05/30
△11:50 西ノ湖入口 → △13:05 幕営地 → △13:35-50 赤岩滝 → △14:10 幕営地
東武日光駅前のバス停で集合し、元湯温泉行きのバスに乗って赤沼で下車。すぐ近くの赤沼車庫バス停から低公害バスに乗って西ノ湖入口まで。ここが今回の山行の起終点になります。


筋金入りの雨男である私にはあるまじき快晴は、みらいたぬきさんのおかげ?明るく開けたカラマツ林の中の道を、赤岩滝方向へのんびりと歩きます。


赤岩滝への道は途中で道の形を失い、すぐに左岸から右岸への渡渉ポイントになります。ここを飛び石で渡ってさらに20分ほど進み、トポに「赤岩滝分岐」とある場所の少し手前で平坦地を見つけて今宵の宿とすることにしました。テントを張るのは後回しにして、まずは荷物を置いて赤岩滝見物に向かいます。


赤岩滝までは『山と高原地図』に破線ルートが伸びていますが、一般ハイカーにとって歩きやすい道とは言えず、渡渉があったりトラロープにすがって崩れた斜面を下ったりナメ滝の際をトラバースしたりと、バリエーションの心得が多少必要です。

そうしたアプローチの先に現れた赤岩滝は迫力満点、実にすばらしい!1段目は普通に歩いて登れますが、2段目は右(左岸)のスラビーな岩登りがまずもって緊張しそうですし、ぐっと立った4段目はハーケンを打ちながらのA0またはA1でなければ登れそうには見えません。近づいてみれば突破口が見えてフリーで登れるのかな?……と思いつつ帰宅してから調べたところ、登るラインは黒々と濡れた水際ではなく滝の右の乾いた壁の中に求めるようです。そりゃそうか。
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赤岩滝見物を終えてデポ地に戻ってからテントを張り、薪を集めて焚火を熾していざ乾杯。この時点で15時すぎで、それぞれ持参の食材をシェアしながらひたすら飲み続けました。今回の山行はこの沢宴会がメインなのでそれでいいのですが、どうやら私は飲みすぎてしまったようで、翌日の遡行が二日酔いの中だったことは同行者には内緒です。
2026/05/31
△05:50 幕営地 → △06:50 二俣 → △07:20 黒岩滝 → △08:25 鞍部 → △10:35 二俣 → △11:20-40 幕営地 → △12:50 西ノ湖入口
午前4時起床。みらいたぬき氏が手際よく火を熾してくれていて、朝食や勤行もてきぱきと進み、予定していた6時よりも早く出発することができました。


赤岩滝への道を右に見送って柳沢川の本流を奥へ進むと、最初から小さな滝やナメが出てきてそそられます。

少し進むと4m滝があり、これは簡単に左から巻けます(よって帰路はそこを下りました)が、ここはあえて狭いランペを岩登りの要領で登って、心と身体に喝を入れます。


やがて小滝の連続の先に右岸の崩壊地が現れ、その向こうに焚火の跡が残されていました。確かにここだけ見れば安定した気持ちの良いビバークサイトですが、やや高さが足りない上に上流側と下流側を崩壊地に挟まれているのが不安。私だったらここには泊まらないかな。


続いて、両岸が狭まった地形の中に引き続き小滝が連なります。いずれも左右いずれかの壁を容易に登ることができ、帰路の下降にも不安はありません。

そうこうしているうちに沢床はナメになり、左右から段差を伴わずに合わさる二俣に到着しました。


右俣に入ると幾分かの傾斜を持つナメが続き、気持ちよく歩いていくことができます。ただ、ところどころにヌメりがあって、私のラバーソールは何度か不意にグリップを失ったので、楽しい中にも足の置き所に気を遣いながらの遡行になりました。

二俣から15分ほどで、最初の大きな滝(15mスダレ状2段滝)が現れました。斜度もそこそこありますが、右端から取り付いてみると細かいながらも階段状になっており、さらに右斜面に生えている木の根がよいホールドを提供してくれているのでさほど難しくはありません。ただ、下から10mあまり登ったところで上段と下段の間の平らになっているところを横断して水流の左側に移るのが登り方としてはすっきりしており、MIHOさんやノリコさんもそうしたのですが、ラバーソールのフリクションに不安を感じていた私はそこから左岸の笹藪にエスケープして落ち口に抜けました。

続くスタレ状12m滝は左右どちらからでも行けそうですが、左より右の方が離陸が容易そうです。

きれいな5m滝の奥には大きな滝も見えていて惹かれるものがありますが、残念ながらそちらは枝沢。この滝の前を左奥に進みます。

するとこの沢で最大(2段30m)の黒岩滝が現れました。昨日見物に行った赤岩滝とこの黒岩滝とはセットのネーミングなんでしょうか?『赤と黒』と言えばスタンダール?どちらにしろ、この滝は(赤岩滝ほどのスケールはないにしても)直登は厳しいので右岸の浅く短いルンゼから高巻きに入ることになります。


高巻きのルートには赤テープなどの目印はありませんが、とにかく傾斜のきつい灌木の斜面をまっすぐ登ります。パーティーの後ろを歩いているノリコさんと私は久しぶりの灌木まみれの高巻きが楽しく「これこれ、沢登りはこうでなくては」と笑い合いましたが、トラバース区間に入る頃には「高く上がり過ぎているかも?」と思わなくもありませんでした。


最後に笹をつかんで降り立ったところは滝の落ち口でしたが、この後にトポに記述があり他の人の記録にも出てくる15m滝が現れなかったことからすると、どうやら我々は黒岩滝と15m滝とをまとめて巻いてしまった模様です。したがって滝はこれで終了となり、方向を見定めながら遡行を続けると笹の中の平坦地になって、左上に右俣と左俣とを分ける中間尾根が近くなりました。


P2004の西の鞍部を乗り越して左俣側へ下降を始めると、すぐに沢型になって水が流れ始めます。この下降路は地形に沿って歩けば自然に導かれるので、道に迷う心配はありません。

……が、西隣の沢と合流する箇所は急な岩壁になっていて、そのままでは降りられません。あるいはこの沢筋を早めに右岸側へ離脱すれば下に見えている沢筋へ軟着陸できるのかもしれませんが、こういう場面を想定して持参しているロープを出して懸垂下降でこの場をしのぎました。


懸垂下降で降り立った沢は左俣の枝沢で、ところどころの段差は難なく下ることができ、やがて左俣本流に合流しました。


左俣もいくつかの小滝を抱えていて、技量の揃ったパーティーならその多くをクライムダウンや巻き下りでかわすことができそうですが、我々は「ロープは積極的に出す」ことをあらかじめ申し合わせてあります。


また「ここは懸垂下降かな?」と思うところにはスリングが残置されているので、ありがたくそれらを使わせてもらいました。


もちろん巻き下れるところは巻き下るわけですが……。


「安全第一」が我々のモットー。いずれにせよ、この左俣には右俣のような大きさを感じさせる滝はないので、やはり下降専用の沢と考えた方がよさそうです。

無事に二俣に戻ってきました。ここからは朝方の遡行時に見た風景を思い出しながらの下降を続けます。


最後に比較的新しいクマ剥ぎを見つけて肝を冷やしながら荷物をデポしておいた場所に戻り、撤収にかかります。


帰り道で気づいたことですが、渡渉ポイントの上流側の堰堤と堰堤の間(右岸)に絶好の幕営適地があり、実際そこに焚火の跡も残されていました。赤岩滝見物に行くには少し遠くなりますが、その代わり重荷を運ぶ距離を短くできるのがこの場所を幕場とするメリットです。


渡渉を終えたところで沢靴をアプローチシューズに履き替え、昨日と同様に気持ちの良い道を歩いて西ノ湖入口バス停に到着したのはまだ13時前でした。皆さん、お疲れさまでした。
柳沢川は、こじんまりとしてはいるものの、トポの謳い文句である開放的なナメとスダレ状が印象的な深山の沢
という言葉がぴったりのステキな沢でした。また、沢そのものもよかったのですが、それ以上に初夏らしい優しい自然に囲まれたロケーションが魅力的で、奥日光はつくづくいいところだなぁと感じ入りました。もともとこの沢は紅葉の季節を狙おうと思いつつ「いつか行く沢」リストに入れていたのですが、この時期に行けたことはかえって幸いでした。



