檜枝岐川実川硫黄沢
Rec. 1007
日程:2026/06/13-14
概要:尾瀬東北側の玄関口・七入から少し歩いて硫黄沢に入渓し、二俣付近で幕営。2日目に遡行を継続し、沼山峠と御池をつなぐ車道に突き上げる。
◎PCやタブレットなど、より広角の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。
◎GPSログのダウンロードは「ヤマレコ」から(要ログイン)。
山頂:---
同行:エリー
山行寸描
◎本稿での地名の同定は、主に『新版 東京起点 沢登りルート100』(山と溪谷社 2020年)の記述を参照しています。
最初に書いておきますが、今回はたいへん恥ずかしい(したがって参考にならない)記録です。後から振り返れば、なんでそんなことをしでかしたのか?と自分で自分に首をひねりたくなるようなルートミス。その顛末は以下の通りです。
もともとこの週末は4人パーティーで至仏山西面のヘイズル沢に行く予定だったのですが、リーダーに事情が生じこの計画が流れたため、メンバーの一人である〈末娘〉エリーと二人で、このところテンカラの腕を磨いている彼女のかねてからのリクエストだった釣り沢に行くことにしました。行き先は、エリーの釣り仲間からのアドバイスを踏まえ、公共交通機関でも行ける沢という条件も加味して、尾瀬の会津側にある七入からすぐ入渓できる実川硫黄沢を選択しました。
2026/06/13
△11:50 七入 → △11:55-12:35 七入山荘 → △12:50 入渓 → △14:15 幕営地
早朝に東武鉄道・野岩鉄道・会津鉄道をつなぐ特急リバティ会津に乗って会津田島へ行き、そこからバスで七入まで。さすがに会津は遠い!自宅を出たのは私もエリーも6時前なのに、七入到着はほぼ正午頃です。そしてこの行きの駅とバスとで、会津駒ヶ岳ツアーをガイドする友人ひろみさんと久しぶりに再会するというサプライズがありました。


まずは七入山荘に立ち寄り、入漁券を購入してから沼山峠へ通じる道(沼田街道)を歩いて川を渡るところで右(上流方向)に薮の中の踏み跡を辿り、最初の堰堤を右から越えたら入渓です。


沢の中を歩き始めて10分もしないうちに最初の釜が現れましたが、バスの車窓から山の上に雪が残っているのが見えたように、水温が低くてとても水に浸かる気にはならないので、左(右岸)からごく簡単にこれをかわしました。

さらに20分ほど進んだところで今度は立派な連瀑が現れ、ちょうど釣りを終えて戻ってきたらしいカップルが下ってくるところに行き合いました。二人が下り切るのを待って、まず最初の滝は左壁から取り付き、容易に落ち口まで上がります。

そのまま左壁をへつって次の滝の上に立ち、三つ目の滝の左の流水溝を目指します。


流水溝の手前のコーナーになっているところが微妙にフットホールドの配置が悪く、小柄な上にフェルトソールのエリーはちょっと苦戦していましたが、それでも無事に突破してくれました。

続く6m滝は釜が深くて近づくこともできないので、少し戻って右岸巻き。巻き道は明瞭です。


その先に出てくる2段滝は右壁が階段状になっており、そのまま水流の右側面をへつるように渡ればOK。

遡行を開始して1時間半もたたないうちに、二俣に到着しました。右俣には苔がとても美しい2条の滝が白い水を落としており、そのまま持って帰って庭に置きたくなるほどでしたが、あいにくエリーも私もこの滝を置けるほど立派な庭園を持つ屋敷に住んではいません。

その代わり、この二俣の上流側右岸にかっこうの幕営適地がありました。トポにも「ビバーク適地」と書かれているところですが、トポで見ると二俣から少し上流側に遡行を続けた先にあるように読めるのに、実際は二俣の目と鼻の先です。広さはテントで2張り分くらいとあまり広くないものの、この時刻で先客がいないということは今日ここに泊まるのは我々だけのはずなので、狭さも問題にはなりません。何よりいいのは、この幕営適地の対岸(上の写真の撮影場所)に数本の枝沢が流れ落ちてきており、硫黄分(?)を含まないきれいな水をとれる点です。


リュックサックを下ろしたら、私はピンチシートを張って薪集め、エリーはお待ちかねの釣りタイム。毛鉤を投じ始めてから10分もたたないうちに早くも1尾を釣り上げたのには、本人も驚いていました。
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バラしてしまったりリリースしたものを含め、短時間でイワナ7尾を釣ってそのうち4尾を食用として確保したら、早々に食事の開始です。ただ、このあたりは前日にまとまった雨が降っていたために薪はどれもひどく湿っており、じわじわと低火力で燃やすことしかできそうになかったので、定番の遠火での塩焼きは諦めてフライパンに油をひいて火を通し、醤油で味を調えました。文字通り「命をいただく」、実にありがたいことです。
2026/06/14
△06:15 幕営地 → △07:30 3条20m滝 → △12:20-40 上流のビバーク適地 → △14:35 脱渓
防寒着が貧弱だったために少々寒い一夜を過ごして、午前4時前には二人とも起床しました。

火を熾して朝食をとり、出発の準備を終えたら焚火の始末をして出発です。この時点では、がんばって先を急げば沼山峠から会津田島へ向かう午前中のバス便に間に合わせられるかもしれないし、もし間に合わなければ源流で釣りを再開しよう、などと呑気なことを話し合っていたのですが……。

幕営地から少し上流に進んで沢が右に曲がるところには短いゴルジュがありますが、ここは手前から右に巻いてかわしました。なお、トポではこのあたりに「ジャバラ大滝」という表記があり、地形図にも「蛇滝」があることになっているのですが、そうした滝を認識することはできませんでした。

前衛の釜と小滝を越えると、その先に現れるのは段々になった形が特徴的なこの多段8m滝です。


前衛滝を右から登り、水流をまたいで左に渡って水流の左端を直登すると、落ち口近くにはフィックスロープあり(使わなくても登れます)。ここは相方にロープを出しました。

続く7m滝は左壁を登りますが、一見威圧的に見えて、実はホールドが豊富で簡単に登れます。


その後の小滝も右や左から越えていくと、右岸に大きなガレ斜面が現れ、その先で沢筋が右→左と小さく蛇行した先に3条20m滝が現れました。

本当に20mもあるかな?とは思うものの、どちらにしろこれを登ることはできないのでトポの記述に従って少し戻り、右岸の巻き道を探したのですが、ここから我々(というより私)は迷走を始めてしまいます。
第一感はこの斜面の右下から左上するラインですが、トポに「明瞭な巻き道」と書いてあるのに、見上げてみた限りでは草に覆われていて踏み跡らしいものが見当たりません。今にして思えば、もっと近づいて草の下に踏み跡を探すべきでしたし、そもそもトポの記述に頼らず地形だけを見て判断すれば良かったのですが、なぜかこのときは「明瞭」という言葉に引きずられ、それが見つからないことに困惑してしまいました。まったく、何年沢登りをやっているんだか……。
このため右のガレの壁際を登りかけたのですが、あまりに際どい(登れないことはないが相方を確保できない)ので途中で引き返し、もっと下流まで戻ってみたもののやはりダメ。万策尽きて仕方なく、左のガレに取り付きました。これも後から思えば、こちらを登るくらいなら最初に可能性を探した草付き斜面を登る方がはるかにマシなのですが、一種の視野狭窄に入っていた感じです。


上の写真は最初に取り付いた「右のガレ」。これはないよなあと思いながら登り始めて、やはり途中で断念することに。


こちらは仕方なく取り付いた「左のガレ」。案の定、地形のトラップにかかって追い上げられてしまい、際どい岩場を越えたり脆い斜面を登らされたりと、私自身が冷や汗をかきました。こうした悪場をどうにか登ることができたのはこれまでの沢登りの経験値によるものですが、その経験値はルートファインディングの方で発揮しなくては。

それでも直上している分には相方はロープで確保されているのでまだマシなのですが、大高巻きの常としてトラバースに入るとリードもフォローも危険の度合いに差がなくなってしまいます。しかも悪いことに、相方はフェルトソール(私はラバーソール)のフリクションを補強するために着用したチェーンスパイクを先ほどのガレ場の登りの中でいつの間にか失ってしまい、このトラバースではかなり怖い思いをしたようでした。


沢筋を見下ろせる場所から覗いてみると、そこにはトポ上のどの滝か同定できない滝がはるか彼方。どうやら我々は沢筋に対して50m以上高いところを真横に移動しているようです。しかし、幸いなことに我慢のトラバースを続けていくと斜度が緩んで獣道の上を安定して歩けるようになり、歩行の速度が上がりました。

ようやく沢筋への回帰の目処がついたところは、トポに記述のある上流側のビバーク適地。つまり、3条20m滝の上流側にある諸々の滝やゴルジュをすべて巻いてしまったことになります。


最後は懸垂下降でビバーク適地に下り着くと、そこはテントが数張り余裕で張れる平坦地になっている上に、細い水流が右岸の斜面に落ちていて飲用水の確保にも困りません。これは、もう一度この沢を遡行してここに泊まらなくては。

ひと休みして行動食を口にしたら、ゴールに向かって遡行再開です。


先ほどの幕営適地から先はほぼフラットな歩きが続き、ときどき出てくる小滝も容易に通過可能です。


小滝群の中ではこの連続する滝が唯一岩登りっぽい雰囲気を漂わせていますが、これも水流の右のごつごつした壁を楽しく越えることができます。


その後はほぼ河原歩きに終始するので、先を急ぐだけの我々はだんだん飽きてきました。そこで、最上流にある長池はパスし、最短コースで車道に出るべく右(左岸)に落ちている枝沢に入りました。
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この枝沢は最初は気持ちのいいナメ状で、すぐにゴロゴロの河原になるもののそれでも平らで歩きやすく、そして途中の適当なところからごく短い藪漕ぎをこなすと目の前に車道が現れました。沼山峠から会津田島に向かうバスは自由昇降可能なので、この車道に乗り上がったところで遡行終了です。やれやれ、お疲れさまでした。

今回は私のルートミスのためにエリーに怖い思いをさせてしまい、本当に申し訳なかった。途中で心が折れていても不思議がない状況だったのに、最後まで気持ちを切らさずに歩き切ってくれたことには感謝の言葉しかありません。また、私自身にとってもこの遡行はきわめて不本意で、ほとんど敗退と言ってもいいくらい。私の場合、一つの沢に二度通うことはあまりないのですが、この沢ばかりはどこかのタイミングで再訪問するつもりです。高巻きは怖かったものの釣りの方では味をしめた様子のエリーと共に。







