白老川三重ノ沢
日程:2024/07/20
概要:道道86号の大石橋近くの駐車場から白老川に下り、白老滝を見物の後に下流に向かい、三重ノ沢出合から三重ノ沢を遡行。林道が横断するところで脱渓し、林道を経由して砥石沢を下り起点に戻る。
⏿ PCやタブレットなど、より広角の画面で見ると、GPSログに基づく山行の軌跡がこの位置に表示されます。
山頂:---
同行:ノダ氏 / ヅカ氏
◎本稿での地名の同定は主に『北海道沢登りガイド』(北海道新聞社 2015年)の記述を参照しています。このため、通常「俣」と表記するところも同書に従って「股」と表記しています。
北海道の沢にはこれまでクワウンナイ川にしか入ったことがなく、それもなんと2006年のことだったのですが、今年は諸々の風向きがいい方向に合わさって再び北海道の沢に入ることになりました。浜頓別在住のノダ氏の全面的なサポートを得て彼とヅカ氏と共に実行するつもりだった当初のプランは、再びクワウンナイ川を遡行しトムラウシの山頂を踏んでからワセダ沢を地獄谷に下って、そこから化雲沢またはスゲ沼沢を遡行して沼ノ原経由クチャンベツに下るというものでしたが、当日が近づいてみると予定していた日程の直前に降雨の予報あり。流域面積の広いクワウンナイでの増水は致命的であるために残念ながら計画変更を余儀なくされ、安全策をとって支笏湖近くの白老川上流の短い沢を複数遡行することにしました。
2024/07/20
△10:15 駐車場 → △10:40-45 白老滝 → △11:35-40 三重ノ沢出合 → △12:40 林道 → △13:05 砥石沢 → △13:25 駐車場
前日を浜頓別〜宗谷岬の観光に当てた翌日、早朝からの移動で白老川上流域にやってきた我々は、道道86号の大石橋近くの駐車場から白老川に下ってまずは上流わずかのところにある白老滝を見物します。
目の前に柱状節理の岩壁を断ち割ってどうどうと水を落としている滝は1段目で、その奥に2段目も見えていますが、実際にはさらに上流にもう一つ滝があって、白老滝全体では3段の滝になっているようです。1段目は登るとすれば左(右岸)側だろうとすぐに見当がつきましたが、その落ち口から奥がどうなっているかわかりません。遠目に見る限りは2段目の滝の左(右岸)にランペがあるようにも思えますが、果たしてどうなのか。いずれにしても1段目を登り切ったところからの撤退手段が確保されていないと、不用意には取り付けないという印象でした。ともあれ今日はこの滝を登るわけではないので、踵を返して白老川を下流に向かいます。
先ほどの滝の様子とは打って変わって白老川本流の流れは穏やかで、ところどころに気持ちの良いナメが広がっており、これだけでも楽しい沢ハイキングという感じ。ただし北海道の沢の宿命としてヒグマ・マダニ・エキノコックスの三者に対する用心は欠かせないため、無邪気に泳いで水を飲んだり木の下や藪の近くでのんびりすることは避けなければなりません。やがて右岸にナメが伸びるように入ってくる沢が最初の目標である三重ノ沢。その対岸で小休止をして行動食をとってから、白老川を横断して三重ノ沢に入りました。
最初に出てくる顕著な滝は幅10mの膨らんだ滝ですが、奥の水線沿いから簡単に登ることができます。ところによりヌメるところもなくはないものの、慎重にホールドをつなげばラバーソールの沢靴がきちんとフリクションを確保してくれます。
幅10mの滝のすぐ上にあるのは3段20m滝。1段目は右寄りから簡単に登ることができますが、2段目はホールドが細かく、初心者には確保が必要になるかもしれません。我々は各自フリーで抜けて、その後の3段目はヅカ氏が右端を微妙に登っていったのに対し、私とノダ氏は楽をしようと2段目の上で出合ってくる右股側に少し入ってから草付きを越えて本流3段目の上に抜けました。
この3段滝を越えると倒木帯やゴーロ、滑りやすい石の回廊などがあって道道86号の橋の下を通過し、しばらくぱっとしない渓相が続いたと思ったら向こうに綺麗なナメ滝が見えてきました。
この10m滝は美しい!ここもおおまかな3段になっていますが、傾斜が緩くフリクションもいいのですたすたと歩いて登れます。
そして3段10m滝のすぐ上に、この沢で最大の30m滝が待っていました。倒木が景観を損ねているのが残念ですが、こちらも少々立ってはいるものの左端から取り付けば不安なく登ることができて、気分いいことこの上なし。今回の遡行の参考にした『北海道沢登りガイド』はこの沢を隠れた名渓といっても大げさではない!
と激賞していますが、沢のスケールが小さいためにそこまで褒めるのはそれこそ大げさという気はするにしても、楽しさあふれる沢であることは間違いありません。
30m滝の先にも階段状の滝やナメ滝、ポットホールの小滝が連なってなかなか飽きさせませんでしたが、それらの先で渓相が平凡になってきたらゴール間近です。
GPSで林道の位置を確認しながら遡行を続けると、しかるべきところにピンクテープがあり、それを参考にしつつも適当な場所で右(左岸)に乗り上がったらわずか数メートル上を林道が走っていました。この林道は道道と並行にその上側をトラバースしており、これを白老川上流方向に向かって20分余りも歩くと砥石沢にぶつかります。この砥石沢が道道と交差するあたりにあるのが車を置いた駐車場で、そこまでの下降は最初はゴロゴロ、途中からフリクションの利く白いスラブになり、困難なく起点に戻ることができました。
◎「白老川大星沢右股」へ続く。