三ツ峠四十八滝沢〔敗退〕
日程:2016/01/24
概要:御坂の三ツ峠北東面、四十八滝沢でアイスクライミングのはずが、ただのスノーハイキングに。
山頂:---
同行:セキネくん
山行寸描


日曜日を使ってセキネくんと八ヶ岳の裏同心ルンゼに行こうという計画は、土曜日から翌日にかけて強力な寒波が山を襲うという予報の前に雲散霧消してしまいました。それならと寒波の影響が及びにくいであろう三ツ峠の四十八滝沢へ転進。この沢は2002年2月にガイド山行で遡行しているのですが、そのときも中途半端な氷結状態に途中で打ち切った経緯があります。このところの寒さ続きで、今回は十分に凍っているだろうと思って現地を目指したのですが……。
2016/01/24
△08:45 宝鉱山バス停 → △09:25 北口登山道入口 → △10:35-11:00 初滝 → △12:20 北口登山道入口 → △12:55 宝鉱山バス停
宝鉱山のバス停は極めて広い駐車スペースになっており、そこにセキネ号を残置して北口登山道を目指します。
雪は思ったよりも深いものの、先行者の足跡がどこまでも続いていてくれるおかげで、歩きには困りません。途中の案内板で登山道と沢との位置関係を確認しましたが、そのすぐ向こうに見えている堰堤には、凍る様子などない流水がじゃばじゃばと音を立てて流れていました。
歩き出してから40分ほどで、山の神が祀られている北口登山口に着きました。ここからはさらに雪が深くなりますが、踏み跡はどこまでも先に続いています。山頂の小屋の関係者なのかな?と不思議に思いながら進むと、10分もたたないうちに登山道は右手へ沢筋を渡りましたが、これはおそらく八十八大師沢。
北口登山口から30分ほどのところで「ここより■段の滝始り」(■が読めませんでした)という看板が出てきて、ここで踏み跡は登山道を離れ右手の沢筋にトラバース気味に下っていきます。この看板はアイスクライマー向けというわけではもちろんなく、おそらく無雪期に滝見登山をする人のためのものなのでしょう。
谷の中は雪に埋もれていますが、沢は凍ってはおらず、ところどころに険悪な流水が顔を出しています。これは滝は凍っていないかもしれないな、と半ば諦めムードで沢筋を遡り続けると、前方に初滝が現れました。
ざあざあと音を立ている初滝の下でヘルメットをかぶり、アックスをザックから外してアイゼンを履きました。もっとも、確保する必要性を感じないためにハーネスもロープも背負ったまま。試しにアックスを出だしの氷に引っ掛けてみたセキネくんは、顔をしかめて「脆いです。氷が岩にしっかりついていない感じ」。それでもまずはセキネくんから、流水の右側の斜面を登りました。セキネくんがある程度安定した位置まで上がったところで私も後続しましたが、目の前の斜面にアックスを軽く打ち込んでみると刃先が岩に当たる音と手応えがあり、これはかなわんと少しでも氷が厚そうな水流寄りのラインを選んで登りましたが、数m登れば後はただの雪壁になっており、アイスの要素は皆無でした。
1段目の滝を越えた先に5mほどの2段目の滝があり、セキネくんがラインを探っていましたが、明らかに氷は我々の体重を支えてくれそうにありません。踏み跡は左から滝を越えて上に続いてはいるものの、その先を窺ったセキネくんによれば次の滝もシャンデリア状とのこと。仕方なくここで遡行を諦め、下山することにしました。がっかりしましたが、こればかりはどうにもなりません。
初滝の下で準備をしているときには空が曇り気温が急速に下がっていたのに、下山すると決めたとたんに青空が広がりだすのだから意地悪な天気です。初滝の右岸をトラバースするバンドにはワイヤーが設置されていて、やはりここはよく歩かれているのだということがわかります。
駐車スペースに帰り着いたときには、土日には1日2便しかないバスが上がってきていたところでした。せっかくなので乗ってあげたいところでしたが、セキネ号がそこにいる手前そういうわけにもいきません。そっけなく素通りして車に向かう我々を見て、バスは落胆したようにエンジンをかけ、下っていってしまいました。
車に戻り着いたところで、せっかくなのでセキネくんとシステムの再確認。特にクイックドローをあらかじめロープにセットしてからチェストハーネスのギアラックに掛ける方式を伝授して、いたく感心されました。
しかし、それ以上にセキネくんが激賞したのが防寒テムレスです。その素手感覚に近い操作性の良さに驚愕したセキネくんは、「これを使ったらもう戻れませんね。というか、これはクライマーを堕落させますね」とまで言い切っていましたが、大月駅近くで昼食をとって別れた後、セキネくんはそのままホームセンターに直行し、早くも防寒テムレスをゲットしていました。