瑞牆山不動沢
日程:2018/07/14-15
概要:アルパインガイド保科雅則氏の保科クライミングスクールの講習で、瑞牆山の不動沢でクラッククライミングの練習。
山頂:---
同行:保科雅則ガイド
山行寸描
2018/07/14
△09:55-16:55 瑞牆山不動沢
先日のカサメリ沢に続き、今回は1泊2日で瑞牆山不動沢での花崗岩トレーニング。これまた初めての不動沢体験です。
カサメリ沢のときと同じ駐車スペースから少し上がったところに車を駐め、不動滝に向かう登山道を歩くこと15分で、登山道に面した巨大な岩壁が姿を現しました。これが屏風岩です(以下すべてTR。ルート名とグレードは『瑞牆 クライミングガイド』によっています)。
屏風岩
- おしん(5.8)
- アップ課題という位置付けながら、出だしの短いクラックがちょっとバランシー。その後フェース登りの数mをこなし、じめじめしたチムニー内に入って狭苦しさに辟易しながら抜け出たところが終了点。
- 不動沢愛好会ルート(1ピッチ目:5.10a)
- フェースに顕著なフレークがあり、その右には頭上にかぶってくるコーナークラック。フレークを使って途中まで上がってから、フレークの上に現れるハンドクラックを用いたラインに入ります。右のコーナークラックも途中から奥にうれしいガバがあるのですが、保科ガイドに注意されたのは「腕の力で身体を引き上げようとせず、腕はバランスをとる程度に用い、ステミングで身体を安定させて伸び上がる」という登り方です。ここは3回ほどトライしましたが、最初は途中まで、最後はTOはできたものの、やはり腕力頼みで登ろうとするため途中で力尽き、テンション混じりとなってしまいました。なお、この1ピッチ目の終了点は隣の「おしん」の終了点と同じテラスですが、本来の「不動沢愛好会ルート」はさらにもう1ピッチ(5.10b)つなげて終了点に達することになっています。
- JECCルート(5.10a)
- 屏風岩の中央を左下から右上する顕著なクラックを登るルート。現在は屏風岩の頂上近くまで登る45mのロングルート(5.11a)になっていますが、もともとはクラックが終わる地点までの15mのルートとして開拓されたもの(5.10a)。このオリジナル「JECCルート」を登ったのですが、15mでも十分長い!ところどころジャミングが使えるものの、基本的にはクラック登りではなく、立ったガバと壁面のフットホールドを使って登るタイプのルートなので、無駄に力を使わずスマートに登れば終了点近くまではなんとかなるのですが、最後にクラックが切れた後の短いフェースから伸び上がってガバをつかんだ後の左上へ弧を描く丸みを帯びたフレークの内側がぐっしょり濡れていて、手が止まりませんでした。
エンペラータワー
- 寒々ルート(1ピッチ目5.7)
- 屏風岩を離れ、少し奥に進んだところにあるカンテ状の岩の左から取り付く、すべてレイバックの課題。これは癒し系です。
以上でこの日の講習は終了。クラックは久しぶりですが、いい加減なテーピングのせいですぐに右手の甲が傷だらけになってしまい、翌日が思いやられます。
泊まりは、みずがき山自然公園で一人テント泊。まだ灼熱の日差しが燦々と降り注いでいましたが、首尾よく日陰にテントを張ることができました。
夕飯はご覧の通り、ズッキーニ、パプリカ、コンビーフを合わせて炒めたものと、カップ焼きそば。宿泊の受付で買い求めたビールでいい気持ちになりながら満腹になるまで食べたら、涼しいテントの中に寝そべって本を読もうと思っていましたが、横になったとたんに疲労と睡魔に襲われて1ページも読まないうちに気を失っていました。
2018/07/15
△08:25-16:40 瑞牆山不動沢
8時にみずがき山自然公園の駐車場で保科ガイドや他のゲストと合流し、再び不動沢方面の駐車スペースへ。
この日、保科ガイドをして「これほど混んでいるのは見たことがない」と言わせるほど車が混み合っていましたが、その隙間にどうにか駐車することができました。再び自分のギアと共同装備のロープを持って昨日の道を辿りましたが、わずかの歩きにもかかわらず昨日の疲労が溜まっていることを実感しました。
屏風岩
- おしん(5.8)
- 昨日と同じくこのルートでアップ。さすがに2度目となれば苦もなくクリア。
- 不動沢愛好会ルート(1ピッチ目:5.10a)
- 今日こそはノーテンで登ろう!と意気込んで取り付きましたが、やはり途中でテンションが入ってしまいました。しかし、昨日はフレークが終わった先は各駅停車に近い状態だったのに、今日はワンテン。これは望みあり?この時点で、今日はこの「不動沢愛好会ルート」1本に狙いを定めることに決めました。
- JECCルート(5.10a)
- ……とは言っても他のルートも触らなければもったいない。そこで「JECCルート」にも取り付いてみましたが、やはり身体の芯が疲労しているせいか、あるいは昨日とは異なる場所が濡れているせいか、昨日は曲がりなりにも手を掛けることができた丸いフレークにすら手が届きませんでした。
他のゲストは、これらのルートのほか屏風岩を右に回り込んだところにあるボルダーからカンテへ続く不明ルートと「黄河」(5.10b)にもトライしていましたが、私はその間、昼寝タイムとして体力の回復を図りました。
こちらは、昼寝ポーズで見上げた状態で撮影した「百獣の王」(5.11c)での保科ガイドの模範演技。爪先をピンポイントで岩に当てて軽々と身体を上げていくその登り方は、百年かけても真似できそうにありません。
- 不動沢愛好会ルート(1ピッチ目:5.10a)
- 遠雷の音が聞こえ、雨雲が広がってあたりが暗くなってきた頃、最後のトライ。これまで回避していたじめじめのコーナークラックへのフットジャムも交えてみると姿勢に自由度が増し、これが決め手となってノーテンでTOすることができました。まったくもってクラックは難しい、しかし工夫の余地がいろいろあって面白い、けれどもフィンガークラックで足を滑らせたらと思うと怖い。クラックとのつきあいは、永遠に試行錯誤のような気がします。
以上で、2日間の講習は終了です。最後の最後に結果を出すことができて、たとえTRでも素直にうれしい。
さすがに身体ががたがたですが、翌日も含めて三連休すべての講習に参加するゲストもいることを考えると、自分の身体の使い方には無駄が多いのでしょう。それはおそらく、カサメリ沢でも痛感した「足で立てていない」ということに由来しており、花崗岩の微小な凹凸にシューズの先端を的確に当てて微動だにしない保科ガイドの足さばきの100分の1でも真似をすることができれば、相当程度に改善しそうな気がします。できれば……。