二子山西岳中央稜
日程:2005/11/27
概要:二子山西岳の中央稜を一峰頂上まで突き抜け、股峠へダイレクトに下る。
山頂:---
同行:現場監督氏
山行寸描
この週末、現場監督氏と「八ヶ岳でも行きますか」という話をしていましたが、諸々の都合で日曜日しか使えず、八ヶ岳の雪の状態も不明確ということで、それならすっきり二子山を登ろうということになりました。西岳中央稜は過去に2回登ったことがありますが、コンディションに恵まれさえすれば何度登っても楽しいマルチピッチです。
2005/11/27
△09:50 登山口 → △09:55 股峠 → △10:15-35 西岳中央稜取付点 → △13:15-50 終了点 → △14:15 股峠 → △14:55-16:00 東岳右壁〜広場エリア → △16:20 登山口
八王子で7時に合流。現場監督氏の車で一路二子山を目指します。国道16号と299号をつないで、二子山の登山口に着いたのは9時半頃になりました。あたりには車が何台も駐められており、フリーエリアとしての二子山の人気の高さを実感しました。股峠から中央稜取付に向かう途中の祠エリアにも既に大勢のフリークライマーが岩に取り付いていましたが、薄かぶりでどれも難しそう……。
おぼろげな記憶を頼りに中央稜取付に着いた(つもりだった)のですが、どうも地形が違うし踏み跡も上に伸びています。そこで荷物をいったん置いてさらに左上してみると本物の取付に先行パーティーが待機中で、はるか上にもヘルメットが見えていました。取付のパーティーと「こんにちわー」と挨拶をして顔を見合わせてお互いにびっくり、そこにいたのはきむっちでした。もう1人はきむっちの友人のかっきーで、2人は昨日妙義山、今日は二子山と連チャンなのだそうです。現場監督氏にもこちらに移動してもらって改めてお互いに挨拶しましたが、まったく山の世界は狭いというか悪いことはできないものです。
さて、我々の方が先に準備ができてしまったので、きむっちたちにことわって先行させていただくこととしました。しかし上にはさらにガイドパーティーらしき2組以上が先行しており、ポイントごとに時間待ちを余儀なくされそうな予感。以下グレードは私の体感です。
1ピッチ目(30m / IV+):現場監督氏のリード。浅い凹状の壁を直上する部分でも1カ所デッド気味となるところがあり、右上する途中で分厚いフレークを越えるところも若干緊張します。
2ピッチ目(20m / IV):先行パーティーが動き出すのをひなたぼっこしながら待ってから私のリード。手足を置く位置に頭をひねりながらフェースを左上し、カンテを右に回り込んで上のパーティーに声を掛けたら「もう少し待っていてほしい」とのことだったので、セルフビレイをとってしばし待機。さして待たずに先行が場所をあけてくれたので再び左上。
3ピッチ目(25m / V):現場監督氏のリード。クラックの下半分はレイバックで難しくないものの、その上のかぶり気味のクラックは上から圧迫されて苦しいところ。現場監督氏がフリーで越えた後にセカンドの私もフリーでの突破を図りましたが、しばらくじたばたして「だめだ〜」と音を上げかけたら現場監督氏から「行ける行ける!」と檄が飛びました。ここで改めてムーブを組み立て直して、右手の壁のカチホールドと右足のスメアリングで身体を止めてバックアンドフットでずり上がり、左足をキョンで後ろ(左)壁に押しつけてさらに身体を上げるとガバに手が届いて解決できました。
この上のテラスでしばし休憩。日当りもいいし風もなく、おにぎりとお茶が実にうまい。ついでにかっきーが核心部を苦戦しながらA0で抜けるのを上からヤジ……もとい、声援を飛ばしながら観戦していましたが、先行のガイドパーティーが派手に落石を起こしてくれてこちらが焦る一幕もありました。
4ピッチ目(15m / III):私のリード。小さなハングをあえて越え、左へトラバース後に突起に立ち上がって腰ハングの乗り越し。よっこらしょと右足を上げたらなんということもなく越えられてしまい、体感III級のピッチに成り下がってしまいました。
5ピッチ目(25m / IV):現場監督氏のリード。小さなスラブ状を登って左へトラバース。フレークをつかんで身体を左に振りながら1段上がってクラック沿いに右上し、最後を左に回り込みます。
6ピッチ目(50m / III):最後は私のリード。易しいスラブをクラック沿いに登り、ランナウトしながらホールドだらけの岩壁を真っすぐ登ります。普通はその上でいったん切りますが、ロープの残りを確認してからそのままリッジをダイレクトに上まで登って、ロープいっぱいのところで終了しました。
終了点でしばらくきむひろ・かっきー組を待っていましたが、彼らはピッチの途中で紫煙をたなびかせたりしながらのんびり登っている様子。というわけでお先に失礼と股峠へダイレクトに下りました。
時間にゆとりがあればフリーもやってみようかという話をあらかじめしていたのですが、予想外に時間がかかってしまったのでこのまま帰還かな?と思っていたら、現場監督氏はまだまだ岩に触りたい様子。そこでいったん車に戻ってフリー用に換装してから再び股峠に戻って、東岳のフリーエリアを訪ねることにしました。美しい紅葉の間の道を左に回り込んでいくと、見事にかぶった岩壁にたくさんのフリークライマーが取り付いており、想像以上に高度があって、なかなかの壮観です。我々はこのへんのルートには手が出せないので、ずっと奥の右壁に移動。薄かぶりのきれいな石灰岩の壁にボルトが二つの真っすぐなラインの「風見梟」(5.9)にトライすることにしました。先に取り付いた現場監督氏はさすがのOS、やりますなぁ。降りてきての感想は「面白いけど怖い。怖いけど面白い」。続いて私もトライしましたが、各駅停車でテンションかけまくり。最終的にはなんとかムーブを解決して上に抜けましたが、結局のところ落ちてナンボのフリークライミングなのに落ちるのが怖いからスムーズに身体を上げられないのだな。現場監督氏は余勢を駆って「チビ太」(5.10a)にもトライしましたが、ここはランナーにクリップしてから次のホールドをとりに行く動作に思い切りが必要らしく、残念ながらOSならず。私は触りもしませんでした。
……といったところで日もかげってきたので、今日の二子山クライミングツアーはめでたく終了となりました。最後はヘタレで情けなかったのですが、中央稜の方は快適なクライミングを堪能しました。