笛吹川ヌク沢左俣

日程:2002/06/16

概要:奥秩父のヌク沢を遡行。左俣を詰めて大滝を越え、奥秩父縦走路に抜けて戸渡尾根を下降。

山頂:---

同行:現場監督氏 / さかぼう氏

山行寸描

▲下流の滝を登る私。この後水流の中で立ち往生してしまい現場監督氏にスリングを投げてもらった。(2002/06/16撮影)
▲階段状の滝を行く現場監督氏。ここは気分良く水の中に踏み込んで行ける。(2002/06/16撮影)
▲大滝中段をリードする現場監督氏。上の画像をクリックすると、大滝の登攀の概要が見られます。(2002/06/16撮影)

◎「笛吹川東沢鶏冠谷右俣」からの続き。

2002/06/16

△06:15 東屋 → △06:20 ヌク沢橋 → △07:40-50 近丸新道横断点 → △08:30-40 平成6年の堰堤前 → △08:55 二俣 → △09:15 奥の二俣 → △09:45 大滝の下 → △10:00-15 大滝中段下のテラス → △11:35 大滝の上 → △12:10 遡行終了点 → △12:40-55 縦走路 → △13:10 戸渡尾根分岐 → △14:55 ヌク沢(近丸新道横断点) → △15:25 近丸新道登山口 → △15:45 西沢渓谷入口駐車場

目が覚めてみると曇り空ながらも雨は上がっています。しまった、これなら酒はもう少し控えるんだった……と後悔したものの後の祭り。朝食をとり、片付けののち駐車場にいったん戻って宴会グッズを車にデポ。東屋に戻ってザックを背負い、ヌク沢橋を目指しました。

ヌク沢橋の右から踏み跡に導かれて沢に入り、両岸が立って暗いトンネル状の河原をしばらく進んで、適当なところで沢靴に履き替えました。

ここから先いくつかの面白い小滝が続き、早くも飽きさせません。出だしの滝は強い水流にめげずに右から登りましたが、続いて出てきた左から奔流を押し流してくる滝は水流の左から取り付いて水の中に踏み出した1歩を動かすことができなくなってしまい、さらに左から回り込んだ現場監督氏にスリングを投げてもらって脱出しました。この後派手な倒木帯をまたいだりくぐったりして越え、5mの滝は念のためロープを出してもらって左壁から登りました。さらに7mの滝を右から越えると、間もなく昨日下ってきた近丸新道の横断点です。事前にはここまで登山道を使ってショートカットしようかという話もあったのですが、けっこう楽しくしかもスピーディーに登れ、割愛しないで良かったと意見が一致しました。

ここで正面にトポに見られない巨大な真新しい堰堤が現れました。左の支沢も偵察しましたが地形図から見ると正面だろうということで近丸新道を少し登り、そこから右に入っていく踏み跡を辿って最後は樹林の急斜面をずるずるとずり落ちるようにして堰堤の上流に降り立ちました。さらにゴーロからナメや小滝を30分ほど歩いたところで平成6年(1994年)の堰堤が登場し、ここから4連続の堰堤をはっきりした巻き道に導かれて右・右・左・左と越えました。

さらにいくつかの小滝を越えたところで二俣に到着し、右上を見上げるとトポに書かれている通り林道の橋が見えています。左俣に入ってナメを進むとやがて奥の二俣になって、ここはぼんやりしていると左沢に入ってしまいそうですが我々は右の本流を進みます。この先から滝のスケールが大きくなってきて、階段状の滝はなるべく水流沿いに気分良く登りました。そして右上から激しく水流を噴き出している数mの滝を左から越えたところで、いよいよ目の前に大滝の下段が現れました。

下段100mは私が先陣。右の岩を登っていくこともできそうですが、それでは面白くないので極力水の中にホールドを求めて登っていきます。基本的にホールドは豊富でぐいぐい登れますが、細かいバランスクライミングや小さくジャミングを決める場面なども作り、これまで身につけた技術を総動員してあえて難しく登りました。最後に右のかぶった壁を越えて広いテラスに到着して下段が終わり、今度は巨大な壁となった大滝中段を正面に仰ぐこととなりました。

霧の中の大滝中段は一見すると巨大な石のブロックを乱雑に積み上げたような姿をしており、そこを流れる3条の流れの中では左の流れが最も水流が豊富です。右のルンゼ状を行くのが最も安全そうですが、協議の結果ここはロープを出して真ん中の水流沿いに登ることになりました。「行きますか?」「いえいえ、どうぞ」といったうるわしい譲り合いがあって、ここでのリードは現場監督氏。途中にピトンがあるかどうかわからないので最初はロープを送り出すだけにしていましたが、登っていった現場監督氏が途中でランニングビレイをとっている様子にATCをセットしてビレイの態勢に入りました。「あと10!」「あと5!」とコールしましたが40mロープいっぱいになっても適当な支点がないらしく、上から現場監督氏が身振りでもう少し上に上がってくれと言っています。さかぼう氏とともに10mほど前進したところでようやくピッチを切れる場所に到着した現場監督氏の合図を受けて、まずさかぼう氏がロープにタイブロックをセットして出発。だんだん寒くなって震えがきはじめたところでさかぼう氏が上に到着し、ついで私が上から確保された状態で登りました。二つ目のランナーを外したところは2mほどの立った岩壁になっていて、そこを現場監督氏が正面から越えたのを下から見ていたので自分もと思いましたが、クライミングシューズなら行けそうな出っ張りがあるものの濡れた沢靴では踏ん切りがつかず、すごすごと左の乾いた岩からカンテ状を登りました。

しかし、この先も中段は続きます。いったん右に回りこんでピッチを切り直し、ここから今度はさかぼう氏がロープなしで右のルンゼを、私がロープを引いて水線の右の草付を登り、現場監督氏は私が上から確保した状態で苔でぬるぬる滑る滝を果敢に突破して登ってきました(現場監督氏の言によれば「IV+くらい」)。最後に現場監督氏が先行して水流の中を上へ抜け、私も後続して中段の上へ到着しました。

上段はロープを解いて、各自適当に左の草付を登ります。途中から沢はやや傾斜の緩くなった階段状になっていましたが、水流の中に戻ろうかどうしようかと思いながらつい踏み跡につられて草付を上がってしまった私は、意外に悪い斜面を押し上げられてしまい四苦八苦。滝の上に完全に出たところで現場監督氏の「おーい、塾長さん?」のコールに呼ばれて灌木の幹を頼りに草付の壁をまたもずるずると降りてやっと2人と合流しました。これでメインイベントの大滝は終わりです。

さしものヌク沢も大滝の上では水流が細くなり、かわいらしいナメがやがて伏流になりました。この辺りから傾斜はぐっと緩くなってきますが、エネルギー切れの私は遅れがちになり、2人の背中を見ながらぜいぜいと歩くようになってしまいました。それでもイワカガミのピンクの花を慰めに大きなザレを過ぎると右に明瞭な踏み跡が上がっており、ここから樹林帯の中に入って灌木帯の中を迷うこともなく進み、30分ほどでやっと縦走路に登り着いて互いに握手を交わしました。

靴を履き替え、疲れた身体にムチ打って坂道を登り、戸渡尾根を目指します。分岐をそのまま上に進めば木賊山、そしてその先には甲武信ヶ岳の頂上ですが、ピークにこだわります?との現場監督氏の言葉に私もさかぼう氏も「いいえ!」「全然!」。後は急ではあるものの歩きやすい登山道をぐんぐん下るだけでした。


帰りは村営「笛吹の湯」に立ち寄りました。ぬるい露天風呂にゆっくりつかりながらの3人の会話は、あまりにも楽しかった今回の沢のことではなく、早くも次のオフ企画の話題へと飛んでいたのでした。

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